テイマーのんびり生活！スライムと始めるVRMMOスローライフ

第2章：モンスターとの暮らし

第10話 新しい仲間「ムームー」と牧場づくり

青空の広がる穏やかな朝、ヨウはログインすると同時にグリーンリーフ村の心地よい風を感じた。ふわりとぷにと一緒に過ごすスローライフが、いつの間にか彼の日常になっていた。毎日、のんびりとした生活の中で少しずつ牧場を育て、仲間たちの世話をすることが、何よりも充実した時間になっている。

「さて、今日もふわりとぷにの朝ごはんを作ってやるか」

ヨウは早速、牧場にある小さな畑から新鮮なキャベツとニンジンを収穫した。ぷには嬉しそうに「ぷにっ！」と鳴き、ふわりも「ふわっ！」と羽を揺らしながら、ヨウの足元でちょこちょこと跳ねている。その姿に、ヨウは思わず頬が緩んだ。

「お前たち、元気いっぱいだな。今日は少し特別なスープにしてみようか」

ヨウはキャベツとニンジンを刻み、ぷにに「鍋モード」に変身してもらった。ぷにはいつものように鍋の形にぷるんと変形し、ヨウはそこに野菜を入れてじっくり煮込み始めた。ふわりは鍋の周りをくるくると飛び回り、鍋から立ち上る美味しそうな香りを楽しんでいる。

「よし、完成だ！今日の特製スープ、たっぷり味わってくれよ」

ヨウが木の器にスープをよそって差し出すと、ぷには喜びの声をあげ、ふわりも嬉しそうにスープを口に運び始めた。二匹が美味しそうに食べる姿を見ていると、ヨウも心が満たされる思いだった。

食事を終えた後、ヨウは牧場の隅にある空きスペースを眺めながら、次の目標について考えていた。

「もっと賑やかな牧場にするために、そろそろ新しい仲間を迎え入れたいな」

ふわりとぷにとの生活は楽しいが、さらにモンスターたちが増えれば、牧場全体がもっと温かく、賑やかになるだろう。ヨウはそんなことを考えながら、ふわりとぷにを連れて村の広場へと向かった。

広場にはさまざまな露店が立ち並び、村人たちが楽しそうに行き交っている。ヨウはふと、動物やモンスターを売買しているテイム商人の店に目が留まった。テイム商人のフレッドは、ヨウが近づくと気さくに手を振って声をかけてきた。

「おや、ヨウじゃないか！今日はどうしたんだい？」

「いや、実は新しい仲間を増やそうと思ってね。何かいい子がいないかなって」

「ほう、そりゃいい心がけだな。君の牧場に合いそうな子を見せてあげるよ」

フレッドはそう言って、店の奥から小さなモンスターを連れてきた。そこには、もこもことした柔らかな毛並みの小さなヒツジ型モンスターがいた。体はふわふわの毛で覆われていて、つぶらな瞳が愛らしくヨウを見つめている。

「この子は『ウールラム』っていうヒツジ型のモンスターさ。おとなしくて人懐っこいから、牧場で育てるにはぴったりだと思うよ。毛は定期的に刈れば、服の材料にもなるしな」

「へえ、ウールラムか……可愛いな。よし、この子を仲間にしよう！」

ヨウはウールラムを撫でて、優しく話しかけた。

「お前、これから俺の牧場で一緒に暮らそう。名前は……そうだな、『ムームー』ってどうだ？」

ウールラム――ムームーは、ヨウの言葉を理解したかのように小さく「もこっ」と鳴き、嬉しそうにヨウの足元にすり寄ってきた。その愛らしい仕草に、ヨウは自然と笑顔になる。

「よろしくな、ムームー。ぷに、ふわり、仲良くしてやってくれよ」

「ぷにっ！」「ふわっ！」「もこっ！」

ぷにとふわりもムームーの周りを楽しそうに跳ね回り、三匹はまるで長い付き合いだったかのようにすぐに仲良くなった。ヨウはそんな仲間たちの姿を見て、心が温かくなるのを感じた。

新しい仲間を迎えたヨウは、さっそくムームーのために牧場に簡単な小屋を作ることにした。木材や石材を集め、村のクラフトステーションで柵を組み立てる。ふわりも「かぜのダンス」を使って木材を運ぶ手伝いをしてくれ、ムームーもヨウの作業を興味津々で見守っている。

「お前たち、いいチームワークだな！よし、もう少しで完成だ！」

ヨウが最後の釘を打ち終え、ムームー専用の小さな小屋が無事に完成した。ムームーは自分の新しい家ができたことが嬉しいのか、ヨウの手に顔をすり寄せ、満足げな声をあげている。

「気に入ってくれたみたいでよかったよ。これでお前も安心して暮らせるな、ムームー」

ヨウはムームーを優しく撫で、ふわりとぷにも新しい仲間が加わったことで牧場がさらに賑やかになったことに心から喜びを感じていた。これから、この牧場で四人がどんな日々を過ごすのか、自然と期待が膨らんでくる。

その日の夜、ヨウは牧場の片隅で焚き火を焚き、ムームーにとって初めての夜を温かく迎えることにした。火の暖かさと、星の瞬きが静かな夜を包み込み、ムームーは心地よさそうに毛をふわふわと揺らしながら、ヨウの隣で眠っている。

「お前たちが増えて、ここもますます賑やかになってきたな。これからも、みんなで仲良く過ごしていこう」

ヨウはふわりとぷに、そしてムームーを優しく撫で、それぞれが安心したように寄り添ってくる。彼らの温もりを感じながら、ヨウは自分だけの小さな家族ができたことに改めて感謝した。

「おやすみ、みんな。また明日も一緒に楽しい一日を過ごそうな」

ヨウはそっと目を閉じ、静かな夜の空気を感じながらゆっくりと眠りについた。牧場の片隅で、彼と三匹のモンスターたちが穏やかな夢を見ている。その姿を、満天の星々が静かに見守っていた。