上 下
78 / 91
第10章:新たなる星の道

第77話 星花の蕾と、小さな守り手

しおりを挟む
アレンが去り、星花の根元に現れた新たな蕾が牧場に希望の光をもたらしていた。ヨウと仲間たちはその小さな蕾を見守り、星花がさらなる力を生み出そうとしていることに胸を膨らませていた。蕾は日ごとに少しずつ大きくなり、夜になると星花の光に照らされて淡く輝いている。

ある日の朝、ヨウが星花の蕾を見つめていると、ふわりが小さな風を送り、まるで蕾を優しく抱きしめるようにそっと舞い始めた。仲間たちも集まり、蕾の周りを囲んでその成長を楽しみに見守っている。

「この蕾が成長したら、きっと星花と同じように私たちを守る力を持つかもしれないね」

ヨウがそう呟くと、ミラが静かに頷きながら答えた。

「ええ、星花が与える守りがさらに広がるかもしれない。みんなでこの新しい命を大切に育てましょう」

夜になると、星霜の精霊が静かに現れ、蕾に光を注ぎながら語りかけた。

「この蕾は君たちが星花と共に祈り、守り続けた愛の結晶だ。君たちが見守る限り、この蕾は成長し、さらなる加護の力をもたらす存在となるだろう」

ヨウは仲間たちと一緒に祈りを捧げ、蕾が守りの力を宿し、村や遠くの人々を包み込む存在として育つようにと願いを込めた。

その時、蕾からふわりと淡い光がこぼれ、まるで小さな精霊が生まれるかのように光の粒が舞い上がった。その光景にヨウと仲間たちは驚き、蕾が新たな命を宿しつつあることを感じ取った。

「みんな、この蕾がどんな存在になるか、楽しみに見守っていこう。星花が私たちに与えてくれた贈り物だ」

「ぷにっ!」「ふわっ!」「もこっ!」「もふっ!」「ぽよん!」「ふにゃん!」「ぴょん!」「ぴっ!」「チュン!」「きゅんっ!」

仲間たちはそれぞれの声で応え、星花と蕾に向けて温かい気持ちを届けた。

その後も、ヨウたちは蕾の成長を見守りながら、星花がもたらす新たな命が村や牧場にさらなる加護を与えてくれることを願い続けた。蕾が少しずつ大きくなり、夜になると星花と共に輝きを増す様子に、村の人々も驚きと喜びを感じていた。

村人たちは星花のもとを訪れ、この蕾が新しい守り手となる日を楽しみにしていた。子供たちは蕾に触れることを楽しみにしながら、その柔らかな光に包まれて喜びの声を上げている。

「ヨウさん、この蕾も私たちを守る力を持つようになるんですか?」

ヨウは微笑みながら頷き、星花の加護が村全体を支えていることを伝えた。

「この蕾もきっと、星花と同じように私たちを守り、見守ってくれる存在になるよ。みんなで大切に育てていこう」

村の人々もまた、星花の成長を見守る気持ちを新たにし、蕾がもたらす新たな加護に期待を込めて静かに祈りを捧げた。

ある夜、蕾がふわりと開き、小さな星のような形をした光が舞い降りた。その光はヨウと仲間たちの周りをくるくると舞い、まるで小さな守り手が生まれたかのように、柔らかな光で彼らを包み込んでいる。

「この光……蕾から生まれた新しい命かもしれない」

レイナが驚きと感動の入り混じった表情で呟くと、ヨウも仲間たちと共にその光の温かさを感じ取りながら、星花の加護がさらに豊かになったことを実感していた。

星霜の精霊が現れ、微笑みを浮かべながら語りかけた。

「この小さな光は君たちの願いと愛が生んだ、新たな守り手だ。星花と共に、この光もまた君たちを守り続けるだろう」

ヨウはその言葉に感謝を込めて微笑み、新しい命を宿した星花と共に、村や牧場を守り続ける決意を新たにした。

こうして、ヨウと仲間たちは星花の新たな命と共に、村と牧場を守る日々を歩み続けることになった。星花の蕾がもたらした小さな守り手が、彼らの生活をさらに豊かにし、未来に希望を照らし続ける存在として輝き続けることを信じて――ヨウの物語はさらに深まり、未来へと続いていくのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~

雪月 夜狐
ファンタジー
異世界の冒険がしたい、だけど激しい戦闘や壮大な戦いはちょっと…。 そんな人にぴったりの、のんびりVRMMOファンタジーがここに誕生! 主人公アキは、仕事の合間に癒しを求めて「エターナル・ラプソディ」の世界にフルダイブ。 ネコマタというレアな種族でキャラクリし、素材集めや生産活動を楽しむことに。 仲間や街の住人たちとゆるやかに交流し、未知の素材や魔物と出会いながら、 自分らしい冒険の道を見つけていく。 ゆるふわな異世界で心のままに過ごすアキの姿は、日常の疲れを忘れさせてくれるはず。 癒しと発見が詰まった旅路、どうぞお楽しみに! 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/270920526】

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~

ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」  ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。  理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。  追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。  そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。    一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。  宮廷魔術師団長は知らなかった。  クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。  そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。  「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。  これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。 ーーーーーー ーーー ※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝! ※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。 見つけた際はご報告いただけますと幸いです……

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ゲームで第二の人生を!~最強?チート?ユニークスキル無双で【最強の相棒】と一緒にのんびりまったりハチャメチャライフ!?~

俊郎
SF
『カスタムパートナーオンライン』。それは、唯一無二の相棒を自分好みにカスタマイズしていく、発表時点で大いに期待が寄せられた最新VRMMOだった。 が、リリース直前に運営会社は倒産。ゲームは秘密裏に、とある研究機関へ譲渡された。 現実世界に嫌気がさした松永雅夫はこのゲームを利用した実験へ誘われ、第二の人生を歩むべく参加を決めた。 しかし、雅夫の相棒は予期しないものになった。 相棒になった謎の物体にタマと名付け、第二の人生を開始した雅夫を待っていたのは、怒涛のようなユニークスキル無双。 チートとしか言えないような相乗効果を生み出すユニークスキルのお陰でステータスは異常な数値を突破して、スキルの倍率もおかしなことに。 強くなれば将来は安泰だと、困惑しながらも楽しくまったり暮らしていくお話。 この作品は小説家になろう様、ツギクル様、ノベルアップ様でも公開しています。 大体1話2000~3000字くらいでぼちぼち更新していきます。 初めてのVRMMOものなので応援よろしくお願いします。 基本コメディです。 あまり難しく考えずお読みください。 Twitterです。 更新情報等呟くと思います。良ければフォロー等宜しくお願いします。 https://twitter.com/shiroutotoshiro?s=09

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

処理中です...