テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ【更新停止中】

雪月夜狐

文字の大きさ
上 下
9 / 91
第2章:モンスターとの暮らし

第8話 新たな従魔「フワリウム」との出会い

しおりを挟む
収穫祭が終わり、グリーンリーフ村はいつも通りの穏やかな日常に戻っていた。ヨウはぷにとのんびりとした日々を楽しみながら、次の目標に向けて少しずつ準備を進めていた。

「ぷに、今日は村の外れにある小さな牧場に行ってみないか?」

「ぷにっ!」

ぷには嬉しそうに跳ねてヨウの足元に寄り添う。ヨウは最近、ぷに以外にも新しい仲間を増やしたいと考えるようになっていた。スローライフを送りながら、もっと賑やかで温かい牧場を作りたい。そんな願いが彼の中で芽生えていたのだ。

村の外れにある牧場は、NPCのミアが管理している小さな牧場だ。ミアは動物やモンスターの世話をするのが得意で、テイマーとしてのヨウにとってもよき相談相手だった。ヨウが牧場に着くと、ミアが笑顔で手を振って出迎えてくれた。

「ヨウ、いらっしゃい!今日は何の用?」

「うん、実はぷに以外にも新しいモンスターを仲間にしたくてね。少しだけ見学させてもらおうと思って」

「なるほど、いい心がけね!うちの牧場には、いろんなモンスターがいるから、気に入った子がいれば教えてね」

そう言って、ミアはヨウを牧場の奥へ案内した。広い牧場には小さなヒツジのようなモンスター「ウールラム」や、草を食むウサギ型のモンスター「フワフワラビット」など、可愛らしい従魔たちがのんびりと過ごしている。その中で、ひときわ目を引いたのは、ふわふわと浮かぶように歩く小さなヒヨコ型のモンスターだった。

「この子は……?」

「ああ、気に入った?この子はフワリウムって言って、風の力を持ったヒヨコ型モンスターなの。とっても人懐っこくて、癒されるよ」

ミアが指さしたそのモンスターは、体全体が柔らかそうな黄色い羽毛で覆われており、どことなくぷにと似たような愛らしさを感じさせる。ヨウが近づくと、フワリウムも興味津々といった様子でヨウに寄ってきた。

「お前も仲間になりたいか?」

ヨウがそっと手を伸ばすと、フワリウムはヨウの手に頭をすり寄せるようにして甘えてきた。その仕草に、思わずヨウの心がほっこりと温かくなる。

「よし、それならお前も仲間にしよう。これからよろしくな、フワリウム」

フワリウム テイム成功!

フワリウムがヨウの仲間に加わり、彼の牧場に新たな命が吹き込まれた。ヨウはさっそくフワリウムを牧場に連れて帰り、ぷにと対面させてみることにした。

ヨウの牧場に戻ると、ぷには新しい仲間のフワリウムに興味津々といった様子で近づいてきた。フワリウムも、ぷにの透明でぷよぷよした体が気になるようで、くんくんと匂いを嗅ぐ。二匹が初めての挨拶を交わす様子を見て、ヨウは思わず笑顔になった。

「お前たち、仲良くやっていけそうだな」

「ぷにっ!」「ふわっ!」

ぷには嬉しそうに体を揺らし、フワリウムも小さく羽を広げて応える。二匹の姿はまるで兄弟のようで、見ているだけで癒される。

さっそくヨウは、二匹のために夕食を作ることにした。今日は手持ちのキャベツやニンジンを使って、シンプルな野菜スープを作ることに決めた。ぷには以前から野菜スープが大好きだったし、フワリウムも新しい環境でリラックスできるよう、美味しいご飯を食べさせてあげたかった。

「さて、ぷに、今日はお前も『鍋モード』になってくれるか?」

「ぷにっ!」

ぷには鍋に変形し、スープの準備を整えた。ヨウはキャベツとニンジンを丁寧に刻み、ぷにの鍋に入れていく。火をかけると、ふわりと香ばしい野菜の香りが漂い始めた。

「フワリウム、お前も楽しみにしててくれよ」

「ふわっ!」

ヨウが話しかけると、フワリウムも期待に満ちた目でスープを見つめ、時折「ふわふわ」と小さく跳ねている。その愛らしい仕草に、ヨウの心もほっこりと和む。

やがてスープが煮立ち、完成したスープを二匹のために小分けして差し出した。ぷにはいつものように一口ごとに嬉しそうな顔を見せ、フワリウムも初めてのスープに感激した様子でピヨピヨと鳴きながら食べている。

ぷに&フワリウムの特製野菜スープ
【効果】:HP回復(小)、リラックス効果(中)
【材料】:キャベツ×1、ニンジン×1、水×1

「どうだ、ぷに?フワリウムも、気に入ってくれたみたいだな」

「ぷにっ!」「ふわっ!」

二匹が満足そうに食事を終えた姿を見て、ヨウは自分も自然と満ち足りた気持ちになった。こんな風に仲間たちと一緒に過ごし、喜びを分かち合える――それが、何よりも贅沢な時間だと感じる。

夜になり、ヨウは牧場の片隅に焚き火を焚き、ぷにとフワリウムを囲んで静かな時間を過ごしていた。星が瞬く夜空の下、二匹のモンスターが寄り添って眠る姿は、まるで小さな家族のようだった。

「今日はありがとうな、ぷに、フワリウム。お前たちのおかげで、本当に幸せな気持ちになれるよ」

「ぷに……」「ふわ……」

焚き火の温かな光が二匹の体を包み込み、彼らは安心しきった様子で小さく息をついている。その姿を見ていると、ヨウの心にも優しい眠気が広がり、瞼が少しずつ重くなっていった。

ヨウは牧場に小さなテントを張り、その夜は二匹と一緒に眠ることにした。現実では味わえない穏やかな時間に、彼は心の底から感謝の気持ちを抱いていた。

「おやすみ、ぷに……フワリウム……」

そう呟き、ヨウは穏やかな寝息を立てて眠りについた。牧場の静かな夜は続き、彼と二匹のモンスターの寝顔を、満天の星々が優しく見守っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

動物大好きな子が動物と遊んでいたらいつの間にか最強に!!!!

常光 なる
ファンタジー
これは生き物大好きの一ノ瀬夜月(いちのせ ないと)が有名なVRMMOゲーム Shine stay Onlineというゲームで 色々な生き物と触れて和気あいあいとする ほのぼの系ストーリー のはずが夜月はいつの間にか有名なプレーヤーになっていく…………

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

スキルガチャで異世界を冒険しよう

つちねこ
ファンタジー
異世界に召喚されて手に入れたスキルは「ガチャ」だった。 それはガチャガチャを回すことで様々な魔道具やスキルが入手できる優れものスキル。 しかしながら、お城で披露した際にただのポーション精製スキルと勘違いされてしまう。 お偉いさん方による検討の結果、監視の目はつくもののあっさりと追放されてしまう事態に……。 そんな世知辛い異世界でのスタートからもめげることなく頑張る主人公ニール(銭形にぎる)。 少しずつ信頼できる仲間や知り合いが増え、何とか生活の基盤を作れるようになっていく。そんなニールにスキル「ガチャ」は少しづつ奇跡を起こしはじめる。

処理中です...