テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ【更新停止中】

雪月夜狐

文字の大きさ
上 下
6 / 91
第1章:スローライフの始まり

第5話 料理ギルドでの挑戦と、新しいレシピの発見

しおりを挟む
「さあ、今日もがんばるか!」

陽平――ゲーム内では「ヨウ」としてプレイしている彼は、ログインと同時に深呼吸し、朝の爽やかな空気を吸い込んだ。グリーンリーフ村の空は快晴。温かな陽射しが草原を照らし、心が自然と落ち着く。村の広場を歩きながら、まずは畑の様子を確認するため、自分の小さな牧場へ向かうことにした。

ヨウが畑に到着すると、キャベツやニンジンが一晩でしっかりと成長していた。村の肥沃な土のおかげで、作物が驚くほど早く育っている。

キャベツ(成長度100%)
【状態】:収穫可能
【栄養値】:高
【成長ボーナス】:HP+5(料理に使用した場合)

ニンジン(成長度100%)
【状態】:収穫可能
【栄養値】:中
【成長ボーナス】:攻撃力+1(料理に使用した場合)

「よし、これで今日の材料はばっちりだな」

ヨウは慎重にキャベツとニンジンを収穫し、インベントリに入れる。この世界では、育てた作物が料理に使われると特定の効果が付与されるため、作物の成長ボーナスはとても重要な要素だ。特に、ぷにに食べさせる料理は成長に直結するため、ヨウは自然と収穫の手にも力が入る。

「ぷに、今日もごちそう作るから楽しみにしててくれよ」

「ぷにっ!」

ぷには、相変わらず元気よく跳ねてヨウに応えた。

ヨウは収穫したキャベツとニンジンを持って、再び料理ギルドへと足を運んだ。今日はギルドマスターのエミリアが、初心者向けの「料理チャレンジ」を開催する日らしい。初心者向けといっても、決められた食材を使って工夫し、より美味しい料理を作ることを目指すイベントだ。

ギルドに入ると、すでに数人のプレイヤーが集まっており、見慣れた顔もちらほら見える。昨日知り合ったリナも、さっそくエプロンをつけて調理台の前で待機していた。

「ヨウ!来てくれたのね。今日は一緒に料理チャレンジに参加しましょう!」

「もちろんだよ。リナ、よろしく頼む!」

エミリアが参加者たちに説明を始める。今回のテーマは「自然の恵みを使ったヘルシーレシピ」だという。持ち込んだ食材を自由に使い、オリジナルの料理を作ることが求められる。

「さて、ヨウ。何を作るか決めた?」

「うーん、せっかく収穫したキャベツとニンジンがあるし……そうだ!『キャベツのロール煮』を作ってみようと思うんだ」

ヨウの提案に、リナが嬉しそうに目を輝かせる。

「それ、面白そう!私は、キャベツとトウモロコシを使ってサラダ風の料理に挑戦してみるわ」

こうして、二人はそれぞれの料理に取り掛かることにした。

ヨウはまず、収穫したばかりのキャベツの葉を一枚一枚丁寧に剥がし、芯の部分を柔らかくなるまで茹でる。茹でたキャベツの葉にニンジンを刻んで詰め、中にほんの少しハーブを混ぜ込んだ。これを煮込んで柔らかく仕上げるのが「キャベツのロール煮」だ。

キャベツのロール煮
【必要な材料】:キャベツ×1、ニンジン×1、水×1、ハーブ(お好み)
【効果】:HP回復(中)、ぷに専用成長ボーナス
【成功率】:85%

「こんな感じでいいかな……よし、煮込み開始!」

ヨウは調理用の鍋に水を注ぎ、ゆっくりと火にかける。鍋から立ち上る湯気が香ばしく、野菜の甘みがほんのりと漂ってくる。隣の調理台でリナも奮闘しており、キャベツとトウモロコシを使ったサラダが色鮮やかに仕上がりつつあった。

