転生特典：錬金術師スキルを習得しました！

第1章：異世界転生

第4話 森でのサバイバル

コハクと出会ったその日から、優馬とコハクは森の中で一夜を過ごすことにした。
優馬は周囲に適した枝を集め、火を起こすための小さな焚き火を作った。幸い、転生時に手に入れた錬金術セットには簡易的な火打ち石が入っており、火を起こすのにはそう時間がかからなかった。

「こうして見ると、結構落ち着いた雰囲気の森だな……。でも油断はできないな」

焚き火のそばで温まりながら、優馬は周囲を見渡した。コハクは彼のすぐ隣に座り、安心したように目を細めている。その白い毛並みは焚き火の明かりを受けて輝いており、彼の琥珀色の瞳は優馬の方をじっと見つめていた。

「コハク、お前も今日は疲れただろう？ゆっくり休んでくれ」

優馬がそう言うと、コハクは安心したように鼻をクンクン鳴らし、優馬の足元に体を丸めて横になった。その姿に、優馬は思わず微笑んだ。異世界という得体の知れない場所で、初めてできた仲間に感謝の気持ちを感じていた。

「異世界に来ちゃったけど、コハクがいてくれるなら何とかやっていけそうだな……」

翌朝、優馬が目を覚ますと、コハクはすでに起きて周囲を見回していた。まるで彼を守るように森の中を警戒している姿は、頼りがいのある相棒そのものだった。

「おはよう、コハク。お前、朝から偵察してくれてたのか？助かるよ」

優馬はそんなコハクの頼もしさに感謝しながら、朝食の準備を始めた。持っていた少しの乾パンと、昨夜に見つけた果実を組み合わせて、簡単な朝食を作り上げる。異世界の果実は甘酸っぱく、意外と食べやすい。

「ほら、コハク、お前もこれを食べてくれ」

優馬が果実を差し出すと、コハクは嬉しそうにそれをかじり、尻尾をゆらゆらと揺らした。

「美味いだろ？　俺も少し料理に自信があるんだ。もっと色んな食材を見つけて、もっと美味しい料理を作ってやるからな」

コハクは果実を食べ終えると、優馬に甘えるように顔を寄せてきた。
その様子に、優馬は異世界での新たな生活が少しだけ楽しみになってきた。

朝食を終えると、優馬とコハクは旅の準備を整え、再び森の中を進むことにした。森を抜けて最初の町に着くためには、まだ少し時間がかかりそうだ。優馬は地図と転生時に得た情報を頼りにしながら、コハクと共に森を歩いていく。

「まずはこの森を抜けて、町に着いたら情報収集だな。異世界のこと、もっとちゃんと知っておかないと」

優馬は自分に言い聞かせるように言葉をつぶやく。コハクは彼の隣を歩きながら、時折周囲に目を光らせている。その警戒心のおかげで、森の中を安心して進むことができた。

「さて、コハク、この道をもう少し進んだところに川があるはずだ。そこで少し休憩して……川魚でも捕れたら、昼食にしようか？」

優馬が笑顔でそう話しかけると、コハクは尻尾を振って応えた。その姿を見て、優馬もますますやる気が湧いてくる。

「よし、行こう、コハク。俺たちの異世界生活、まだまだこれからだ！」

こうして、優馬とコハクは共に森の奥へと足を踏み入れていった。異世界の地で、彼らの新しい日常と冒険の日々が始まったのだ。