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第6章:帝国の陰謀と赤き核
第122話「北方への旅立ち」
しおりを挟む北方の霊峰アルテリウスへ向けての準備は、予想以上に時間がかかった。霊峰に近づくためには雪と氷が支配する厳しい環境を耐え抜く装備が必要であり、さらに魔物がひしめく危険地帯への対策も講じなければならない。エルヴィン、ガルド、ユリウスの三人は王立魔道研究所の支援を受けながら、それぞれの専門分野を活かして準備を進めていた。
「雪山の装備は揃ったな。あとは魔物に対抗するための武器と……エルヴィン、お前の装置も準備は大丈夫か?」
ガルドが大きなバックパックを背負いながら、作業机に向かうエルヴィンに声をかける。エルヴィンは魔道具の調整をしている最中だった。
「うん、これで大丈夫。クリムゾンオーブを手に入れたら、この装置に組み込める設計図はもう完成しているよ。」
エルヴィンは手に持っていた小型の魔道具を見せた。それは魔力を周囲に感知させ、一定の距離内にいる魔物の動きを追尾できる装置だった。
「これは試作だけど、霊峰では魔物がどこにいるかを把握するために使えるはずだよ。」
ユリウスがその装置を手に取り、冷静に観察する。
「これは便利だな。視界が悪い雪山では役に立つはずだ。ただ、魔物が感知されても、俺たちが対応できるとは限らないが……」
「そこは俺たちに任せとけ、ユリウス。俺の斧で道を切り開く!」
ガルドが斧を振り上げて豪快に笑うと、ユリウスはため息をつきながら肩をすくめた。
「はいはい、頼りにしてるよ、ガルド。」
そんな二人のやり取りを見て、エルヴィンは少し笑みを浮かべた。
「君たちがいてくれると心強いよ。でも、今回は無理はしないでね。僕たち全員が無事に帰ることが最優先だから。」
数日後、準備を終えたエルヴィンたちは王都を出発した。道中、彼らの旅にはゼッド中尉が率いる護衛部隊も同行することになった。霊峰アルテリウスへの道は危険であり、エルヴィンたちだけでは対処できない事態も考えられるからだ。
馬を並べながらゼッド中尉がエルヴィンに声をかけた。
「エルヴィン、俺たちもお前が霊峰に行く理由は理解してる。だがな、気張りすぎて体力を使い果たすんじゃねえぞ。雪山はただでさえ人間の命を削るんだからな。」
ゼッド中尉の落ち着いた口調と鋭い眼差しが、エルヴィンに心強さを与える。
「ありがとうございます、中尉。気をつけます。でも、クリムゾンオーブはどうしても必要なんです。それが手に入れば、新しい装置で帝国の自律型魔道核にも対抗できるはずですから。」
ゼッド中尉は少し苦笑しながら答える。
「お前の頭の中は装置のことしかねえんだな。まあ、それで今まで何とかなってるから文句は言わねえけどよ。」
そのやり取りを横で聞いていたガルドが口を挟む。
「おいおい、中尉、エルヴィンばっかり気にして俺たちを忘れるなよ。俺たちだって役に立つんだぜ?」
ゼッド中尉はふっと笑いながら応じる。
「そうだな。お前たちの騒がしさがなきゃ、隊の士気も上がらねえってもんだ。ただし、無駄口叩いてる暇があったら敵の動きをちゃんと見張ってろよ。」
「へいへい、了解だよ。頼りにしてくれ、中尉殿。」
ガルドが大げさに敬礼し、ユリウスは呆れたように肩をすくめる。
旅を続けること数日、ついに霊峰アルテリウスの麓にたどり着いた。そこは冷たい風が吹き荒れ、辺り一面が白銀の雪で覆われた世界だった。雪の反射光が眩しく、息をするたびに吐く白い息が視界に広がる。
「うわぁ……ここまで寒いのは初めてかも。」
