上 下
39 / 91
第5章:新たな日常とさらなる冒険

第38話 星の花と、村の秘密の薬草園

しおりを挟む
青い石の守護の力を感じた冒険を経て、ヨウと仲間たちはさらに絆を深めた。ある日、牧場でのんびりしていたヨウのもとに、村の薬草師メリーから手紙が届いた。どうやら村の奥にある秘密の薬草園で、星の夜から現れた「星の花」を育てているとのことだ。

「ヨウくん、薬草園の手入れを手伝ってくれないかしら?星の花には特別な力があるらしいの。私一人では少し心もとないから、君と仲間たちに手を貸してほしいのよ。」

ヨウはメリーの頼みに応じ、仲間たちと一緒に薬草園を訪れることに決めた。星の花には穏やかな癒しの力があると噂されており、ヨウも興味津々で薬草園へと向かう準備を整えた。

薬草園は村の東にあり、通常は外部の人間が立ち入ることのない静かな場所だった。花やハーブの優しい香りが漂い、辺りはまるで隠れた聖域のように静まり返っている。ヨウと仲間たちはその神秘的な雰囲気に感動しながら、メリーと合流した。

「ヨウ、来てくれてありがとう。星の夜の後、この薬草園で星の花が咲き始めたの。普通のハーブとは違う特別な成分が含まれているらしくて……でも、世話をするのが難しくてね」

メリーはそう言って、ヨウに星の花が咲いている区画を見せてくれた。その花は青白く輝き、星の光を受けるとさらに強く光る様子が美しい。ぷにはその花の香りに惹かれて周りをくるくる回り、ふわりは風でその香りを辺りに優しく広げていた。

ヨウは早速、仲間たちと共に薬草園の手入れを始めた。ムームーは土を踏み固めて花の根を守り、シャボンは虹色の光を放って花の周りを照らしている。ミナは星の花に寄り添いながら、月の光のような優しい光を当てて花を守っているようだった。

作業をしていると、ふわりがふと遠くを見つめ、小さな声で「ふわっ」と呟いた。ヨウがその視線を追うと、薬草園の奥に一際輝く花が一本だけ立っているのが見えた。

「メリーさん、あの輝いている花は……?」

メリーは驚いた様子でその花を見つめ、静かに呟いた。

「それは『夜星の花』よ。星の花の中でも特に力を秘めたものと言われているわ。満月の夜にだけ咲く伝説の花で、その花びらはあらゆる傷を癒すと言われているの」

夜星の花を見つめるヨウの胸に、何か温かい思いが込み上げてきた。この花の力があれば、村や仲間たちがどんな困難にも立ち向かえるかもしれない――そんな希望が浮かんできた。

「メリーさん、この夜星の花をもう少しだけ見守ってもいいですか?僕も仲間たちと、少しでも力になりたいんです」

「ええ、もちろんよ。ヨウくん、君たちなら夜星の花の力を見届けられるかもしれないわね」

ヨウは夜星の花の側で静かに祈り、仲間たちと共にその力を感じ取るように目を閉じた。すると、青い石が再び淡く光り始め、花と共鳴するかのように暖かな光を放っている。どうやら青い石には、夜星の花の力を引き出す手助けもできるようだった。

「みんな、青い石が僕たちを導いてくれているみたいだ。この花をしっかり守ろう」

「ぷにっ!」「ふわっ!」「もこっ!」「もふっ!」「ぽよん!」「ふにゃん!」「ぴょん!」

七匹の仲間たちはそれぞれに応え、ヨウの周りを囲んで彼と花を見守り続けた。青い石と夜星の花の光が重なり合い、まるで夜空に星が輝くように薬草園が静かに照らされていた。

その後、星の光を受け取った夜星の花はゆっくりと光を放ちながら、薬草園に癒しの力を広げていった。ヨウと仲間たちはその様子に感動し、メリーと共に花を大切に見守り続けた。

その夜、ヨウは牧場で仲間たちと夜空を見上げながら、これからも星の力を借りて村や仲間たちを守り続ける決意を新たにした。

「みんな、星や青い石の力が僕たちを導いてくれている。これからも共に歩んでいこうな」

「ぷにっ」「ふわっ」「もこっ」「もふっ」「ぽよん」「ふにゃん」「ぴょん!」

仲間たちはそれぞれの声で応え、ヨウに寄り添いながら未来への希望を胸に抱いて夜空を見上げた。星々が優しく輝き、彼らの新たな冒険と日常が穏やかに続いていくことを祝福しているかのようだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

戦闘職をしたくてVRMMOを始めましたが、意図せずユニークテイマーという職業になったので全力でスローライフを目指します

地球
ファンタジー
「え?何この職業?」 初めてVRMMOを始めようとしていた主人公滝沢賢治。 やろうと決めた瞬間、戦闘職を選んでいた矢先に突然出てきた職業は【ユニークテイマー】だった。 そのゲームの名はFree Infinity Online 世界初であるフルダイブ型のVRゲームであり、AIがプレイヤーの様子や行動を把握しイベントなどを考えられるゲームであった。 そこで出会った職業【ユニークテイマー】 この職業で、戦闘ではなくてスローライフを!! しかし、スローライフをすぐにはできるわけもなく…?

ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~

雪月 夜狐
ファンタジー
異世界の冒険がしたい、だけど激しい戦闘や壮大な戦いはちょっと…。 そんな人にぴったりの、のんびりVRMMOファンタジーがここに誕生! 主人公アキは、仕事の合間に癒しを求めて「エターナル・ラプソディ」の世界にフルダイブ。 ネコマタというレアな種族でキャラクリし、素材集めや生産活動を楽しむことに。 仲間や街の住人たちとゆるやかに交流し、未知の素材や魔物と出会いながら、 自分らしい冒険の道を見つけていく。 ゆるふわな異世界で心のままに過ごすアキの姿は、日常の疲れを忘れさせてくれるはず。 癒しと発見が詰まった旅路、どうぞお楽しみに! 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/270920526】

モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件

こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。 だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。 好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。 これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。 ※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ

引退した元生産職のトッププレイヤーが、また生産を始めるようです

こばやん2号
ファンタジー
とあるVRMMOで生産職最高峰の称号であるグランドマスター【神匠】を手に入れた七五三俊介(なごみしゅんすけ)は、やることはすべてやりつくしたと満足しそのまま引退する。 大学を卒業後、内定をもらっている会社から呼び出しがあり行ってみると「我が社で配信予定のVRMMOを、プレイヤー兼チェック係としてプレイしてくれないか?」と言われた。 生産職のトップまで上り詰めた男が、再び生産職でトップを目指す! 更新頻度は不定期です。 思いついた内容を書き殴っているだけの垂れ流しですのでその点をご理解ご了承いただければ幸いです。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

転生特典:錬金術師スキルを習得しました!

雪月 夜狐
ファンタジー
ブラック企業で働く平凡なサラリーマン・佐藤優馬は、ある日突然異世界に転生する。 目を覚ますと、そこは見知らぬ森の中。彼に与えられたのは、「錬金術師」としてのスキルと、手持ちのレシピブック。 素材を組み合わせてアイテムを作る能力を持った優馬は、錬金術を駆使して日々の生活を切り開いていく。 そんな彼のもとに集まったのは、精霊の力を持つエルフの少女・リリア、白くフワフワの毛並みを持つ精霊獣・コハク。彼らは王都を拠点にしながら、異世界に潜む脅威と向き合い、冒険と日常を繰り返す。 精霊の力を狙う謎の勢力、そして自然に異変をもたらす黒い霧の存在――。異世界の危機に立ち向かう中で、仲間との絆と友情を深めていく優馬たちは、過酷な試練を乗り越え、少しずつ成長していく。 彼らの日々は、精霊と対話し、魔物と戦う激しい冒険ばかりではない。旅の合間には、仲間と共に料理を楽しんだり、王都の市場を散策して珍しい食材を見つけたりと、ほのぼのとした時間も大切にしている。美味しいご飯を囲むひととき、精霊たちと心を通わせる瞬間――その一つ一つが、彼らの力の源になる。 錬金術と精霊魔法が織りなす異世界冒険ファンタジー。戦いと日常が交錯する物語の中で、優馬たちはどんな未来を掴むのか。 他作品の詳細はこちら: 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】 『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/270920526】

【完結済み】VRゲームで遊んでいたら、謎の微笑み冒険者に捕獲されましたがイロイロおかしいです。<長編>

BBやっこ
SF
会社に、VRゲーム休があってゲームをしていた私。 自身の店でエンチャント付き魔道具の売れ行きもなかなか好調で。なかなか充実しているゲームライフ。 招待イベで魔術士として、冒険者の仕事を受けていた。『ミッションは王族を守れ』 同僚も招待され、大規模なイベントとなっていた。ランダムで配置された場所で敵を倒すお仕事だったのだが? 電脳神、カプセル。精神を異世界へ送るって映画の話ですか?!

【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する

土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。 異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。 その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。 心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。 ※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。 前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。 主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。 小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

処理中です...