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第2章:王都カレドリア学院!学びと挑戦の日々
第41話「次なる挑戦と計算違い」
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新学期の授業が始まり、エルヴィンは学院での生活にもますます慣れてきていた。しかし、慣れた分だけ見えてくる課題や挑戦も多い。学院の「魔道具制作学基礎講座」は、次第により高度な課題へと進化しており、エルヴィンの頭は日々フル回転していた。
ある日の講義で、講師のアラン先生は新しいテーマを発表した。
「次の課題は、魔力消費を抑えつつ、複数の効果を同時に発揮する魔道具の制作だ。これは実用性だけでなく、効率性も試される難しい課題になる。君たちが学んできた基礎技術をすべて活用する必要があるだろう。」
教室内はざわついた。複数の効果を同時に発揮させるというのは、魔道具制作の中でも一段と難易度が高い挑戦だ。いくら基礎を学んできたとはいえ、これはまだ「基礎講座」とは思えないような内容だった。
エルヴィンは机にノートを広げ、先生の話を聞きながら早速アイデアを練り始めた。周囲の友人たちも、それぞれの考えを巡らせている。
エルヴィンの隣ではリヴィアが不安そうにしていた。
「エルヴィン様、複数の効果なんて、どうやって同時に発揮させればいいんでしょう?どの魔道文字を組み合わせたらいいのか、全然イメージが湧きません……」
リヴィアの声にエルヴィンは微笑みながら答えた。
「確かに難しいですよね。でも、まずは一つずつ効果を考えて、それをどう繋げるかを考えてみるといいかも。僕もまだ試行錯誤だけど、一緒に頑張りましょう!」
リヴィアはその言葉に少し安心したように微笑み返した。
エルヴィンの最初のアイデアは、日常生活で使える便利な魔道具だった。複数の効果を持たせるという条件を満たすため、簡易的な照明と暖房効果を兼ね備えたランタンを試作することに決めた。冬の寒さが厳しいシュトラウス家の領地では、こうしたランタンが役立つはずだ。
彼は早速、材料選びから取り掛かった。魔力を安定して供給するための小型の魔力鉱、光を放つ「光の石」、そして熱を発生させる「温熱石」を使用する計画だ。しかし、これらを一つの装置に組み合わせるのは、言うほど簡単ではない。
エルヴィンは試作品の設計図を何度も描き直しながら、魔道文字の配置を慎重に考えた。
初めての試作品が完成したのは、工房に籠もってから半日が過ぎた頃だった。エルヴィンは机の上に置いたランタンに魔力を込めてスイッチを入れる。
すると――
「おお……!」
ランタンの中で柔らかな光が灯り、周囲にじんわりと暖かさが広がる。エルヴィンは自分でも驚くほどの順調な結果に、思わず笑顔を浮かべた。
しかし、その直後――。
「熱っ!?」
突然、ランタンの表面が異常に熱くなり始めたのだ。慌てて手を離したエルヴィンは、机の上にランタンを置き直し、冷静に観察を始めた。
どうやら、熱を発生させる「温熱石」に魔力が過剰に流れ込んでしまったことが原因らしい。暖房効果を意識するあまり、魔力配分をうまく調整できていなかったのだ。
「うーん、やっぱり一筋縄ではいかないか……」
エルヴィンはため息をつきつつ、ノートに失敗の原因を書き留めた。
その様子を見ていたレオンが、興味津々に声をかけてきた。
「どうした、エルヴィン?またいつもの“魔道具おかしタイム”か?」
「“魔道具おかしタイム”って……なんですか、それ。」
エルヴィンは苦笑しながら返した。
「いや、ほら、失敗して面白いことが起きるのを何回か見てるからな。で、今回はどんな騒ぎだ?」
「今回は騒ぎというほどでもないですよ。ただ、温熱石の制御が上手くいかなくて、ちょっと熱すぎるランタンができただけです。」
レオンは笑いながら、エルヴィンの机の上を覗き込んだ。
「けど、ちゃんと光も暖かさも出てるじゃねえか。悪くないんじゃねえの?熱くならねえようにすりゃ完璧だろ?」
「それが簡単なら苦労しないんですよ……」
エルヴィンは肩をすくめながら答えたが、レオンの言葉に少し勇気づけられた。
翌日、エルヴィンは試作を改良するための作業に取り掛かった。魔力配分を調整するため、魔力の流れを制御する「リサイクル」の魔道文字を追加し、温熱石に流れる魔力を自動で制御する仕組みを組み込んだ。
しかし、改良を加えた二回目の試作でも問題が発生した。今度は光の石の光が弱くなりすぎてしまったのだ。どうやら、魔力配分の調整を重視するあまり、全体のバランスを崩してしまったらしい。
「うーん……またやり直しか。」
エルヴィンは少し落胆しながらも、失敗から新たな発見を得た。魔力配分の調整だけでなく、全体のバランスを取るために、追加の魔力供給源を組み込む必要があることに気付いたのだ。
三回目の試作では、魔力鉱を増設し、各効果に均等な魔力を供給する工夫を加えた。そしてついに――。
「これで……どうだ?」
スイッチを入れると、ランタンが穏やかな光を放ち、ほどよい暖かさが広がる。ランタンの表面も熱くならず、問題なく持てる状態になっていた。
