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終幕
蜜月の朝※
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数週間が過ぎた。ソルタオの戴冠式と姉、フィロンの結婚式は同時に行われ、フィロンたちはアンマーセルの国民に祝福されて公私ともに結ばれた。式は盛大で、パレードまで行われたほどだ。式典用のドレスを着た姉は美しかった、とアレグリアは思う。
どの妖精を残し、一方でフィロン側に送るか。贈り物は何がふさわしいか。それらに尽力してくれたのは意外にもビドゥーリだった。
フィロンの時とは違い、ほとんど引き継ぎをしてもらっていないアレグリアにとって、ビドゥーリが持つ知識は助け船だったと言ってもいいだろう。どうやら彼は、亡き母から様々な妖精の事情などを教えられていたらしい。
妖精郷にやってきたエルテと共に無事式典へ出席し、今は夜。アレグリアのものになったヴァンヘリオ城の部屋からは、三日月が白く輝いて見える。寝台に座り、一人で空を眺めていたときだった。
「リア、入るぞ」
手に杯を持ったエルテが部屋に来た。振り返り、立ち上がろうとする自分をエルテがとどめる。
「疲れたんじゃないのか? これ、蜂蜜酒な」
「ありがとう。エルテの分は?」
「オレはもう葡萄酒を飲んできた。まーだ葡萄酒飲めないんだもんな、リアは」
「別にいいじゃないか。困るわけでもないし」
座ったまま、渡された酒を一気に煽った。それを見てだろうか、なぜかエルテがにやにやとしている。不思議に思いながらも寝台の横の机に杯を置いた。
「姉様、綺麗だったなあ。エルテもそう思わないか?」
「まあ綺麗だったけど。リアの方が可愛くて綺麗だから」
「ば……馬鹿っ」
思わず顔が赤くなる。エルテは妖精郷に来てから、とりわけ愛の言葉をささやくようになった。薄い寝間着を着ているというのに体が熱くなってしまう。手で顔を扇ぐ自分の横に、エルテが腰かけた。
優しく頬を撫でられて、思わずぞくりとした。体中が敏感になり、妖しい手つきで耳や首元をなぞるエルテの指から悦楽を感じる。
「リア……オレ、そろそろ限界」
「げ、限界って……あ」
肩を掴まれ、寝台にゆっくりと押し倒された。抵抗はできなかった。
確かにエルテとは長い間、交わっていない。思いを重ねたときからも様々な準備などに追われ、口付けを交わすだけが精一杯だったのだから。
「今日はずっと抱くから。リアが気絶しても」
「……うん」
微笑んで、のしかかってくるエルテを迎え入れる。
唇が触れ合った、と同時にエルテの舌が口腔内を犯してくる。舌同士を絡ませるたび、くちゅり、ちゅく、といやらしい水音が響いた。それだけで気持ちが昂ぶる。全身が火照る。
「はぁ、ん……」
舌が離れ、今度は鎖骨、胸の谷間をくまなく舐められた。所有の証しのように肌を吸われて痣をつけられる。少しの痛みすら心地いい。自然と膝が立つ。大切な部分を開け広げるような格好をとってしまうが、今はエルテがもたらす快楽がほしくてたまらなかった。
裾を捲られ、一気に胸までをエルテに晒すも、恥ずかしさより期待の方が大きい。
「乳首、立ってる」
「やだ……言わないで……」
「指で擦ってほしい? それとも舐める? ……両方か、やっぱ」
「んあっ……!」
片方の乳頭を食まれ、もう片方の尖りを指の腹でこねくり回された。体が勝手に跳ねる。舌で嬲られると共に指で強く摘ままれ、甘い痺れが思考を奪い去っていくのがわかった。
「胸……ばっかり……っ。舐めないでっ……」
「全部弱いからな、リアは。下ももう、たっぷり濡れてるんじゃないか?」
