ゆるり冒険VR日和 ～のんびり異世界と現実のあいだで～

第20話 リーフベールの種と新しいスキル

リーフベールの村での穏やかな時間を過ごし、特別な「リーフベールの種」を手に入れたアキとスフィア。街へと戻る道すがら、アキは村人たちの温かさを思い返しつつ、この種をどう育てようかと考えていた。アキは自分の拠点で育てて、いつか癒しのポーションに役立てたいと心を決める。

街に戻ったアキは、薬師サフィアを訪ね、リーフベールの種の育て方について相談してみることにした。サフィアはその種を見て、少し驚いた様子で微笑みを浮かべた。

「この種はね、丁寧に育てれば、心のこもった薬草が育つのよ。リーフベールの村の薬草は、とても柔らかく癒しの力が強いの」

サフィアの言葉に励まされ、アキはさっそく自分の拠点で種を育てる準備を整えた。スフィアもアキの側で種を見守り、まるで自分も育てる一員になったかのように小さく「キュッ」と鳴く。その愛らしい仕草に、アキは思わず微笑みながら、種を丁寧に土の中に植えた。

しばらくして、アキは水を優しくまいて種を見守り、スフィアもそばで静かに風を送り、種を育てている。この間、アキは新しいスキル「植物育成」を発動してみることにした。このスキルは、植物を少し早く成長させたり、品質を高めたりすることができるという。

スキル名：植物育成
効果: 「植物を早めに成長させ、品質を高める。癒しや薬効を持つ素材に使うと効果が強まる」

スキルを発動すると、アキの手から柔らかな光が流れ出し、土の中にあるリーフベールの種に浸透していくのを感じた。スフィアもその光をじっと見つめ、小さな鼻をぴくぴくと動かしている。やがて、土の中から小さな芽が顔を出し、まっすぐと空に向かって伸び始めた。

「すごい…こんなに早く芽が出たんだね」

アキは芽をそっと撫でながら、その生命力に感動していた。スフィアも隣で、嬉しそうに尻尾を揺らしながら新しい芽を見つめている。リーフベールの種が少しずつ成長していく様子は、アキとスフィアにとって新しい喜びと発見の連続だった。

芽が育つのを見守る日々が続き、少しずつリーフベールの薬草が成長していく。アキはこの植物が完成したときに、癒しのポーションを作ることで村の人たちの恩に報いることができると感じ、心の中に小さな使命感が芽生えていた。

ある日、薬草がすくすくと成長している様子を眺めていると、ふとスフィアがその薬草に近づき、優しく鼻で触れると、再びふわりと癒しの風が吹き始めた。スフィアの癒しの風が薬草に力を与え、植物もさらに生き生きと輝きを増している。

「スフィア、君のおかげで薬草も元気に育っているよ」

スフィアは嬉しそうに頷き、アキに軽くすり寄ってきた。アキはその小さな仲間の成長と優しさに心から感謝し、スフィアと一緒に育てたこの薬草が、きっと誰かの癒しになると信じていた。

こうして、アキはスフィアとの絆をさらに深めながら、日々成長していく薬草と共に新しい冒険の準備を整えていった。