テイマーのんびり生活！スライムと始めるVRMMOスローライフ

第9章：星花が結ぶ絆

第71話 新たな訪問者と星花の奇跡

星花の加護が村全体を包むようになってから、村には穏やかで安らかな空気が漂っていた。ヨウとミラは星花の光を感じる村人たちの様子に喜びを感じながら、牧場での作業に励む日々を送っていた。ある日、村に新しい訪問者がやってきたという知らせが入り、ヨウはミラと一緒にその訪問者を迎えに行くことにした。

訪れたのは、「フィン」と名乗る青年で、旅の途中で星花の噂を耳にして立ち寄ったという。彼の表情はどこか疲れていたが、星花の話をする時だけは目が輝いているように見えた。

「あなたがヨウさんですね。星花の加護が村全体に広がり、穏やかな日々をもたらしていると聞きました。実は、僕もその光を一目見てみたいと思い、こうして訪ねてきました」

フィンは、まるで星花に導かれるかのように牧場を目指していたと言い、牧場に足を踏み入れると、星花の光に包まれる安らぎを感じ取った様子だった。ヨウとミラは彼を案内しながら、星花についての話をし、村と牧場を守る力がどのように広がっているのかを伝えた。

「この牧場の星花は、僕たちにとっても守りであり、希望の象徴なんだ。村や僕たちの仲間を支える力として、ずっとこの光を大切にしているんだよ」

ヨウの話に、フィンは静かに頷き、星花に向かって小さく礼をしながら、祈るように瞳を閉じた。

その夜、星花が輝きを増し、牧場と村全体を温かな光で包み込むと、フィンはまるで夢見るかのようにその光をじっと見つめていた。ミラが彼にそっと声をかけると、フィンは少し恥ずかしそうに笑いながら話し始めた。

「実は、僕には家族がいて……みんな病にかかってしまっているんです。星花の光が、少しでも彼らの元へ届けばと願っていました」

ミラはフィンの家族を想う心に心を打たれ、ヨウもまた、リクが星花の加護を家族に届けようと願った日を思い出していた。

「フィン、その願いはきっと星花に届くよ。僕たちも一緒に祈って、星花の力を分けてもらおう」

ヨウの言葉に、フィンは感謝の気持ちで溢れた目をしながら、星花に向かって深く祈りを捧げた。その姿を見て、ヨウとミラも彼の願いが届くことを願って静かに祈り続けた。

翌朝、フィンは星花の光に包まれながら少し元気を取り戻した様子で、家族のために一度旅を続けると告げた。ヨウとミラ、そして仲間たちは彼を送り出し、再び牧場で彼を迎えられる日を楽しみにしながら見送った。

「フィン、君の家族が元気を取り戻すことを信じているよ。星花の加護が彼らを守ってくれるだろう」

フィンはヨウとミラの言葉に深く礼をし、星花の光に見守られながら再び旅立っていった。彼の姿が見えなくなるまでヨウと仲間たちは静かに手を振り、星花の光が彼の家族にも届くことを願い続けていた。

フィンが去った後も、星花の光は夜ごとに力を増していき、村の隅々まで行き渡るように輝きを放っていた。村の人々は星花の光に包まれる中で日々を送り、病にかかっていた者や心に傷を抱えていた者も次第に癒されていった。星花の加護が人々の心を癒す力を持っていることを、ヨウとミラは改めて実感し、星花をさらに大切に守っていこうと誓った。

ある日の夜、星霜の精霊が再び現れ、ヨウとミラに話しかけた。

「ヨウ、ミラ、星花の加護がこれほどまでに広がっているのは、君たちの愛情と人々の祈りが一つになったからだ。この光はこれからも人々を守り、君たちを導く存在となるだろう」

星霜の精霊の言葉に、ヨウとミラは星花に感謝の気持ちを込めて頭を垂れ、牧場と村を守り続ける決意を新たにした。仲間たちも彼らに寄り添い、星花の光の中で静かに目を閉じて祈りを捧げている。

こうして、ヨウと仲間たちは星花の加護と共に、村と牧場を支え続ける日々を送っていく。星花の光は村だけでなく、遠くの人々にも希望をもたらし、守り続ける奇跡の存在として成長していった。これからも彼らの願いと星花の光が人々に安らぎと力を届けることを信じて――ヨウの物語はまた新たな章を迎えようとしていた。