エルテが意地悪く笑う。事実そのとおりだった。胎の奥から溢れた蜜は下着と媚肉を張りつかせ、触れられることを待ちわびている。
エルテは寝間着を脱ぎ捨てた。たくましい腕が、アレグリアの服を剥ぎ取ってしまう。残るは股間を隠す下着だけだが、愛液に塗れた布はその役割を果たしていない。
「甘い匂いがする……こんなに濡らして、いやらしいな。いやらしくて、可愛い」
「ひあんっ!」
いきなり秘部にしゃぶりつかれ、花芯を吸われた勢いで嬌声が上がる。下着の端を強引に横にずらされた。露わになった秘部を掻き回すように、舌と指で蹂躙される。
「んっ、ふあっ! やっ、あんっ。触っちゃ、やぁ……!」
甘い懇願に、エルテはそれでも止まらない。ピンと立った秘芽を鼻先で擦りながら、溢れ出る愛蜜を啜るように隘路を貪る。二つから来る淫悦は確かにアレグリアを責め立てた。
「イ、くっ。私、イッちゃうからぁっ! だめ、あ、ああっ。ひぁあああっ!」
花芽を吸われた瞬間、全身を痙攣させて法悦に達する。こぷりと愛液が奥から溢れた。
「リア、リア……甘い、リアの蜜、こんなに……」
「も、だめっ。吸っちゃ、やぁ! イッたの、だからエル……ひっ」
陶酔したようにエルテの口淫は続く。今度は濡れそぼった秘路に指を入れてきた。雌芯をぐちゃぐちゃに舐めながら。達したばかりのアレグリアには、その刺激は強すぎた。
「ふあ、んあっ……いや、あ、だめぇ、だめ……!」
何度も舌と指で責められ、奥を弄られては達する。全身汗だくになりつつ、シーツを掴んでいた手はいつしか移動し、エルテの髪を震えながら握っていた。
絶頂に達し、体中が熱いのに物足りない。もっと、もっとと浅ましい自分が顔を出す。
――エルテが、ほしい。
幾度かの絶頂に気が遠くなる中、それでも強く思う。
「エル、テ……お願い……来て」
「リア……?」
「エルテがほしい、の。エルテので、もっと奥……突いて……」
顔を上げたエルテにこいねがう。淫らな願いに、それでもエルテは微笑んでくれた。愛液に塗れた唇を舐める姿は、どこかとても淫靡に見える。
紐で括っていた下着を取り外された。外気に晒された陰部はすっかり濡れきり、エルテを迎える準備ができている。
「そんな可愛いこと言われちゃ、応えないわけにはいかないもんな」
舌舐めずりするエルテの股間、そこにある男根はすでに反り返り、先走りの液で亀頭が濡れている。よく見るのはこれがはじめてだ。あんな大きいものが入るのか少し恐怖があったが、よがり狂った記憶が脳裏を掠め、胸がときめく。
「あ、っ」
広げた両膝を掴まれ、下腹部に押しつけられた。淫筒の奥まで丸見えになっているだろう状態に、羞恥で頬が赤くなる。
「入れるぞ、リア」
「う、うん……」
膝を掴みながら、ゆっくりとエルテが腰を落としてくる。
隘路を割り、先が淫肉の中に入ってきた、と感じた刹那、一気に剛直を突き入れられた。
「あぁぁあっ!」
痛みはない。背筋に走ったのは凄まじいまでの快楽だ。思わず背筋がのけ反る。
「うわ……リアの、凄く締まる……」
苦しげに囁いたエルテが、抽送を開始した。肉竿はアレグリアの蜜を吸い、最大に勃起している。自分の肉襞が精を搾り取ろうと、きゅうきゅうに陽根を締めつけているのがわかった。
「あっ、ふぁ、奥、奥いい、そこっ……もっと突いてっ、エルテ!」
腰に脚を絡め、エルテの背へ手を回す。ぢゅぷっ、ぢゅぷっと一突きされるたび、蜜壺の善いところを掠められ、意識が飛びそうだ。朦朧とする中、エルテが再び唇を重ねてくる。快楽に翻弄されながらもそれに応え、舌を絡めて吸い合う。
「ん、んん、っ。ひあ、あんっ!」
「気持ち、いいか? リア」
「いい、の……凄く……エルテの、気持ちいいよぉ……!」
