テイマーのんびり生活！スライムと始めるVRMMOスローライフ

第3章：冒険と成長

第21話 森の異変と、新たな仲間「シャボン」

星の夜の予言を耳にしてから数日が経ち、ヨウは牧場での日常を楽しみつつも、心のどこかでその謎が気にかかっていた。しかし、四匹の仲間たちが元気いっぱいに跳ね回る姿を見ていると、その不安も少し和らぐ。

「ぷに、ふわり、ムームー、もふ。今日は久しぶりに森へ行って、材料集めをしよう！」

「ぷにっ！」「ふわっ！」「もこっ！」「もふっ！」

四匹はそれぞれ元気よく鳴き、ヨウの足元で跳ねたり、彼の肩に乗ったりと、嬉しそうな表情を浮かべている。今日は牧場での生活に必要な薬草や野菜の種などを集めるつもりだ。森の中をのんびり散策しながら、ほのぼのとした時間を過ごせるだろう。

ヨウたちは、村の北にある「エメラルドフォレスト」へと足を踏み入れた。エメラルドフォレストは、村の近くにありながらも神秘的な雰囲気が漂い、色とりどりの植物や美しい花々が生い茂っている場所だ。森の中に広がる緑の葉が風に揺れ、柔らかな陽光が木々の間から差し込んでいる。

「ここは本当に綺麗な場所だなぁ……いつ来ても癒されるよ」

ヨウが感嘆の声を漏らすと、ふわりが風を操って葉を揺らし、ぷには興味津々とばかりに草むらをぴょんぴょん跳ね回っている。ムームーも草を食みながらリラックスし、もふはヨウの肩でうとうとし始めていた。

しかし、しばらく歩いていると、いつもと違う異変に気づいた。森の一部の植物が枯れているように見え、所々で葉が茶色く変色している。

「えっ……この森、こんなに枯れてたことなんてあったっけ？」

ヨウは驚きながら、枯れた葉や花を眺めた。普段は活気に満ちた森が、どこか不気味な雰囲気を帯びている。四匹も異変に気づいたようで、ふわりが不安そうに肩に止まり、ムームーも少し警戒した様子で周りを見回している。

「星の夜の予言と何か関係があるのかもしれないな……」

ヨウがそんなことを考えていると、突然、森の奥から小さな光がふわりと漂ってくるのが見えた。その光は、まるで石鹸の泡のように透き通り、淡い虹色の輝きを放っている。興味を引かれたヨウは、四匹の仲間たちと一緒にその光の方へと進んでいった。

やがて、森の開けた場所に到着すると、そこには小さな生き物がふわふわと浮かんでいた。それは球体のような姿をした小さなモンスターで、まるでシャボン玉のように透明な体をしている。虹色の輝きを放ちながら、ヨウたちを興味深げに見つめていた。

「なんだ、このモンスター……すごく綺麗だな」

ヨウがその生き物に近づくと、ぷにが「ぷにっ！」と声を上げて親しげに挨拶し、ふわりも羽を広げて小さく「ふわっ！」と鳴いた。すると、そのモンスターも「ぽよん！」と可愛らしい音を立て、ヨウの周りをふわふわと浮かびながら回り始めた。

「もしかして、お前も仲間になりたいのか？」

ヨウがそう問いかけると、モンスターは嬉しそうに体をふわっと膨らませ、まるで頷いているかのように「ぽよぽよ」と跳ねている。その様子があまりにも愛らしく、ヨウは思わず笑みを浮かべた。

「よし、お前の名前は『シャボン』だ！今日から一緒に暮らそうな！」

「ぽよん！」

シャボンは大喜びで体をくるくると回転させ、ヨウの周りを飛び回っている。ぷにやふわり、ムームー、もふも新しい仲間を歓迎するかのようにそれぞれの鳴き声を上げ、シャボンを囲んで楽しそうに跳ねている。

シャボンを仲間に迎えたヨウは、森の奥をさらに進み、異変の原因を少しでも探ろうとした。すると、森のさらに奥には、色あせた石碑のようなものが立っているのを発見した。その石碑は、苔やツタに覆われているが、よく見ると古い文字が刻まれている。

「この石碑、なんだろう……」

ヨウが近づいて手で触れると、微かに石碑が輝き、そこから何かが語りかけてくるような不思議な感覚がした。シャボンも興味津々に石碑に寄り添い、「ぽよぽよ」と小さく鳴いている。

ヨウはインベントリからルミナスクリスタルを取り出し、石碑に向かってかざしてみた。すると、クリスタルが淡い青い光を放ち、石碑の文字が少しずつ浮かび上がってきた。

石碑の言葉： 「星の夜が訪れるとき、森は新たな力を得るだろう。だが、森を蝕む影が広がる時、古き力を持つ者が目覚め、守り手と共に災いを払い去る」

ヨウはその言葉をじっと見つめ、石碑が告げる「森を蝕む影」というのが、この森で起きている異変を指しているのではないかと考えた。そして、守り手と共に「古き力を持つ者」が現れるという部分が、どこか気になる。

「もしかして、この『古き力』って……俺たちのことなのか？」

ヨウは少し不安げに呟いたが、シャボンが「ぽよん！」と元気に鳴いて彼を励ますように飛び回り、ぷにたちもそれぞれの場所で力強く応えてくれた。その姿にヨウは微笑み、少しずつ自信を取り戻していった。

ヨウはシャボンを仲間に迎え、石碑の不思議な言葉を胸に刻みながら、森を後にした。帰り道、ヨウは仲間たちと共に異変の原因を探る決意を新たにし、村に戻った後で村の長老たちに報告をすることにした。

その夜、ヨウは牧場で新しい仲間のシャボンと一緒に穏やかな時間を過ごしていた。ぷにやふわり、ムームー、もふもそれぞれシャボンと遊び、すっかり打ち解けた様子だ。シャボンは透明な体をくるくると回しながら、夜空の星を映し出すように淡い光を放っている。

「シャボン、これからよろしくな。俺たちの大切な仲間だ」

「ぽよん！」

シャボンはヨウの言葉に応えるように楽しげに輝き、彼の手の中でまるで生きているかのように軽く跳ねている。ヨウはそんなシャボンの姿にほっこりとした気持ちになり、夜空を見上げた。

星々が輝く夜の牧場で、ヨウと彼の仲間たちは静かに未来への思いを馳せていた。そして、星の夜に向けて少しずつ、彼らの物語が動き出しているのを感じながら、ヨウは穏やかな眠りに身を委ねた。