辺境伯家ののんびり発明家 ～異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々～

第2章：王都カレドリア学院！学びと挑戦の日々

第45話「学院の新たな出会いとライバルの影」

エルヴィンが模擬試験を経て新たな魔道具を完成させた数日後、学院では新学期恒例の**「交流会」**が開催されることになった。この交流会は、同学年の他クラスの生徒や上級生、さらに学院の外部関係者とも知り合える絶好の機会だ。学院内で学ぶ貴族子息たちが、将来を見据えて人脈を広げるための重要な場でもあった。

「エルヴィン様、今日の交流会には参加されますか？」

朝の授業が終わった後、リヴィアが控えめに尋ねてきた。

「もちろん参加するよ。この場で他のクラスの生徒や上級生とも交流できるなら、いろんな話を聞けそうだしね。」

「そうですね……でも、私は少し緊張します。こんな正式な場で話すのはあまり得意ではなくて……」

エルヴィンは優しく微笑んで言った。

「大丈夫だよ、リヴィアさん。いつも通りに話せばきっとみんなと仲良くなれると思う。それに、もし困ったら僕もいるから安心して。」

リヴィアはほっとしたように笑い、エルヴィンと一緒に会場へ向かうことになった。

交流会の会場は学院の広間で、大きなシャンデリアが輝き、豪華な装飾が施されている。広間には既に多くの生徒たちが集まり、それぞれに談笑したり、自己紹介を交わしたりしていた。

エルヴィンは広間を見渡しながら感心した。

「すごいなぁ……こんな立派な場所で交流会が開かれるなんて。さすが学院だね。」

「おう、エルヴィン！リヴィアも一緒か。」

声をかけてきたのは、少しラフな服装でいつもと変わらない様子のレオンだった。彼も交流会に参加しているようだが、あまり堅苦しい雰囲気には慣れていない様子だ。

「レオン様もいらっしゃるんですね。」

「まぁな。親父に“こういう場で知り合いを作っとけ”って言われたから仕方なく来た。で、エルヴィン、お前もこういうの得意そうだな。」

「得意ってわけじゃないけど、せっかくだからいろんな人と話してみようと思って。」

「へぇ……俺は人に頭下げるのは性に合わねぇんだよな。ま、せいぜいお前が活躍するのを見守ってやるよ。」

レオンが肩をすくめながら冗談交じりに言うと、エルヴィンは苦笑した。

エルヴィンが広間を歩き回っていると、一人の少年が彼に近づいてきた。その少年は整った顔立ちで、堂々とした雰囲気を持っている。身に着けた服は洗練されたデザインで、明らかに高位貴族の子息であることが分かる。

「君が、エルヴィン・シュトラウスか。」

少年の鋭い視線に、エルヴィンは少し驚きながらも丁寧に返事をした。

「ええ、そうですが……あなたは？」

「僕はアルノルト・フォン・ツィーグラー。軍務大臣コンラート・ツィーグラー侯爵家の長男だ。」

「軍務大臣のご子息ですか……はじめまして、アルノルト様。」

アルノルトは軽く頷いた後、興味深そうにエルヴィンを見つめた。

「君の噂は聞いているよ。模擬試験で自動給水ポットを作ったとか。僕も同じ学年の中で名前をよく耳にする存在として注目していた。」

「そ、そんなに大したことはしていないんですけど……」

エルヴィンが恐縮しながら答えると、アルノルトは微かに笑みを浮かべた。

「いや、大したことをしていないなんて謙遜だろう。だけど、君がどれほどの実力を持っているのか、一度直接確かめたいと思っていたんだ。」

「確かめたい……？」

エルヴィンが首をかしげると、アルノルトは少し挑発的な口調で続けた。

「簡単なことだ。いずれ何らかの形で競い合う機会があれば、君の力を見せてもらいたいということさ。」

その言葉に、エルヴィンは少し驚きつつも、どこかワクワクするような気持ちを覚えた。アルノルトの真剣な眼差しには、ただの挑発以上に何かを期待する思いが込められているように感じたのだ。

「そうですね……僕も、アルノルト様の実力を拝見する機会があれば嬉しいです。」

「フッ、いい返事だ。それじゃ、君の今後の活躍を楽しみにしているよ。」

そう言い残すと、アルノルトは去っていった。その堂々とした背中を見送りながら、エルヴィンは彼が自分にとってのライバルになり得る存在だと感じていた。

その後、エルヴィンは他の生徒たちとも話しながら、新しい友人を作ることができた。中には、王族に近い家系の子息や、地方の名家の子女など、多種多様な背景を持つ生徒たちがいた。

一人一人と話す中で、エルヴィンは自分の世界が少しずつ広がっていくのを感じた。

交流会が終わり、寮へと戻る道中。リヴィアがエルヴィンに話しかけた。

「今日は本当にいろんな人と話せましたね。エルヴィン様はアルノルト様にも声をかけられていましたし、すごいです！」

「アルノルト様は……何というか、不思議な人だったね。でも、ああいう人と競い合うのもきっと楽しい気がする。」

「ええ、私も見ていて刺激を受けました。私ももっと頑張らなくちゃ……！」

リヴィアの前向きな言葉に、エルヴィンも力強く頷いた。

「お互い頑張ろう。学院での生活はまだまだこれからだしね。」

エルヴィンの言葉にリヴィアは微笑み、二人は学院の夜道を並んで歩いていった。