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第2章:モンスターとの暮らし

第9話 新たな家族、ふわりと羽ばたくヒヨコ

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朝の柔らかな光がグリーンリーフ村を照らし、ヨウはログインと同時に温かい空気を感じて伸びをした。昨日、ぷにに加えて新しい仲間となったヒヨコ型モンスター、フワリウム。ふわふわした黄色い羽毛と、愛らしい仕草がなんとも可愛らしく、ヨウの心をすっかり癒してくれていた。

「さて、今日も牧場の朝ごはんから始めるか!」

ヨウは牧場のほうに歩いていき、ぷにとフワリウムが並んで朝日を浴びているのを見つけた。ぷにはヨウの姿を見つけると「ぷにっ!」と元気に跳ねて挨拶し、フワリウムも同じように「ふわっ!」と羽をふるわせてヨウに応えてくれた。

「おはよう、ぷに。おはよう、フワリウム……そういえば、お前の名前、まだ決めてなかったな」

ヨウは、フワリウムを撫でながら少し考え込む。せっかく仲間になったのに、名前がないままでは寂しい気がしていた。ヒヨコのようなこの小さなモンスターが、自分に懐いてくれたことを思うと、愛着がどんどん湧いてくる。

「よし、名前は『ふわり』でどうだ?お前のふわふわした羽と、軽やかに跳ねる姿がぴったりだと思うんだ」

「ふわっ!」

まるで自分の名前が気に入ったかのように、ふわりは嬉しそうに体を揺らしながら小さく羽を広げた。その仕草がまた可愛くて、ヨウの頬が思わず緩む。

「ふわり、これからよろしくな!ぷにとも仲良くやってくれよ」

「ぷにっ!」「ふわっ!」

二匹が仲良くヨウに寄り添う姿を見て、彼は小さな家族ができたような温かさを感じた。

「さて、今日の朝ごはんも二匹に特製スープを作ってやるか!」

ヨウは、収穫したばかりの新鮮なキャベツとニンジンを持ち、ぷにに鍋モードに変身してもらった。ぷには体をぷるんと変形させて小さな鍋になり、ヨウはその中にキャベツとニンジン、水を入れて火にかけた。

ふわりは、興味津々な様子でぷにの鍋の周りをちょこちょこと歩き回り、煮えたぎるスープの匂いを嬉しそうにかいでいる。ぷにも、「ぷにぷに」と軽く泡立ちながら一生懸命スープを温めているようで、ヨウはその二匹の様子に微笑んだ。

「本当に、いいコンビだな。これから賑やかになるのが楽しみだ」

やがてスープが煮え、ふわりとぷにの前に特製の野菜スープが完成した。ヨウは二匹のために小さな木の器にスープをよそって差し出すと、ぷには「ぷにっ!」と喜びながら一口ずつ食べ、ふわりも「ふわっ!」と鳴いてスープを堪能している。そんな二匹の様子を見て、ヨウは心からほっこりとした気分になった。

食事を終えた後、ヨウはふと、「次は畑仕事をしようか」と思い立ち、二匹を連れて畑へ向かった。自分が手塩にかけて育てた野菜が、少しずつ実をつけていくのを見ていると、自然とやる気が湧いてくる。

「ふわり、お前も水やり手伝ってくれるか?」

「ふわっ!」

ふわりはヨウの声に応えて羽をぱたぱたと広げ、ヨウの周りを軽やかに飛び回った。ふわりのスキル「かぜのダンス」を使えば、風を起こして水をまんべんなく畑に撒くことができる。ヨウがジョウロで水を撒きながら、ふわりが風で水を広げることで、畑全体に水が均等に行き渡っていく。

「すごいな、ふわり!お前のおかげで作業が楽になるよ」

「ふわっ!」

ふわりは、褒められてさらに嬉しそうに舞い上がり、ぷにはそんなふわりを見て楽しそうに「ぷにぷに」と鳴きながら地面でぴょんぴょん跳ねている。二匹が仲良く作業を手伝ってくれる姿に、ヨウは自然と笑顔になった。

