ゆるり冒険VR日和 ～のんびり異世界と現実のあいだで～

第28話 光の加護と冒険者ギルドの新たな依頼

「光の加護」という新たな力を授けられたアキとスフィアは、再び街へと戻り、冒険者ギルドで新しい依頼を探すことにした。ギルドに入ると、いつもより多くの冒険者たちが集まり、何やら賑やかな雰囲気に包まれている。掲示板には見慣れない依頼が増えており、冒険者たちはその内容に興味津々な様子だった。

アキが掲示板に目をやると、ある依頼が目に留まった。それは「古代の遺跡で発見された謎の扉を調査してほしい」というもので、どうやら最近発見された遺跡の奥で見つかった不思議な扉についての依頼らしい。遺跡調査には高いスキルが求められるため、依頼の難易度も高く、報酬もかなりの額になっている。

クエスト：古代遺跡の謎の扉の調査
【目的】：遺跡の奥で見つかった扉の調査と開錠方法の解明
【報酬】：遺跡探索用の特別装備と希少アイテム
【難易度】：★★★★☆（上級者向け）

「この遺跡、興味深いな。スフィア、行ってみようか」

スフィアも「キュッ」と楽しそうに鳴き、アキの足元で期待に満ちた表情を浮かべている。新たなスキル「光の加護」も試せる絶好の機会だと感じ、アキはその依頼を受けることに決めた。

遺跡へ向かう途中、アキはスフィアの光の加護を改めて確認し、どのように役立てられるかを考えていた。光の加護を発動すれば、仲間全員に小さなシールドを張り、体力と魔力を少しずつ回復させることができるため、長期戦や遺跡内の過酷な環境でも大いに助かるだろう。スフィアも新しい力に意気込んでいる様子で、時折アキを見上げて「キュッ」と頼もしい声を上げている。

遺跡に到着すると、辺りはひんやりとした空気が漂い、入り口の周りには古い石碑が並んでいる。アキはその石碑に触れて、どんな歴史があるのかを調べようとしたが、表面の文字がほとんど読み取れない状態だった。それでも、所々に古代文字が刻まれており、アキはその謎めいた雰囲気に胸を躍らせながら奥へと進んでいった。

遺跡の内部は入り組んだ通路が続き、アキはスフィアと慎重に歩を進めていく。すると、しばらく進んだ先で、石の扉が見えてきた。その扉には不思議な模様が刻まれており、中心には大きなクリスタルが埋め込まれている。どうやらこのクリスタルが扉を開く鍵になっているようだが、簡単には開かない仕掛けが施されているらしい。

アキはクリスタルに手をかざし、スフィアと共に力を合わせて扉を開ける方法を考え始めた。

「スフィア、光の加護を使ってみよう。このクリスタルが反応するかもしれない」

スフィアが「キュッ」とうなずき、癒しのオーラを纏いながら光の加護を発動させた。すると、スフィアの力がクリスタルに反応し、扉がゆっくりと輝き始める。そして、次の瞬間、遺跡全体がわずかに揺れ、扉の奥から冷たい風が吹き出してきた。

その奥に広がるのは、今まで見たことのない美しい光が満ちた空間だった。扉の向こうには、無数の宝石が散りばめられたような壁や、天井から光が降り注ぐ巨大な広間が広がっている。アキとスフィアはその壮大な景色に目を奪われ、一瞬、息を飲んで立ち尽くした。

「ここは一体…？スフィア、僕たちはとんでもない場所に足を踏み入れたかもしれない」

未知の広間が何を秘めているのか、アキは再び緊張と興奮が入り混じる気持ちを抱えながら、その先へと足を進めた。果たしてこの遺跡の奥に待っているのは、伝説の秘宝なのか、それともさらなる謎か——次に何が起きるのか、予測できない展開が二人を待ち受けていた。