ゆるり冒険VR日和 ～のんびり異世界と現実のあいだで～

第25話 初めての栽培とリーフベールの薬草園

サフィアの店での依頼を終えたアキとスフィアは、報酬として受け取った「薬草の栽培用キット」を使い、リーフベールの種を育ててみることにした。薬草を育てることで、今後の冒険やポーション作りに必要な材料を自分の手で確保できるようになるのだ。

拠点に戻ったアキは、さっそく栽培キットを準備し、スフィアも隣で興味津々にその作業を見つめている。栽培用のキットには、土の入った小さなプランター、肥料、そして成長を促す魔力石がセットになっており、初心者でも簡単に育てられる工夫が施されていた。

「スフィア、この種からどんな薬草が育つか楽しみだね」

アキが微笑んで声をかけると、スフィアは嬉しそうに「キュッ」と鳴き、早く育つようにと応援するかのようにふわりと癒しのオーラを放った。

種を土の中にそっと植えたアキは、スフィアの癒しのオーラと共に、植物育成スキルを使って土を優しく撫でるようにして魔力を注いでいく。すると、しばらくして土の中から小さな芽が顔を出し始め、アキもスフィアもその成長に思わず微笑んでしまう。

芽は青々とした柔らかな葉を広げ、少しずつ力強く成長を見せ始めた。スフィアはその横で芽に寄り添い、まるで見守るようにその葉を静かに撫でている。

数日が経つと、リーフベールの薬草がぐんぐん成長し、アキはその収穫の時期を迎えた。薬草の葉はしっかりとした形に育ち、アキとスフィアが手をかけた分、生命力を感じるほどに青々としている。

「スフィア、収穫してみようか」

スフィアは誇らしげに尻尾を揺らし、アキの手元をじっと見つめている。アキは薬草の葉を一枚一枚丁寧に摘み、手に取るとその香りが心を癒すように漂ってくる。スフィアもその香りにうっとりとした表情を浮かべ、まるで自分も手伝ったのだと言わんばかりに満足げだ。

アイテム名：リーフベールの薬草
説明: 「リーフベールの種から育てた薬草。優れた癒し効果を持ち、ポーションや薬の材料として重宝される」

「スフィア、君のおかげで立派な薬草が育ったよ。これで、また特別なポーションが作れるね」

アキがスフィアに感謝の気持ちを込めて言うと、スフィアは嬉しそうに頬にすり寄り、優しく「キュッ」と鳴いた。

その後、アキはこの薬草を使って、リーフベールで得た知識をもとに、さらに癒し効果を高めたポーション作りに取り掛かった。スフィアはその間もずっとアキのそばに寄り添い、癒しのオーラを送り続けている。

ポーションが完成すると、アキはその効果を試し、深い安らぎを感じながら、スフィアとの時間が彼の生活にとって大切な癒しの一部になっていることを実感した。

アキとスフィアの絆は、この小さな栽培活動を通じてさらに深まり、また新たな冒険への期待が膨らんでいくのだった。