畑の手入れが終わると、ヨウはふわりに新しいトリックを教えようと思い立った。「かぜのダンス」を使って、水だけでなく小さな道具や食材も運べるようになれば、ふわりがさらに役立つ場面が増えるかもしれないと考えたのだ。

「ふわり、ちょっとした訓練をしてみないか?」

ふわりは興味津々な表情で、ヨウの顔を見上げる。

「まずはこの葉っぱを軽く飛ばしてみようか。風をうまくコントロールして、これを俺のところまで運んでくれると助かる」

ヨウが地面に置いた葉っぱを指差すと、ふわりは小さく「ふわっ!」と鳴き、風を起こして葉っぱをふわりと浮かせた。ヨウの手元に向かってそっと風を送り、葉っぱが軽やかに飛んでくる様子に、彼は思わず拍手をしてしまう。

「いいぞ、ふわり!完璧じゃないか!」

「ふわっ!」

ふわりは自分でも誇らしげな表情でヨウを見上げ、ヨウもその嬉しそうな顔に心が温まった。

「お前たちがいてくれるから、何をしてても楽しいよ」

ヨウはぷにとふわりをそっと撫で、二匹も喜んでその手にすり寄る。これからも彼らと共に、のんびりとした生活を楽しんでいきたいという気持ちが、ヨウの胸の中でじんわりと膨らんでいった。

その日の午後、ヨウは牧場でのんびりと過ごしていたが、村の掲示板に新しいクエストが貼り出されたと聞いて、ふわりとぷにを連れて見に行くことにした。村の中央にある掲示板には、さまざまなクエストが張り出されており、どれも村を豊かにするための手助けや、スローライフをさらに充実させるような依頼ばかりだ。

その中で、ヨウの目を引いたのは「珍しい種探し」のクエストだった。どうやら、村の近くにある「クリスタルの泉」に、特殊な作物が育つ種が眠っているらしい。報酬は、その種から育てられる「夢見草」という希少な作物で、夜になると淡い光を放つ特徴があるという。

「へえ、夢見草か……夜に光る植物なんて、なんだか素敵だな」

ヨウはそのクエストを受け、ふわりとぷにを連れてクリスタルの泉へと向かうことにした。道中、ふわりは時折空に羽ばたき、ぷには「ぷにぷに」と鳴きながら、ヨウのすぐ後ろを追いかけてくる。まるで小さな冒険隊のような三人の行列に、ヨウの心は自然とワクワクしてきた。

クリスタルの泉に到着すると、辺りは静まり返り、泉の水面がきらきらと輝いている。その幻想的な光景に、ヨウも思わず息を呑んだ。

「きれいだな……ここに夢見草の種があるのか」

ふわりとぷにも、神秘的な泉の光に惹かれるように近づいていく。ヨウはそっと泉の周りを探し始め、岩陰に小さな緑色の光が輝いているのを見つけた。それは確かに、クエストで指定されていた「夢見草の種」だった。

「よし、見つけたぞ!」

ヨウは種を手に取り、満足げに頷いた。これでまた、牧場に新しい作物が加わり、さらに楽しいスローライフが送れるだろう。ぷにとふわりも、嬉しそうにヨウに寄り添い、三人は泉の輝きを背にして村へと戻った。

その夜、ヨウは収穫した夢見草の種を牧場に植え、ぷにとふわりと一緒に静かな夜を過ごしていた。二匹が仲良く寄り添って眠る姿を見ながら、彼は小さく微笑み、心からの感謝の気持ちを抱いた。

「おやすみ、ぷに。おやすみ、ふわり。これからも、一緒に楽しい日々を過ごそうな」

優しい夜風が牧場を包み込み、星々が彼らの眠りを見守っていた
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