辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐

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第6章:帝国の陰謀と赤き核

第137話「闇を纏う騎士――執念の追撃」

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エルヴィンはバッグから装置を取り出すと、素早くその準備に取り掛かった。自律型魔道核を封じるために必要な機器はすべて揃っている――だが、この装置を設置して起動するには核のすぐ近くに行く必要があった。

「よし、この装置を核の中心部に直接接続すれば……!」
エルヴィンはつぶやきながら装置を調整する。しかし、その作業を終える前に、不気味な音が空間に響き渡った。

ゴゴゴ……。

魔道核の周囲を渦巻く魔法陣がさらに激しく光を放ち始め、その中心から黒い靄が湧き上がるように漂い始める。その中から現れたのは、巨大な黒い影――それは異形の魔物だった。

「おいおい、こんなもんまで用意してやがるのかよ!」
ガルドが斧を構えながら一歩前に出る。

「……あれは、自律型魔道核の防衛機構か。核を守るための魔物――人工的な守護者だろうな。」
ユリウスが鋭い視線で異形の魔物を観察する。

「人工の守護者ねえ。だったら、そいつを黙らせないとエルヴィンの仕事が進まねえってことか。」
ガルドが苦笑しながら肩の斧を担ぎ直す。

「まあ、せいぜい派手にやってくれ。俺たちの役目は、エルヴィンを守ることだ。」
ユリウスが軽口を叩きながら剣を構えると、ゼッド中尉が冷静な声で指示を飛ばした。

「ガルド、ユリウス、俺と一緒に時間を稼ぐぞ!エルヴィン、お前は急げ。この作業を完了しない限り、俺たちが何をやっても無駄だ!」

「分かりました!」
エルヴィンは真剣な表情で頷き、装置の最終調整に集中した。

「来たぞ、準備しろ!」
ガルドが叫ぶや否や、巨大な守護者が鋭い爪を振り下ろしてくる。その一撃は床をえぐり、轟音を響かせた。

「でけえのに、動きが速いじゃねえか!」
ガルドが舌打ちしながら斧を振り上げ、守護者の脚部に叩き込む。その一撃は重厚な衝撃音を立て、魔物の脚に傷を刻んだが、守護者は痛みを感じている様子もなく動き続けた。

「硬い……だけじゃなく、全然動じないな。」
ユリウスが剣を振り抜きながら苦々しい声を漏らす。

ゼッド中尉は魔物の注意を引きつけるようにその周囲を素早く動き、鋭い剣撃を繰り出す。だが、守護者の硬い外殻は剣撃をことごとく弾き返し、その巨大な腕が高速で振り回される。

「ちっ、剣じゃ歯が立たんのか。どうすりゃいい?」
ゼッド中尉が苛立ちながら叫ぶ。

「弱点を探すしかねえだろ!」
ガルドが斧を振り回しながら叫ぶ。

「待て――あいつの胸部、赤い光が集まってる部分、あれが弱点だ!」
ユリウスが守護者の動きを見極めながら指摘する。

「なるほどな。そいつを叩き壊せばいいんだな!」
ガルドが笑みを浮かべながら、守護者の胸部に向かって突進する。

一方、エルヴィンは魔道核の真下で装置を設置し、クリムゾンオーブを中心にした回路の調整を進めていた。周囲では激しい戦闘が繰り広げられているが、エルヴィンはその音を意識の外に追いやり、ただ作業に集中していた。

「回路の安定性は問題なし……これで魔力干渉の精度を上げられるはず……。」
エルヴィンは自分に言い聞かせるように呟きながら、最後の配線を繋げた。

しかし、装置を起動するためには魔道核の表面に直接設置する必要があった。その核は空中に浮かび、魔法陣の中心で不気味な光を放っている。

「……近づくしかない。」
エルヴィンは恐怖を押し殺し、装置を抱えて核へと歩み寄る。

「ガルド、これで決めるぞ!」
ユリウスが叫ぶ。

「わーってる!任せとけ!」
ガルドが斧を大きく振りかぶり、全力で守護者の胸部に向かって振り下ろした。その斧は赤い光の核に深々と食い込み、守護者の動きが一瞬止まる。

「今だ!」
ゼッド中尉がその隙を逃さず、剣を核に向かって突き刺した。閃光と共に守護者が崩れ落ち、その巨体が床に轟音を立てて倒れ込む。

「よっしゃ!やったか!」
ガルドが息を切らしながら斧を肩に担ぐ。

「油断するな。まだ終わりじゃない。」
ユリウスが周囲を警戒する。

「できた……これで終わりだ!」
エルヴィンが装置を魔道核の表面に設置し、スイッチを押した。

装置が起動し、クリムゾンオーブが強烈な光を放つ。同時に、魔道核を覆っていた魔力の渦が乱れ始め、核そのものが徐々に光を失っていく。

「よし、核の機能を封じ込めた……!」
エルヴィンが安堵の息を吐く。

しかし、その瞬間――遺跡全体が揺れ始めた。天井から石片が崩れ落ち、辺りに轟音が響く。
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