辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐

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第7章:未来への学びと絆

第179話「焦りの先に見えたもの」

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王立魔道研究所の実験棟――。

エルヴィンたちは、一度目の失敗を乗り越え、再び魔力供給システムの試験に挑んでいた。

「エルヴィン様、先ほどの実験結果を整理しました。」
リヴィアが持っていたメモを開き、淡々と説明を始める。

「魔力供給装置からの魔力出力は想定値の1.2倍、しかし分岐装置の制御が追いつかず、一部の魔道灯に魔力が集中しました。これが逆流を引き起こした原因です。」

「つまり、供給量が安定していないってことか。」
レオンが頭を掻きながら呟く。

カトリーヌが腕を組み、冷静に考察する。
「装置そのものは問題なく動作していますわね。ですが、供給する魔力を細かく調整する仕組みが不足しているようですわ。」

「うん……やっぱり、"魔力の流れを制御する部分"が一番の課題だね。」
エルヴィンは深く頷きながら、自分の設計図を見つめた。

「でも、どうすれば魔力を均等に分配できるんだ?」
レオンが口を尖らせる。

「今のままだと、魔道灯ごとに必要な魔力量がバラバラだから、同じ量を送ってもどこかに偏ってしまう。」
エルヴィンが黒板に新しい図を描きながら続ける。

「例えば、三つの魔道灯があったとして、それぞれ消費する魔力量が10・15・5だとすると、全部に同じ量を送ると、10の魔道灯は余るし、15の魔道灯は足りなくなる。」

「なるほど……だからバランスが崩れるのね。」
カトリーヌが理解した様子で頷く。

「なら、それぞれの魔道具が必要な分だけ魔力を引き出せる仕組みを作ればいいんじゃねぇか?」
レオンが提案する。

「まさにそれだよ!」
エルヴィンの目が輝いた。

「魔力を一方的に送るんじゃなくて、魔道具側で必要な分だけ魔力を吸い取る仕組みを作ればいい!」

リヴィアがメモを取りながら、静かに呟いた。
「……つまり、水道みたいに?」

「そう! 例えば蛇口があるとするでしょ? 使う分だけ水を流せるよね。それと同じ仕組みを魔道具に組み込むんだ。」

「おおっ、それならバランスよく供給できそうだな!」
レオンが大きく頷いた。

「でも、どうやって"魔道具が必要な魔力量を判断する"のかが問題ですわね。」
カトリーヌが慎重に意見を述べる。

「そこは……"魔力流量調整機構"を作るしかない。」
エルヴィンは新しい設計図を描き始めた。

「この装置は、魔道具の内部に組み込む仕組みなんだけど、魔力が入りすぎると一部を逃がすように設計するんだ。」

エルヴィンは作業台に向かい、金属片を慎重に削りながら続ける。

「具体的には、"魔力制御バルブ"っていう小さな装置を作る。」

「バルブ?」
レオンが手元の設計図を覗き込みながら首を傾げる。

「水道の蛇口と同じ考え方さ。魔道具の内部に設置して、一定以上の魔力が流れ込まないように制御するんだ。」

カトリーヌがエルヴィンの手元をじっと見つめる。
「それは、魔道具に負荷がかからないようにするための仕組みですわね?」

「そう。もし魔道具が自分で必要な魔力量を決められるようになれば、魔力供給のバランスも取れるはず。」

エルヴィンは小さな金属片に魔法文字を刻み込み、魔力制御バルブの試作品を作り上げた。

「よし、これを魔道灯に組み込んで試してみよう!」

――ブゥゥゥン……

魔力供給装置が再び起動し、魔力が分岐装置を通じて魔道灯へと流れ込む。

「流量調整バルブ……作動中!」
リヴィアが慎重に数値を確認する。

「……おおっ! 火花が飛ばねぇぞ!」
レオンが驚いたように声を上げた。

確かに、先ほどのような魔力の暴走は起きていなかった。
魔道灯は穏やかに光を灯し、安定した動作を見せていた。

「よし……今のところは順調!」
エルヴィンが拳を握りしめる。

しかし――

「待ってください。魔道灯の光が少しずつ弱くなっています……。」
リヴィアが不安げな声を出した。

「えっ!? そんなはずは……!」

エルヴィンがすぐに計器を確認すると、確かに魔力の供給量がじわじわと減少している。

「くそっ、今度は供給が安定しないのか……!」

エルヴィンはすぐに修正を試みるが、思うようにいかない。

「……また失敗か……?」
彼は悔しげに唇を噛んだ。

「エルヴィン様。」
カトリーヌが優しく声をかけた。

「焦らなくても大丈夫ですわ。今のテストで、"魔力を暴走させずに制御すること"はできたのですから、次は"安定した供給"を考えればいいんです。」

「……!」

エルヴィンは息を呑んだ。

確かに、今回は"魔力の暴走"を防ぐことができた。
つまり、一歩前進はしている。

「そうだね……今のところ、供給が減る理由がわからないけど……ちゃんと調べれば、解決策が見つかるはず。」

レオンがニッと笑う。
「おう! 何度でもやりゃあいいんだよ!」

「はい、データをしっかり分析すれば、きっと解決策が見つかります。」
リヴィアも静かに頷く。

エルヴィンは深呼吸し、改めてみんなの顔を見渡した。

「……ありがとう。もう一度、みんなで考えよう!」

こうして、エルヴィンたちは"安定供給"という新たな課題に挑むことになった。
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