「いい匂いね、ヨウ!もう完成?」

「あと少し。煮込みが終われば、ぷにのためのロール煮が完成だ」

エミリアが見回りに来て、ヨウの鍋を覗き込む。湯気の向こうで、キャベツのロール煮がふんわりと柔らかく煮上がっていく様子に、エミリアも満足そうに頷いた。

「いい出来栄えね。キャベツの甘みがしっかりと引き出されているわ。これはぷにちゃんも喜ぶはずよ」

「ありがとうございます、エミリアさん!」

夕方、ヨウは完成したキャベツのロール煮を持ち帰り、牧場でぷににご馳走することにした。牧場に戻ると、ぷには早速ヨウの足元に寄り添い、待ちきれない様子でスープの匂いを嗅いでいる。

「ほら、できたぞ。ぷにのための特製キャベツのロール煮だ」

ぷには嬉しそうに体を揺らし、ロール煮を一口ずつ慎重に食べ始めた。食べるたびにぷにの体がわずかに輝き、画面には「成長度アップ」というメッセージが表示される。ヨウは、自分の作った料理でぷにが成長していく姿を見て、心の底から満足感を味わっていた。

ぷにのステータス(更新)
【HP】:+10(キャベツのロール煮の効果)
【成長度】:+15%
【スキル】:吸収、再生(LV2)

「おお、ぷに、いつの間にか成長してるじゃないか!スキルのレベルも上がってるみたいだし」

「ぷにっ!」

ぷには元気よく反応し、嬉しそうにヨウに寄り添ってくる。モンスターに餌を与え、成長を見守るというこのシンプルな体験が、ヨウにとっては何よりの喜びだった。

料理ギルドでのチャレンジを終え、ヨウはリナと一緒に村の広場で一息ついていた。二人ともギルドから少しずつ料理の腕を磨き、これからも仲間たちと共に成長していく未来が楽しみで仕方がない。

「ヨウ、今日の料理、本当に美味しそうだったわね。ぷにがあんなに嬉しそうに食べてるのを見て、こっちまで幸せな気分になったわ」

「ありがとう、リナ。君のサラダも美味しそうだったし、今度一緒に食べられるといいな」

リナは頷き、優しい笑みを浮かべた。そして夕暮れの空を見上げながら、ふと呟く。

「ねえ、ヨウ。私、この世界でのんびりした生活を楽しみたいって思ってたんだけど、仲間ができるとそれがもっと楽しくなるのね」

「そうだね。俺もぷにやリナと一緒に過ごして、ようやくそれがわかってきたよ。仲間がいるからこそ、毎日がもっと充実するんだと思う」

二人は、夕日が村を優しく照らす中でしばらく語り合い、その後それぞれの家へと戻っていった。

夜、ヨウはぷにを寝かしつけ、村の小さな家で静かな時間を過ごしていた。今日は料理ギルドで新しいことを学び、リナとも絆を深めることができた。そして、ぷにが少しずつ強くなっていく様子に、ヨウは心からの喜びを感じていた。

「明日もまた、何か新しいことがあるといいな」

そう呟きながら、ヨウは満ち足りた気持ちでログアウトした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

動物大好きな子が動物と遊んでいたらいつの間にか最強に!!!!

常光 なる
ファンタジー
これは生き物大好きの一ノ瀬夜月(いちのせ ないと)が有名なVRMMOゲーム Shine stay Onlineというゲームで 色々な生き物と触れて和気あいあいとする ほのぼの系ストーリー のはずが夜月はいつの間にか有名なプレーヤーになっていく…………

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

小さな小さな花うさぎさん達に誘われて、異世界で今度こそ楽しく生きます!もふもふも来た!

ひより のどか
ファンタジー
気がついたら何かに追いかけられていた。必死に逃げる私を助けてくれたのは、お花?違う⋯小さな小さなうさぎさんたち? 突然森の中に放り出された女の子が、かわいいうさぎさん達や、妖精さんたちに助けられて成長していくお話。どんな出会いが待っているのか⋯? ☆。.:*・゜☆。.:*・゜ 『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』の、のどかです。初めて全く違うお話を書いてみることにしました。もう一作、『転生初日に~』の、おばあちゃんこと、凛さん(人間バージョン)を主役にしたお話『転生したおばあちゃん。同じ世界にいる孫のため、若返って冒険者になります!』も始めました。 よろしければ、そちらもよろしくお願いいたします。 *8/11より、なろう様、カクヨム様、ノベルアップ、ツギクルさんでも投稿始めました。アルファポリスさんが先行です。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

処理中です...