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第6章:帝国の陰謀と赤き核
第111話「戦いの果てに――新たなる一歩」
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赤い光を失い、静寂に包まれた遺跡の最深部。エルヴィンは装置を丁寧に確認しながら、大きく息をついていた。戦闘の余韻がまだ体に残る中、彼の手は少し震えている。
「これで……本当に終わったのか?」
ガルドが斧を肩に担ぎながら、遺跡の中央にあった魔道核の残骸を見つめる。
「魔道核は完全に無効化されました。これで遺跡が力を放つことはもうありません。」
エルヴィンが装置のランプを確認しながら答える。その目には疲れと達成感が入り混じっていた。
「お前が言うなら間違いねえな。でも……よくやったな、エルヴィン。」
ガルドが大きな手でエルヴィンの頭をポンと軽く叩くように触れると、エルヴィンは少し照れくさそうに笑った。
「ありがとう。でも、僕だけの力じゃない。みんなが戦ってくれたから、こうして成功させることができたんだ。」
エルヴィンの言葉に、ユリウスが剣を収めながら軽く肩をすくめた。
「お前があの装置を完成させなかったら、俺たちはただの力押しで全滅してたかもしれないけどな。感謝くらいしとけよ、ガルド。」
「おいおい、俺だって感謝してるっての。ただ、こういう時は『お前の斧がなかったらやられてたよ』とか、少しは俺を褒めろ!」
ガルドが軽く笑いながら、ユリウスに抗議する。
「じゃあ、次の宴会で『ガルド様、最高!』って褒めてやるよ。忘れずにな。」
ユリウスがニヤリと笑いながら返すと、ガルドは「お前、言ったからな!」と本気とも冗談ともつかない声で答えた。
「……まったく、お前らはこんな状況でも変わらないな。」
隊長が少し呆れながら、剣を腰に収めた。
エルヴィンたちは遺跡の外へ向かい、無力化された魔道核を携えて廃墟のような建物を抜けていく。外に出ると、冷たい夜風が頬を撫でた。
拠点に残って防衛線を支えていた護衛隊の兵士たちは、満身創痍ながらも健在だった。遺跡の封印が完了したことで、帝国軍の攻撃が弱まり、撤退しつつあるという報告が入る。
「これで、ひとまずこの地は守られたな。」
隊長が護衛隊の生存者たちの顔を見渡しながら言った。
「だが、これで終わりじゃないだろう。」
ユリウスがつぶやくように言う。その声には少しだけ不安が混じっていた。
「そうだね。帝国が次にどんな手を打ってくるか分からない。でも、これで少なくとも彼らの計画には大きな打撃を与えられたはずだ。」
エルヴィンはそう言いながら、封印された魔道核の残骸を見つめる。
その核は今や完全に力を失い、光を放つこともなくなっている。ただの黒い結晶と化したそれは、まるで帝国の野望が砕け散ったことを象徴しているかのようだった。
翌朝、エルヴィンたちは王都に戻る準備を整え始めていた。今回の勝利を報告し、魔道核の残骸を王宮の研究機関へ届けるためだ。
「エルヴィン、王都に戻ったらしばらく休めよ。お前、さすがに疲れてるだろ。」
ガルドが馬車に荷物を詰め込みながら、優しい口調で声をかけた。
「そうだな。それと、王宮の連中に報告するときは、『俺たちの大活躍』も忘れるなよ。」
ユリウスが隣で冗談めかして言うと、ガルドが「おいおい、それを言うなら俺の斧の働きがメインだろ!」と返す。
「うん、ありがとう。でも、休む暇はあんまりないかもしれないね。きっとまた、次の課題が出てくると思う。」
エルヴィンが少し苦笑いを浮かべながら返すと、ガルドとユリウスは顔を見合わせた。
「まあ、それがエルヴィンらしいところだな。」
ユリウスが肩をすくめて言う。
「ただし、王都でまた大変なことになったら、俺たちを呼べよな。俺たちはいつでも力貸してやるからさ。」
ガルドが斧を肩に担ぎながら軽く笑う。その言葉には、彼らしい不器用ながらも真っ直ぐな思いやりが込められていた。
「ありがとう、ガルド。ユリウスも。本当に頼りにしてるよ。」
エルヴィンが深く頷いて感謝を伝えると、ユリウスは「まあな」と少し照れくさそうに応じた。
馬車が走り出し、戦場を後にするエルヴィンたち。ガルドとユリウスがいつものように軽口を叩き合いながらも、どこか誇らしげな表情を浮かべている。
「エルヴィン、次はどんな装置を作るんだ?まさか、俺たちが振り回せないようなデカい武器を作るつもりじゃないだろうな。」
ガルドがニヤリと笑いながら振り返る。
「それなら俺も頼む。次はもっと鋭く切れる剣を作ってくれ。」
ユリウスが片眉を上げて冗談めかして言う。
「ええっと……二人の武器強化は後回しにさせてもらうよ。それより、次はもっと広い範囲で使える装置を作りたいと思ってるんだ。」
エルヴィンが答えると、二人は顔を見合わせて同時に吹き出した。
「結局また難しい話になるのかよ!」
ガルドが笑い、ユリウスも「まあ、それがエルヴィンらしいけどな」と肩をすくめた。
