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第2章:王都カレドリア学院!学びと挑戦の日々

第26話「王都カレドリア学院への挑戦」

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ある日、シュトラウス邸の応接室に呼ばれたエルヴィンは、父カールと向かい合って座っていた。カールの表情はいつになく真剣で、彼の隣に座る母エレナも何か言いたげな面持ちでエルヴィンを見つめている。エルヴィンは、こうして改まった雰囲気で話をされるのは久しぶりだと感じ、少しだけ緊張した。

カールが口を開いたのは、エルヴィンが言葉を発する前だった。

「エルヴィン、お前もここまでよく成長した。領地での発明や魔道具の改良に励み、皆の生活を豊かにしていると聞いている。だが……ここで一度、もっと広い世界を知り、学びを深める必要があると感じている」

「もっと広い世界、ですか?」

エルヴィンは父の言葉に少し驚いた。彼自身、日々の発明を通じて領地を発展させていくことが自分の役目だと思っていた。しかし、カールの言葉には、より大きな期待が込められているようだった。

「王都には『カレドリア学院』という学院がある。王国中の貴族子息や、特に才能を持つ者たちが集まり、学問や技術を学ぶ場所だ。お前にはそこで、多くの知識や技術、そして同年代の仲間たちと交流しながら、さらに成長してもらいたい」

「カレドリア学院……」

その名前はエルヴィンも聞いたことがあった。王都で最も格式が高く、王族や高位貴族の子息たちが集まる、王国屈指の教育機関だ。しかし、自分がその場で学ぶことになるとは思っていなかった。

「ですが、父上……僕はここで発明をしていくつもりでした。学院に行く必要があるのでしょうか?」

エルヴィンの戸惑いを察して、エレナが優しく口を挟んだ。

「エルヴィン、あなたの発明の才能は私たちも誇りに思っているわ。でも、もっとたくさんの知識や経験を積むことで、あなた自身が成長していくことも必要なの。学院には、貴族としての教養や礼儀作法、魔法理論、そして錬金術など、さまざまな分野が学べるわ」

カールも深く頷き、続ける。

「学院でしか学べない知識や出会いが、将来のシュトラウス家や領地を支える力になる。エルヴィン、お前にはその素質があると信じている」

エルヴィンは両親の思いを受け止めながらも、まだ少し迷っていた。しかし、カレドリア学院で学ぶことが、将来の自分や家族にとって必要なことだと理解し、静かに決意を固めた。

「わかりました、父上、母上。僕、カレドリア学院に挑戦してみます。もっとたくさんのことを学んで、成長していきます」

カールは満足げに微笑み、彼の決意を受け止めた。

「よく決心したな、エルヴィン。だが、カレドリア学院に入るには入学試験がある。そう簡単には通らない試験だが、お前なら大丈夫だろう」

カレドリア学院の入学試験は、エルヴィンにとって初めての大きな試練だった。数日後、彼は王都へと向かい、学院の試験会場で試験を受けることになった。学院の広大な敷地に足を踏み入れると、そこには同年代の貴族子息や才能を認められた市民階級の子供たちが集まり、それぞれが真剣な面持ちで試験の開始を待っていた。

「これが、カレドリア学院か……」

目の前に広がる荘厳な建物と、堂々たる佇まいに、エルヴィンは圧倒されながらも心を引き締めた。ここで学ぶことができれば、自分の発明や知識がさらに深まるに違いない。

試験はまず、筆記試験から始まった。内容は広範囲にわたり、貴族としての一般常識、魔法理論の基礎、錬金術や歴史など、多岐にわたる知識を問われるものだった。エルヴィンは普段から興味を持って学んでいた分野が多かったため、自信を持って解答を進めていった。

「うん、この問題は知っている……。魔力鉱の性質については、この前工房で学んだことが役に立ちそうだ」

エルヴィンは前世で得た知識も活かしながら、筆記試験を順調に進めた。特に錬金術や魔道具に関する問題では、工房での経験を活かし、斬新なアイデアを織り交ぜて解答を書き込んでいく。

筆記試験が終わると、次は実技試験が始まった。実技試験は、魔法の才能や体力、戦闘技術の基礎がどれだけ備わっているかを評価するもので、学院が求める生徒像に合致しているかを見極める重要な試験だった。

エルヴィンは、まず魔法の基礎実技から試験を受けた。自分が得意とする魔法属性を使い、どれだけ精密に魔力をコントロールできるかが試される。彼は基本的な属性魔法のうち、自分が持つ「風属性」を使い、指定された物体を動かす課題に挑んだ。

「この風を、もっと細かく調整すれば……」

エルヴィンは、普段の魔道具開発で培った集中力を活かし、風を緻密にコントロールして物体を持ち上げ、指定の位置に移動させることに成功した。試験官たちは、10歳という年齢にしてこれほどの魔力制御ができることに驚き、彼に高評価を与えた。

次に行われたのは、武術の試験だった。エルヴィンは特に戦闘を得意とするわけではなかったが、護衛のエドガーから教わった剣の基本を活かし、実技に挑む。

「ふう……剣術は少し苦手だけど、ここは集中しなきゃ」

試験官の指示に従い、エルヴィンは木剣を握り、用意されたダミー人形に基本的な突きや斬りを繰り出した。試験官たちは、その技術の未熟さは見て取れるものの、彼が持つ集中力と真剣な態度を評価している様子だった。

実技試験を終えたエルヴィンは、手に汗を握りながらも、すべての試験を終えたことに安堵した。

試験から数日後、エルヴィンはカールとともに再びカレドリア学院を訪れ、合格発表を待っていた。学院の掲示板に貼り出された合格者一覧の中に、「エルヴィン・シュトラウス」の名前を見つけたとき、彼は思わずガッツポーズを取ってしまった。

「やった……!父上、僕、合格しました!」

カールも満足げにうなずき、エルヴィンの肩を軽く叩いた。

「よくやったな、エルヴィン。これからが本当の学びの始まりだ。学院では多くの経験を積んで、自分を高めていくのだぞ」

エルヴィンは父の言葉にうなずき、これから始まる学院生活に胸を膨らませた。そして、カレドリア学院での学びを通じて、自分がどれだけ成長できるのかを期待しながら、入学式の当日を迎えるのだった。
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