辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐

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第7章:未来への学びと絆

第212話「王宮の魔道炉に潜む謎!」

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王都アルヴェインの中心部――王宮。
荘厳な石造りの建物が立ち並ぶこの場所に、エルヴィンたちは足を踏み入れていた。

「まさか、また王宮に来ることになるとはな……。」
レオンが大理石の床を見下ろしながら、苦笑混じりに呟く。

「ええ。ですが今回は正式な許可を得たうえでの調査ですから、堂々としていて構いませんわ。」
カトリーヌは微笑みながら、優雅に歩を進める。

「とはいえ、王宮の魔道炉の管理者にすぐ会わせてもらえるかどうか……。」
リヴィアが少し心配そうに言った。

「そこはヴェルトナー伯が手配してくれてるはずだよ。」
エルヴィンが自信ありげに答える。

エルヴィンたちが王宮を訪れるのは、これで二度目だった。
前回は王立魔道研究所での成果を報告するためだったが、今回は王都全体の魔力供給に関わる重要な調査だ。

執務棟へ向かうと、すでにヴェルトナー伯が待っていた。

「お待ちしていました、エルヴィン殿。」
ヴェルトナー伯は柔らかな笑みを浮かべながら出迎える。

「ヴェルトナー伯、お忙しい中ありがとうございます!」
エルヴィンは一礼し、今回の調査の目的を簡潔に説明した。

「なるほど……。農地の魔力供給が不安定になったのは、王宮の魔道炉の影響かもしれないということですか。」
ヴェルトナー伯は顎に手を当て、思案する。

「はい。通常、王宮の魔道炉がここまで大きく魔力の流れを変動させることはないはずなんですが……。」
エルヴィンは測定データを見せながら続ける。

「確かに、王宮の魔道炉は一定の間隔で魔力の調整を行っていますね。特に夜間は、一日の終わりに魔力の循環を最適化するための再調整作業が行われます。」
ヴェルトナー伯は資料を確認しながら頷く。

「でも、それなら昼間に影響が出るのはおかしくねぇか?」
レオンが首を傾げる。

「ええ、その通りです。」
ヴェルトナー伯は少し険しい表情になった。
「実は、数日前から魔道炉の魔力変動が通常よりも大きくなっているという報告がありました。」

「えっ!? それってつまり……!」
エルヴィンが驚く。

「何らかの外的要因で、王宮の魔道炉が不安定になっている可能性があります。」
ヴェルトナー伯は静かに言った。

「王宮の魔道炉に問題が起きたら、王都全体の魔力供給に影響が出ますわね……。」
カトリーヌが少し不安げに呟く。

「一度、魔道炉の管理施設を見せてもらえますか?」
エルヴィンがお願いすると、ヴェルトナー伯はすぐに手配を進めてくれた。



王宮地下――魔道炉管理施設。
分厚い鉄扉が開かれると、そこには巨大な魔法陣が刻まれた大広間が広がっていた。
中央には王国の基幹魔力供給を担う「王宮の魔道炉」が鎮座し、青白い光を放ちながら静かに鼓動している。

「これが王宮の魔道炉か……。」
エルヴィンは圧倒されながら呟いた。

「こんなデカい魔道炉、初めて見たぜ……!」
レオンも目を丸くする。

「通常は安定した魔力を循環させるよう調整されているはずですが……。」
リヴィアが測定器を取り出し、魔道炉の魔力の流れを確認する。

「……確かに、通常よりも魔力の流れにムラがありますわね。」
カトリーヌが眉をひそめる。

「でも、魔道炉そのものには異常はなさそうだ。」
エルヴィンは魔法陣を注意深く観察しながら言った。

「なら、原因は別のところにあるってことか?」
レオンが問う。

「……魔力の吸収量が不安定になっている。」
リヴィアが小さく呟いた。

「魔力の吸収量?」
エルヴィンが聞き返すと、リヴィアは頷く。

「王宮の魔道炉は、王都全体に魔力を供給するだけでなく、周囲から魔力を吸収してバランスを取っています。でも、その吸収が乱れているみたいです。」

「魔力を吸収するシステムが乱れている……?」
エルヴィンは考え込む。

「もしかして、誰かが意図的に干渉してるんじゃねぇのか?」
レオンが不安げに言う。

「可能性はあります。」
ヴェルトナー伯が厳しい表情で言った。
「もしくは、王都のどこかで通常よりも大量の魔力が消費されているのかもしれません。」

「つまり、誰かが想定以上に魔力を使ってるってこと?」
カトリーヌが問いかける。

「そうです。例えば、大規模な魔法実験や、新しく建設された施設での過剰な魔力消費……。」
リヴィアが考えを巡らせる。

「まずは、王都内で異常な魔力消費が起こっていないか調査する必要がありますね。」
エルヴィンが結論を出す。

「では、王宮からも調査の協力をしましょう。」
ヴェルトナー伯が頷く。
「まずは最近新設された施設や、魔力を大量に消費する可能性がある場所を調べてみます。」

「ありがとうございます、ヴェルトナー伯!」
エルヴィンは礼を述べた。

「俺たちも手分けして調査しようぜ!」
レオンが拳を握る。

「ええ、王都全体の魔力バランスに影響が出る前に、原因を突き止めなければなりませんわね。」
カトリーヌも気を引き締める。

「はい、早速調査を始めましょう。」
リヴィアが静かに頷いた。

こうして、エルヴィンたちは王宮の魔道炉に影響を与えている「魔力の異常消費」の調査を開始することになった――。
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