エルヴィンが震えながら言うと、ガルドが笑いながらマントを広げた。
「これくらいどうってことねぇよ!ほら、早く中に入れ!」
ガルドがマントをエルヴィンにかけてやると、ユリウスが少し呆れたように口を開いた。
「お前、ただでさえでかいんだから、もっと控えめに動けよ。エルヴィンが埋もれるぞ。」
「ははは、悪いな!」
そんな和やかな雰囲気の中、ゼッド中尉が厳しい口調で指示を出した。
「おい、気を抜くな!ここからは魔物が出てくる可能性が高い。全員、武器を確認しろ。斥候班は前方を調べろ!」
その声に全員が緊張を取り戻し、準備を整えた。エルヴィンは感知装置を起動させ、周囲の魔力の動きを確認し始める。
「今のところ反応はないけど、この装置が感知する範囲は限られているから注意してね。」
「了解だ。お前はその装置に集中してろ。俺たちが前を切り開く。」
ガルドが力強く斧を構えると、ユリウスも剣を握り直した。
霊峰の中腹を進むにつれ、寒さはさらに厳しくなり、吹雪が視界を遮るようになった。だが、それ以上に厄介だったのは突然現れた魔物たちだった。
「来たぞ!前方に狼型の魔物が複数!全員、戦闘態勢を取れ!」
ゼッド中尉が鋭い声で指示を出し、護衛部隊が素早く動く。ガルドが斧を構えながら前に出る。
「よし、行くぞ!ユリウス、左側を頼む!」
「了解。」
ユリウスが冷静に答え、剣を抜いて狼型の魔物に突進する。
エルヴィンは少し後方で装置を握りしめながら、魔物の動きを観察していた。
「……魔力が異常に強い。これ、ただの魔物じゃない!」
エルヴィンの言葉に、ゼッド中尉が振り返る。
「どういうことだ、エルヴィン!?」
「この魔物、もしかしたら……帝国が魔道核の技術で強化したものかもしれません!」
その言葉に場の緊張がさらに高まる。
「厄介なことになったな……。だが、そんなものでも俺たちが叩き潰すだけだ!」
ガルドが叫び、斧を振り下ろした――。
次々と襲いかかる魔物を退けながら、エルヴィンたちは一歩一歩霊峰の奥へと進んでいく。その先に待ち受けるものは、まだ誰も知らない――。
「雪山の装備は揃ったな。あとは魔物に対抗するための武器と……エルヴィン、お前の装置も準備は大丈夫か?」
ガルドが大きなバックパックを背負いながら、作業机に向かうエルヴィンに声をかける。エルヴィンは魔道具の調整をしている最中だった。
「うん、これで大丈夫。クリムゾンオーブを手に入れたら、この装置に組み込める設計図はもう完成しているよ。」
エルヴィンは手に持っていた小型の魔道具を見せた。それは魔力を周囲に感知させ、一定の距離内にいる魔物の動きを追尾できる装置だった。
「これは試作だけど、霊峰では魔物がどこにいるかを把握するために使えるはずだよ。」
ユリウスがその装置を手に取り、冷静に観察する。
「これは便利だな。視界が悪い雪山では役に立つはずだ。ただ、魔物が感知されても、俺たちが対応できるとは限らないが……」
「そこは俺たちに任せとけ、ユリウス。俺の斧で道を切り開く!」
ガルドが斧を振り上げて豪快に笑うと、ユリウスはため息をつきながら肩をすくめた。
「はいはい、頼りにしてるよ、ガルド。」
そんな二人のやり取りを見て、エルヴィンは少し笑みを浮かべた。
「君たちがいてくれると心強いよ。でも、今回は無理はしないでね。僕たち全員が無事に帰ることが最優先だから。」
数日後、準備を終えたエルヴィンたちは王都を出発した。道中、彼らの旅にはゼッド中尉が率いる護衛部隊も同行することになった。霊峰アルテリウスへの道は危険であり、エルヴィンたちだけでは対処できない事態も考えられるからだ。
馬を並べながらゼッド中尉がエルヴィンに声をかけた。