「オレも凄く、いい。絡みついてくる……」
胸の突起を指で嬲られ、耳を舐められた。それだけでまた、軽く達する。全身が性感帯になったようだ。恥ずかしさも遠慮も、今は何もいらない。体中でエルテを感じ、悦楽の波に溺れていたかった。
「ひあぁ、ふあ、そこぉ……! 弱い、のっ。ぐりぐり、しないで……!」
ぬちゃり、ぐちゅん、と結合部から淫らな水音が響く。肌がぶつかる打擲音も。自分の甘い悲鳴と淫猥な音、そしてエルテの荒い息遣いが興奮に拍車をかける。
「イ、く……私、また、イッちゃう……おっきいのが、来る……っ」
「いいよ、リア。一緒にイこう。何度でも子種、注ぐから。オレの子供を産んで?」
「エルテの赤ちゃん、ほしい……。出して、いっぱい、中に……ぃっ」
抽送が一層激しくなる。エルテの息が荒く聞こえる。快楽で視界がちかちかとした。体を揺さぶられ、より深いところを抉られた瞬間、法悦の稲妻が全身を打つ。
「あ、あああああ――っ!」
「くぅっ……」
体を跳ねさせたと同時に、熱い濁流が胎内に流れ、子宮を叩いた。びゅくびゅくと流れる体液の勢いは凄まじく、それだけでまた、軽く絶頂する。
「エル、テ……好き……大好き」
エルテに抱かれたのはこれが二度目の夜だが、思いを通じ合わせた後でと比べたら、悦楽の差がより激しいことに気付く。歓喜と幸福、法悦が混じり合って心を満たしていた。
エルテの赤い瞳が、未だ物足りないというように自分を射貫いている。その瞳に自分が映っていることが嬉しかった。誰でもない、自分という女が。
「リア。もっとしたい。絶対に今日、孕ませるから」
「え、あんっ……!」
繋がったまま上体を起こされ、今度は下から突き上げられた。精液と愛液、二つが潤滑油となって抜き差しをより滑らかにする。
「あ、あ、ああ! だめ、これだめっ。またイくの、私、もうダメっ!」
「何度でもイっていいぞ、リア。オレもまた出す」
じゅぷん、ぐちゅんといやらしすぎる音が耳を叩く。何度も貫かれ、達するたびに力が抜け、エルテの胸板に倒れた。それでも抽送はやまず、より深く肉槍が奥を抉り、子宮口近い部分を擦る。
「やあ、あ、ひああ、っ! 来る、イくのぉ……っ!」
逞しい胸板に乳房を擦りつけた瞬間、絶頂の渦に叩きこまれた。二度目なのに未だ熱く、勢いのある精液が胎内で暴れる。
エルテの胸に倒れたまま、おかしい、と快楽の片隅で思った。疲れているはずなのに、こんな激しい性交ができるだなんて。それともやはり自分は淫乱なのだろうか。
内心を読み取ったように、エルテが髪の毛にキスを落としてくる。
「綺麗だ、リア。可愛くてやらしくて。……やっぱビドゥーリの血、凄いな」
「……今なんて言った?」
「いやいや気にするなって。それよりもっとしよう」
「あのな、君はっ」
顔を上げた刹那、キスで唇を塞がれる。胸を揉まれ、乳暈ごと乳首をこね回されればまた、淫悦が全身を支配した。
――結局その夜、後ろから、立ちながらと体位を変えて体を貪られた。それこそ気絶しても起こされ、二人で寝台に横たわったのは朝方近くのことだった。
もう、体中が気怠くて動かせない。二人の体液でシーツは汚れ、絨毯のあちこちにも染みができている。
「ネスが見たら絶対呆れるだろうな……」
「別にいいだろ。そういう仲なんだから、オレたち」
「それはそうかもしれないけど。……エルテ、ビドゥーリの血を使うのは金輪際、禁止だ」
「あんなにやらしくて可愛いのに!?」
「エルテ?」
「……わかったよ。ならネスに頼むか……」
「そういう問題じゃないっ」
自分の横になっているエルテの頬を軽く叩く。その手を握られ、体を引き寄せられた。エルテが小さく笑う。
