ゆるり冒険VR日和 ～のんびり異世界と現実のあいだで～

第16話 スフィアと共に森の素材集め

冒険者交流会を終えた翌日、アキたちは新しい仲間スフィアと一緒に、森で素材を集めることにした。スフィアもペットとしての能力を少しずつ発揮し始めており、アキにとっては彼の成長を見守りながらの冒険がますます楽しくなっている。

「今日は、森で使えそうな薬草やハーブをたくさん見つけよう！」

アキが意気込んで声をかけると、スフィアは嬉しそうに「キュッ」と鳴き、アキの足元にぴょんぴょんと跳ねながらついてくる。

森に入ると、スフィアはすぐに小さな鼻をクンクンと動かし、あちこちに興味津々で顔を向けている。アキが「ラベンティアを見つけてくれるかい？」と声をかけると、スフィアは小さな前足で地面を掘るような仕草をし、匂いを頼りに森の奥へ進んでいく。

「うわ、本当にすごいな…」

しばらくすると、スフィアが見つめる先に、青紫色の花を咲かせたラベンティアがいくつも顔を出していた。アキは感心しながら、丁寧に花を摘み取り始め、スフィアはその様子をじっと見つめ、まるで自分もアキと一緒に素材集めを楽しんでいるように感じられた。

「ありがとう、スフィア」

アキがそう声をかけると、スフィアは得意げな顔をしながら再び「キュッ」と小さく鳴いた。その瞬間、スフィアの体がふわりと光り、アキに向けて優しい風が吹きつけた。スフィアの「癒しの風」が自然と発動し、アキの疲れをそっと癒してくれる。

「スフィアの力、やっぱりすごく癒されるよ」

アキはその柔らかな風を感じ、スフィアの小さな成長に心から嬉しくなる。素材集めの間、スフィアは何度も癒しの風を送り、アキが作業をしている間もずっと寄り添っていた。

ある程度ラベンティアを集め終わった頃、アキは森の奥で珍しい木の実がいくつか落ちているのを見つけた。見たことがない淡いピンク色の実で、アキは「素材鑑定」を発動してその詳細を調べてみた。

アイテム名：ドリームベリー
説明: 「甘い香りを持つ幻の木の実。ポーションに加えると、深いリラックス効果を与える」

「ドリームベリーか…これは新しいポーションの材料になりそうだな」

アキはドリームベリーをいくつか慎重に拾い、スフィアもその隣で実を転がすようにして一緒に集めている。森の穏やかな空気に包まれながら、2人はリラックス効果のある素材を大切に袋に詰めていった。

街に戻ったアキは、集めたラベンティアとドリームベリーを使って、癒し効果の高い特製ポーションを作ることにした。スフィアも作業台の近くで見守り、時折アキに寄り添って風を送り、ポーション作りを手伝ってくれているようだった。

「スフィアのおかげで、ポーションもより癒し効果が増しそうだよ」

アキはドリームベリーを優しく潰し、ラベンティアと混ぜ合わせ、ポーションに香りがしみ込むようにゆっくりと混ぜていった。スフィアはそんなアキの動きをじっと見つめ、時折うっとりとした表情を浮かべながらアキに寄り添っている。

アイテム名：ドリームポーション
説明: 「ラベンティアとドリームベリーを合わせた癒しのポーション。リラックス効果と共に心地よい眠りをもたらす」

「完成したね。スフィア、君のおかげでとてもいいポーションになったよ」

アキが微笑むと、スフィアも満足そうに尻尾をふわりと揺らし、アキの頬にすり寄ってきた。彼とスフィアが共に作ったこの特製ポーションは、これからの冒険で心の支えになる大切なアイテムとなった。

こうして新しい仲間スフィアと共に、アキの冒険はさらに楽しく、そして穏やかなものになっていった。スフィアとの絆を深めながら、アキはこれからの冒険に胸を弾ませていた。