遠ざかる戦場の風景を背に、彼らの旅は新たな目標へと進んでいく――。戦場で得た経験と絆を胸に、エルヴィンたちはさらなる困難に挑む準備を整えながら。
「これで……本当に終わったのか?」
ガルドが斧を肩に担ぎながら、遺跡の中央にあった魔道核の残骸を見つめる。
「魔道核は完全に無効化されました。これで遺跡が力を放つことはもうありません。」
エルヴィンが装置のランプを確認しながら答える。その目には疲れと達成感が入り混じっていた。
「お前が言うなら間違いねえな。でも……よくやったな、エルヴィン。」
ガルドが大きな手でエルヴィンの頭をポンと軽く叩くように触れると、エルヴィンは少し照れくさそうに笑った。
「ありがとう。でも、僕だけの力じゃない。みんなが戦ってくれたから、こうして成功させることができたんだ。」
エルヴィンの言葉に、ユリウスが剣を収めながら軽く肩をすくめた。
「お前があの装置を完成させなかったら、俺たちはただの力押しで全滅してたかもしれないけどな。感謝くらいしとけよ、ガルド。」
「おいおい、俺だって感謝してるっての。ただ、こういう時は『お前の斧がなかったらやられてたよ』とか、少しは俺を褒めろ!」
ガルドが軽く笑いながら、ユリウスに抗議する。
「じゃあ、次の宴会で『ガルド様、最高!』って褒めてやるよ。忘れずにな。」
ユリウスがニヤリと笑いながら返すと、ガルドは「お前、言ったからな!」と本気とも冗談ともつかない声で答えた。
「……まったく、お前らはこんな状況でも変わらないな。」
隊長が少し呆れながら、剣を腰に収めた。
エルヴィンたちは遺跡の外へ向かい、無力化された魔道核を携えて廃墟のような建物を抜けていく。外に出ると、冷たい夜風が頬を撫でた。
拠点に残って防衛線を支えていた護衛隊の兵士たちは、満身創痍ながらも健在だった。遺跡の封印が完了したことで、帝国軍の攻撃が弱まり、撤退しつつあるという報告が入る。
「これで、ひとまずこの地は守られたな。」
隊長が護衛隊の生存者たちの顔を見渡しながら言った。
「だが、これで終わりじゃないだろう。」
ユリウスがつぶやくように言う。その声には少しだけ不安が混じっていた。
「そうだね。帝国が次にどんな手を打ってくるか分からない。でも、これで少なくとも彼らの計画には大きな打撃を与えられたはずだ。」
エルヴィンはそう言いながら、封印された魔道核の残骸を見つめる。
その核は今や完全に力を失い、光を放つこともなくなっている。ただの黒い結晶と化したそれは、まるで帝国の野望が砕け散ったことを象徴しているかのようだった。
翌朝、エルヴィンたちは王都に戻る準備を整え始めていた。今回の勝利を報告し、魔道核の残骸を王宮の研究機関へ届けるためだ。
「エルヴィン、王都に戻ったらしばらく休めよ。お前、さすがに疲れてるだろ。」
ガルドが馬車に荷物を詰め込みながら、優しい口調で声をかけた。
「そうだな。それと、王宮の連中に報告するときは、『俺たちの大活躍』も忘れるなよ。」
ユリウスが隣で冗談めかして言うと、ガルドが「おいおい、それを言うなら俺の斧の働きがメインだろ!」と返す。
「うん、ありがとう。でも、休む暇はあんまりないかもしれないね。きっとまた、次の課題が出てくると思う。」
エルヴィンが少し苦笑いを浮かべながら返すと、ガルドとユリウスは顔を見合わせた。
「まあ、それがエルヴィンらしいところだな。」
ユリウスが肩をすくめて言う。
「ただし、王都でまた大変なことになったら、俺たちを呼べよな。俺たちはいつでも力貸してやるからさ。」
ガルドが斧を肩に担ぎながら軽く笑う。その言葉には、彼らしい不器用ながらも真っ直ぐな思いやりが込められていた。
「ありがとう、ガルド。ユリウスも。本当に頼りにしてるよ。」
エルヴィンが深く頷いて感謝を伝えると、ユリウスは「まあな」と少し照れくさそうに応じた。
馬車が走り出し、戦場を後にするエルヴィンたち。ガルドとユリウスがいつものように軽口を叩き合いながらも、どこか誇らしげな表情を浮かべている。
「エルヴィン、次はどんな装置を作るんだ?まさか、俺たちが振り回せないようなデカい武器を作るつもりじゃないだろうな。」
ガルドがニヤリと笑いながら振り返る。
「それなら俺も頼む。次はもっと鋭く切れる剣を作ってくれ。」
ユリウスが片眉を上げて冗談めかして言う。
「ええっと……二人の武器強化は後回しにさせてもらうよ。それより、次はもっと広い範囲で使える装置を作りたいと思ってるんだ。」
エルヴィンが答えると、二人は顔を見合わせて同時に吹き出した。
「結局また難しい話になるのかよ!」
ガルドが笑い、ユリウスも「まあ、それがエルヴィンらしいけどな」と肩をすくめた。
遠ざかる戦場の風景を背に、彼らの旅は新たな目標へと進んでいく――。戦場で得た経験と絆を胸に、エルヴィンたちはさらなる困難に挑む準備を整えながら。
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