「やっと……成功だ!」
エルヴィンは安堵の笑みを浮かべた。失敗を重ねた分だけ、この成功の喜びも大きい。
工房からの帰り道、エルヴィンはふと思った。
(物を作るって、本当に奥が深いな……でも、だからこそ面白いんだ。)
ある日の講義で、講師のアラン先生は新しいテーマを発表した。
「次の課題は、魔力消費を抑えつつ、複数の効果を同時に発揮する魔道具の制作だ。これは実用性だけでなく、効率性も試される難しい課題になる。君たちが学んできた基礎技術をすべて活用する必要があるだろう。」
教室内はざわついた。複数の効果を同時に発揮させるというのは、魔道具制作の中でも一段と難易度が高い挑戦だ。いくら基礎を学んできたとはいえ、これはまだ「基礎講座」とは思えないような内容だった。
エルヴィンは机にノートを広げ、先生の話を聞きながら早速アイデアを練り始めた。周囲の友人たちも、それぞれの考えを巡らせている。
エルヴィンの隣ではリヴィアが不安そうにしていた。
「エルヴィン様、複数の効果なんて、どうやって同時に発揮させればいいんでしょう?どの魔道文字を組み合わせたらいいのか、全然イメージが湧きません……」
リヴィアの声にエルヴィンは微笑みながら答えた。
「確かに難しいですよね。でも、まずは一つずつ効果を考えて、それをどう繋げるかを考えてみるといいかも。僕もまだ試行錯誤だけど、一緒に頑張りましょう!」
リヴィアはその言葉に少し安心したように微笑み返した。
エルヴィンの最初のアイデアは、日常生活で使える便利な魔道具だった。複数の効果を持たせるという条件を満たすため、簡易的な照明と暖房効果を兼ね備えたランタンを試作することに決めた。冬の寒さが厳しいシュトラウス家の領地では、こうしたランタンが役立つはずだ。
彼は早速、材料選びから取り掛かった。魔力を安定して供給するための小型の魔力鉱、光を放つ「光の石」、そして熱を発生させる「温熱石」を使用する計画だ。しかし、これらを一つの装置に組み合わせるのは、言うほど簡単ではない。
エルヴィンは試作品の設計図を何度も描き直しながら、魔道文字の配置を慎重に考えた。
初めての試作品が完成したのは、工房に籠もってから半日が過ぎた頃だった。エルヴィンは机の上に置いたランタンに魔力を込めてスイッチを入れる。
すると――
「おお……!」
ランタンの中で柔らかな光が灯り、周囲にじんわりと暖かさが広がる。エルヴィンは自分でも驚くほどの順調な結果に、思わず笑顔を浮かべた。
しかし、その直後――。
「熱っ!?」
突然、ランタンの表面が異常に熱くなり始めたのだ。慌てて手を離したエルヴィンは、机の上にランタンを置き直し、冷静に観察を始めた。
どうやら、熱を発生させる「温熱石」に魔力が過剰に流れ込んでしまったことが原因らしい。暖房効果を意識するあまり、魔力配分をうまく調整できていなかったのだ。
「うーん、やっぱり一筋縄ではいかないか……」
エルヴィンはため息をつきつつ、ノートに失敗の原因を書き留めた。
その様子を見ていたレオンが、興味津々に声をかけてきた。
「どうした、エルヴィン?またいつもの“魔道具おかしタイム”か?」
「“魔道具おかしタイム”って……なんですか、それ。」
エルヴィンは苦笑しながら返した。
「いや、ほら、失敗して面白いことが起きるのを何回か見てるからな。で、今回はどんな騒ぎだ?」
「今回は騒ぎというほどでもないですよ。ただ、温熱石の制御が上手くいかなくて、ちょっと熱すぎるランタンができただけです。」
レオンは笑いながら、エルヴィンの机の上を覗き込んだ。
「けど、ちゃんと光も暖かさも出てるじゃねえか。悪くないんじゃねえの?熱くならねえようにすりゃ完璧だろ?」
「それが簡単なら苦労しないんですよ……」
エルヴィンは肩をすくめながら答えたが、レオンの言葉に少し勇気づけられた。
翌日、エルヴィンは試作を改良するための作業に取り掛かった。魔力配分を調整するため、魔力の流れを制御する「リサイクル」の魔道文字を追加し、温熱石に流れる魔力を自動で制御する仕組みを組み込んだ。
しかし、改良を加えた二回目の試作でも問題が発生した。今度は光の石の光が弱くなりすぎてしまったのだ。どうやら、魔力配分の調整を重視するあまり、全体のバランスを崩してしまったらしい。
「うーん……またやり直しか。」
エルヴィンは少し落胆しながらも、失敗から新たな発見を得た。魔力配分の調整だけでなく、全体のバランスを取るために、追加の魔力供給源を組み込む必要があることに気付いたのだ。
三回目の試作では、魔力鉱を増設し、各効果に均等な魔力を供給する工夫を加えた。そしてついに――。
「これで……どうだ?」
スイッチを入れると、ランタンが穏やかな光を放ち、ほどよい暖かさが広がる。ランタンの表面も熱くならず、問題なく持てる状態になっていた。
「やっと……成功だ!」
エルヴィンは安堵の笑みを浮かべた。失敗を重ねた分だけ、この成功の喜びも大きい。
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