テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ【更新停止中】

雪月夜狐

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第2章:モンスターとの暮らし

第11話 あたらしい家と家族の時間

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朝の穏やかな光がグリーンリーフ村に差し込み、ヨウはログインと同時に深呼吸をした。清々しい空気が肌に心地よく、牧場でのスローライフに対する期待で胸が高まる。今ではぷに、ふわり、ムームーという三匹のモンスターがヨウの生活を彩り、彼の心を日々癒してくれていた。

「さて、今日はみんなのために、もう少し広い小屋を作ろうか」

ヨウは以前から考えていた「モンスターたちの共同ハウス」を作ることを決め、さっそく村のクラフトステーションで必要な素材を確認した。木材や石材はある程度集めていたが、少し不足している分がある。そこで、ぷにとふわり、ムームーを連れて森の中へと素材集めに向かうことにした。

森の中は朝露で湿り気を帯び、葉の合間からこぼれる光が幻想的な雰囲気を作り出している。ぷには「ぷにぷに」と元気に跳ね、ふわりは小さく羽ばたきながらヨウの周りを飛び回っている。ムームーはふわふわの体を揺らしながら、ヨウのすぐ隣をゆっくりと歩いていた。

「みんな、一緒に素材集め頑張ろうな!」

「ぷにっ!」「ふわっ!」「もこっ!」

三匹が一斉に応え、ヨウは微笑みながら森の奥へと進んでいった。

しばらく森の中を歩き、ヨウは木材や石材が取れそうな場所を見つけた。彼は斧を手に取って木を切り倒し、木材に加工していく。一方で、ふわりは「かぜのダンス」で小枝をまとめたり、葉っぱを運んだりしてヨウをサポートしている。

「お前、本当に器用だな、ふわり。助かるよ」

「ふわっ!」

ふわりは嬉しそうに小さく羽ばたき、さらに元気よく周りの枝や小さな石を運んでくれた。ぷにはツルハシのように体を固く変形して、石材を削る手伝いをしている。ムームーも、近くの草を食みながら、ヨウが作業している様子をじっと見守っている。

「みんなが協力してくれるから、素材集めもあっという間だな」

ヨウは三匹の仲間たちに感謝の気持ちを込めて声をかけ、無事に必要な素材を集め終えることができた。素材が揃ったところで、村に戻り、牧場での小屋作りに取り掛かることにした。

ヨウは集めた木材と石材をクラフトステーションにセットし、設計図を見ながら小屋の組み立てを始めた。ふわりが風で木材を整え、ぷには木槌のような形に変形して釘を打ち込むのを手伝ってくれる。そしてムームーは、そのもこもこの体で余った木材や石材をクッションのように抱え込んでくれている。

「みんなのおかげで、作業がどんどん進むな。本当に頼りになるよ」

ヨウは一つひとつの部材を丁寧に組み立てながら、心から三匹に感謝していた。モンスターたちと一緒に何かを作り上げる時間が、今ではヨウにとって何よりも楽しいひとときになっていた。

数時間かけてようやく小屋が完成すると、ヨウは息をついて満足そうにその出来栄えを眺めた。小屋は、三匹がゆったりと過ごせる広さで、中には小さなベッドと、少し高い位置にふわりのための止まり木も用意している。

「どうだ、みんな?これからここがお前たちの新しい家だよ」

「ぷにっ!」「ふわっ!」「もこっ!」

三匹はヨウの声に応えるように小屋の中へ入り、それぞれ自分の居場所を見つけてリラックスしている様子だった。ぷには一番奥のベッドに体を落ち着け、ふわりは止まり木にぴょんと飛び乗り、ムームーはふわふわの毛を揺らしながら真ん中に座っている。

「気に入ってくれたみたいでよかったよ。これで夜も安心して過ごせるな」

ヨウは小屋の入り口に腰を下ろし、三匹の姿を眺めながら静かな時間を楽しんでいた。小さな家族が増えて、日々の生活がどんどん豊かになっていく――そんなことを思いながら、ヨウの胸には穏やかな満足感が広がっていた。

その夜、ヨウは新しくできた小屋の前で焚き火を囲み、三匹と共に一日の疲れを癒していた。満天の星が夜空に輝き、暖かな火の光が三匹を優しく照らしている。

「これからも、みんなで楽しい日々を過ごしていこうな」

ヨウがそう呟くと、三匹も安心したように寄り添ってきた。ぷにはヨウの膝に寄りかかり、ふわりは肩にちょこんと乗り、ムームーはふわふわの毛でヨウの手を包み込むようにして座っている。

「お前たちがいると、本当に心が穏やかになるよ」

ヨウは静かな夜風を感じながら、三匹と共に牧場でのスローライフを心から満喫していた。日常の中で少しずつ築き上げていく仲間との絆――それが、この世界でヨウが一番大切にしているものだった。

「おやすみ、ぷに、ふわり、ムームー。また明日も楽しい一日にしような」

ヨウはそう呟いて目を閉じ、心地よい眠気に身を委ねた。牧場の静寂の中で、三匹のモンスターたちがヨウに寄り添い、穏やかな夢を見ている。その姿を、夜空の星々が静かに見守っていた。
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