「エルヴィン、俺たちもお前が霊峰に行く理由は理解してる。だがな、気張りすぎて体力を使い果たすんじゃねえぞ。雪山はただでさえ人間の命を削るんだからな。」
ゼッド中尉の落ち着いた口調と鋭い眼差しが、エルヴィンに心強さを与える。
「ありがとうございます、中尉。気をつけます。でも、クリムゾンオーブはどうしても必要なんです。それが手に入れば、新しい装置で帝国の自律型魔道核にも対抗できるはずですから。」
ゼッド中尉は少し苦笑しながら答える。
「お前の頭の中は装置のことしかねえんだな。まあ、それで今まで何とかなってるから文句は言わねえけどよ。」
そのやり取りを横で聞いていたガルドが口を挟む。
「おいおい、中尉、エルヴィンばっかり気にして俺たちを忘れるなよ。俺たちだって役に立つんだぜ?」
ゼッド中尉はふっと笑いながら応じる。
「そうだな。お前たちの騒がしさがなきゃ、隊の士気も上がらねえってもんだ。ただし、無駄口叩いてる暇があったら敵の動きをちゃんと見張ってろよ。」
「へいへい、了解だよ。頼りにしてくれ、中尉殿。」
ガルドが大げさに敬礼し、ユリウスは呆れたように肩をすくめる。
旅を続けること数日、ついに霊峰アルテリウスの麓にたどり着いた。そこは冷たい風が吹き荒れ、辺り一面が白銀の雪で覆われた世界だった。雪の反射光が眩しく、息をするたびに吐く白い息が視界に広がる。
「うわぁ……ここまで寒いのは初めてかも。」
エルヴィンが震えながら言うと、ガルドが笑いながらマントを広げた。
「これくらいどうってことねぇよ!ほら、早く中に入れ!」
ガルドがマントをエルヴィンにかけてやると、ユリウスが少し呆れたように口を開いた。
「お前、ただでさえでかいんだから、もっと控えめに動けよ。エルヴィンが埋もれるぞ。」
「ははは、悪いな!」
そんな和やかな雰囲気の中、ゼッド中尉が厳しい口調で指示を出した。
「おい、気を抜くな!ここからは魔物が出てくる可能性が高い。全員、武器を確認しろ。斥候班は前方を調べろ!」
その声に全員が緊張を取り戻し、準備を整えた。エルヴィンは感知装置を起動させ、周囲の魔力の動きを確認し始める。
「今のところ反応はないけど、この装置が感知する範囲は限られているから注意してね。」
「了解だ。お前はその装置に集中してろ。俺たちが前を切り開く。」
ガルドが力強く斧を構えると、ユリウスも剣を握り直した。
霊峰の中腹を進むにつれ、寒さはさらに厳しくなり、吹雪が視界を遮るようになった。だが、それ以上に厄介だったのは突然現れた魔物たちだった。
「来たぞ!前方に狼型の魔物が複数!全員、戦闘態勢を取れ!」
ゼッド中尉が鋭い声で指示を出し、護衛部隊が素早く動く。ガルドが斧を構えながら前に出る。
「よし、行くぞ!ユリウス、左側を頼む!」
「了解。」
ユリウスが冷静に答え、剣を抜いて狼型の魔物に突進する。
エルヴィンは少し後方で装置を握りしめながら、魔物の動きを観察していた。
「……魔力が異常に強い。これ、ただの魔物じゃない!」
エルヴィンの言葉に、ゼッド中尉が振り返る。
「どういうことだ、エルヴィン!?」
「この魔物、もしかしたら……帝国が魔道核の技術で強化したものかもしれません!」
その言葉に場の緊張がさらに高まる。
「厄介なことになったな……。だが、そんなものでも俺たちが叩き潰すだけだ!」
ガルドが叫び、斧を振り下ろした――。
次々と襲いかかる魔物を退けながら、エルヴィンたちは一歩一歩霊峰の奥へと進んでいく。その先に待ち受けるものは、まだ誰も知らない――。
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