テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ【更新停止中】

雪月夜狐

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第2章:モンスターとの暮らし

第12話 仲間たちと一緒に収穫祭へ!

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朝、グリーンリーフ村の空には青空が広がり、風が心地よく吹き抜けていた。ヨウはログインと同時に伸びをして、これから始まる一日に胸を躍らせた。今日は村で季節の収穫祭が開かれる日だ。

「ぷに、ふわり、ムームー、今日は村のお祭りだぞ!一緒に行こう!」

牧場の小屋から顔を出した三匹は、ヨウの言葉に応えるように「ぷにっ!」「ふわっ!」「もこっ!」とそれぞれの声で鳴き、嬉しそうに跳ねたり羽ばたいたりしている。ヨウはそんな三匹を連れて、村の中央広場へと向かった。

村の広場には、既に様々な露店が立ち並び、住人やプレイヤーたちが楽しそうに行き交っている。広場の真ん中には大きなテーブルが用意され、そこには村で収穫されたばかりの野菜や果物が山盛りに並んでいた。収穫祭は、村人とプレイヤーが一緒に楽しむためのイベントであり、ヨウも仲間たちと一緒にその雰囲気を満喫することに決めていた。

「ほら、見てみろよ。あんなに大きなカボチャがあるぞ!」

「ぷにっ!」

ぷにはカボチャをじっと見つめ、まるで自分の体とどっちが大きいかを比べているようだった。その仕草があまりにも愛らしく、ヨウは思わず笑ってしまう。ふわりは風に乗って小さく羽ばたきながら、露店の屋根の上から村の様子を見下ろして楽しんでいる。ムームーはのんびりとした足取りで、周囲の草の香りを嗅ぎながら歩いている。

そんな彼らの姿を見ていると、ヨウは自然と心が温かくなる。仲間たちと一緒に歩き回ることが、これほど楽しいものだとは思わなかった。

しばらく広場を散策していると、ヨウの目に「収穫祭料理コンテスト」の看板が目に入った。どうやら村人やプレイヤーが作った料理を持ち寄り、審査員に振る舞って優勝を競うイベントらしい。参加者には村特製のレアアイテムがプレゼントされるという。

「これは面白そうだな……よし、参加してみるか!」

ヨウはさっそく、ぷに、ふわり、ムームーに向かって声をかけた。

「お前たち、せっかくだから俺たちの特製スープを作ってみよう!」

三匹は嬉しそうに応え、それぞれワクワクした表情を見せた。ヨウは以前からの得意料理である「野菜スープ」を少しアレンジし、収穫祭にふさわしい豪華なスープを作ることを決意した。

ヨウは広場の隅にある臨時の調理台へと向かい、持参していたキャベツ、ニンジン、そして収穫祭用に特別に用意されていた「金色のカボチャ」を使ってスープ作りに取りかかった。

「ふわり、お前はかぜのダンスで火加減を見てくれるか?」

「ふわっ!」

ふわりは小さく羽ばたきながら、風の力で火を調整する役目を引き受けた。ぷには鍋モードに変形し、ヨウが具材を入れるのを待っている。ムームーはふわふわの毛に小さな野菜を載せ、ヨウが使いやすいように横で準備をしている。

「よし、材料もバッチリだな。お前たち、頼りになるぞ!」

ヨウはキャベツとニンジン、そして金色のカボチャを丁寧に刻んで鍋に入れ、じっくりと煮込んでいった。煮立ったスープからは甘く香ばしい匂いが立ち上り、周りの人々もその香りに気づいて興味津々といった様子で近づいてくる。

やがてスープが完成し、ヨウは満足そうに頷いた。鍋を小分けにし、それぞれの器に注いでコンテスト用のテーブルに並べると、村の長老や住人たちが審査員として席に着いた。

「それでは、収穫祭料理コンテストを始めます!」

エミリアが司会を務め、参加者たちの料理が次々に審査員たちに振る舞われた。ヨウのスープもテーブルに運ばれ、長老たちが一口ずつ味見している。スプーンを口に運ぶと、長老の顔がほころんだ。

「これは……野菜の甘みがしっかりと引き出されている。特に、この金色のカボチャの柔らかさが絶妙だ」

「うんうん。おいしい!心が温まるような、優しい味だね」

ヨウは少し緊張しながらも、ぷにたちと一緒に審査員の反応を見守っていた。審査員たちが笑顔で頷く姿に、彼は内心ホッと胸をなでおろす。

コンテストが終わり、エミリアが参加者たちを集めて結果発表を始めた。

「それでは、収穫祭料理コンテストの優勝者を発表します!優勝は……ヨウさんの『特製野菜スープ』です!」

ヨウは驚きながらも、隣にいるぷに、ふわり、ムームーと顔を見合わせて喜びを分かち合った。

「やったな、お前たち!みんなのおかげだよ」

「ぷにっ!」「ふわっ!」「もこっ!」

三匹はそれぞれ嬉しそうにヨウの周りを跳ね回り、観客からも温かい拍手が贈られた。ヨウはエミリアから優勝賞品として、村の特産である「光のハーブ」を受け取った。

光のハーブは、特別な香りを持ち、夜にほのかな光を放つ不思議な植物だ。料理に使えば、栄養価を高めるだけでなく、リラックス効果もあると言われている。

「これはいいな。これでまた、みんなのために美味しいスープが作れるぞ!」

ヨウは早速、光のハーブを使った新しいレシピを考え始めた。家族のような仲間たちと一緒に過ごし、喜びを分かち合う生活――この日常が、彼にとって何よりの幸せだと感じていた。

その日の夜、ヨウは牧場に戻り、焚き火を囲みながら三匹に新しいスープを振る舞った。光のハーブを少し加えたスープは、ほんのりとした光を放ち、三匹は興味津々な様子でスープを見つめている。

「今日はお前たちのおかげで優勝できたからな、これはそのお礼だ。さあ、たっぷり味わってくれ!」

「ぷにっ!」「ふわっ!」「もこっ!」

三匹はそれぞれスープを一口ずつ飲み、満足げに体を揺らして喜んでいる。ヨウもまた、その姿を見ているだけで心が満たされていくようだった。静かな夜の牧場で、彼と三匹の仲間たちは温かい時間を共有し、ゆっくりと眠りについた。
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