ゆるり冒険VR日和 ～のんびり異世界と現実のあいだで～

第7話 初めての依頼「薬師サフィアからのお願い」

新しいスキルを手に入れ、アキの冒険がさらに充実してきた。そんなある日、アキは街の掲示板を眺めていた。すると、「薬師サフィアからのお願い」と題された依頼が目に入った。内容を見てみると、ヒーリングポーションの材料として、森に自生する「ヒーリングハーブ」を10本採取してほしいという依頼だった。

クエスト：薬師のサフィアからのお願い
【目的】：薬師サフィアのために、ヒーリングポーションの材料となるヒーリングハーブを10本採取する
【報酬】：ポーション作成に役立つレシピと薬師サフィアの特別な教え
【難易度】：★☆☆☆☆（初心者向け）

「初心者向けで生産が得意な僕にはぴったりかも」

さっそく、アキはサフィアが営む薬師の店を訪ねることにした。街のはずれにある店に入ると、薬草やポーションが所狭しと並んでおり、温かみのある香りが漂っている。店内にはやや年配の女性が立っており、アキを穏やかな笑顔で迎えてくれた。

「いらっしゃい。依頼を見てくれたのね？ヒーリングハーブが不足していてね、10本集めてくれると助かるわ」

サフィアと名乗るその女性は、アキにヒーリングハーブについて詳しく教えてくれた。湿った土壌を好むため、森の中で見つけやすい植物だが、採取する際には根を傷つけないように慎重に扱う必要があるという。

「根を傷つけると、ポーションの回復効果が減ってしまうの。丁寧に扱うことが大事よ」

「わかりました、任せてください！」

アキはサフィアの教えを胸に、さっそくヒーリングハーブを探しに森へ向かった。

森の中に入ると、湿った空気が肌を撫で、草木が生い茂っている。アキは「素材鑑定」を発動し、ヒーリングハーブが育ちやすい場所を探して慎重に歩いた。すると、茂みの中に小さくて薄緑色の葉を見つけた。どうやらこれがヒーリングハーブらしい。

「これがヒーリングハーブか…根を傷つけないように、丁寧に取らなくちゃ」

アキはサフィアの言葉を思い出しながら、そっと根を傷つけないように引き抜いた。葉がきれいな状態で収穫できると、アキは心の中で少しホッとした。

「よし、うまく採れた！」

その後もアキは何度か同じ要領で慎重にヒーリングハーブを摘み取り、10本を無事に収集することができた。

アキはサフィアの店に戻り、集めたヒーリングハーブを手渡した。サフィアは満足そうに微笑みながらアキの顔を見てうなずく。

「丁寧に採ってくれたのね。これでしばらくポーションを作れるわ、ありがとう」

サフィアはお礼に、アキに「簡易ヒーリングポーション」のレシピと、少し特別な作成方法を教えてくれた。アキは彼女に感謝を述べ、早速レシピを使って自分でもポーションを作ってみることにした。

加工エリアでヒーリングハーブをセットし、スキル「加工技術」を使いながら慎重に作業を進める。ハーブをすりつぶし、少量の水と鉱石の粉末を加え、丁寧に煮詰めていくと、やがて淡い緑色の液体が完成した。

アイテム名：簡易ヒーリングポーション
説明: 「体力を少し回復させる効果のある基礎ポーション。冒険者の必需品として重宝される」

「よし、これで戦闘中も安心できるぞ」

完成したポーションを手に、アキは自信を深めた。依頼を通じて街の人と交流することで、この世界での生活が少しずつ豊かになっていくのを感じる。異世界での冒険と日常の間で、アキの歩みは一歩ずつ進んでいる。