「オレの妖精王は頑固だな。でも、素直に快楽へ身を委ねるの、気持ちよくないか?」
「そ、それは否定しないけど」
確かに最後の方は、もう理性などかなぐり捨てて法悦を貪ることに夢中になっていた。何度子種を胎に注がれたのか、求めたのかわからないくらいだ。淫猥な自分を振り払うように微笑を返す。
「子供……できてたらいいな」
「んー。確かにオレはリアを孕ませるって言ったけど。二人でいられたらそれでいい」
こちらの髪を撫でながら、エルテが額に額をくっつけてきた。アレグリアも笑みを深める。
「二人で一緒にいて、子供も授かれたら最高に幸せだ、私は」
「そっか。じゃあやっぱり毎日頑張らないとな。リアを幸せにするのはオレなんだし」
「ま、毎日するのか?」
「当然だろ? リアが綺麗で可愛いのが悪いんだ」
馬鹿、と小さく呟き、それでも胸板に頬をすり寄せた。求められていることが嬉しくて。そのまま自分の腹部に手を当てる。いつかここに、誰よりも愛しい男の子供ができることを夢見ながら。
「リア、愛してる」
「私もエルテ、君を愛してる」
笑い合い、静かに目を閉じた。額に口付けを受け、エルテの温もりを全身で感じつつ。幸せは身近にあった、そう心から感じながら。
窓から射しこむ曙光が部屋の中を照らしていく。眠る二人を優しい光が、これからの未来への祝福のように包んでいった。
【完】
どの妖精を残し、一方でフィロン側に送るか。贈り物は何がふさわしいか。それらに尽力してくれたのは意外にもビドゥーリだった。
フィロンの時とは違い、ほとんど引き継ぎをしてもらっていないアレグリアにとって、ビドゥーリが持つ知識は助け船だったと言ってもいいだろう。どうやら彼は、亡き母から様々な妖精の事情などを教えられていたらしい。
妖精郷にやってきたエルテと共に無事式典へ出席し、今は夜。アレグリアのものになったヴァンヘリオ城の部屋からは、三日月が白く輝いて見える。寝台に座り、一人で空を眺めていたときだった。
「リア、入るぞ」
手に杯を持ったエルテが部屋に来た。振り返り、立ち上がろうとする自分をエルテがとどめる。
「疲れたんじゃないのか? これ、蜂蜜酒な」
「ありがとう。エルテの分は?」
「オレはもう葡萄酒を飲んできた。まーだ葡萄酒飲めないんだもんな、リアは」
「別にいいじゃないか。困るわけでもないし」
座ったまま、渡された酒を一気に煽った。それを見てだろうか、なぜかエルテがにやにやとしている。不思議に思いながらも寝台の横の机に杯を置いた。
「姉様、綺麗だったなあ。エルテもそう思わないか?」
「まあ綺麗だったけど。リアの方が可愛くて綺麗だから」
「ば……馬鹿っ」
思わず顔が赤くなる。エルテは妖精郷に来てから、とりわけ愛の言葉をささやくようになった。薄い寝間着を着ているというのに体が熱くなってしまう。手で顔を扇ぐ自分の横に、エルテが腰かけた。
優しく頬を撫でられて、思わずぞくりとした。体中が敏感になり、妖しい手つきで耳や首元をなぞるエルテの指から悦楽を感じる。
「リア……オレ、そろそろ限界」
「げ、限界って……あ」
肩を掴まれ、寝台にゆっくりと押し倒された。抵抗はできなかった。
確かにエルテとは長い間、交わっていない。思いを重ねたときからも様々な準備などに追われ、口付けを交わすだけが精一杯だったのだから。
「今日はずっと抱くから。リアが気絶しても」
「……うん」
微笑んで、のしかかってくるエルテを迎え入れる。
唇が触れ合った、と同時にエルテの舌が口腔内を犯してくる。舌同士を絡ませるたび、くちゅり、ちゅく、といやらしい水音が響いた。それだけで気持ちが昂ぶる。全身が火照る。
「はぁ、ん……」
舌が離れ、今度は鎖骨、胸の谷間をくまなく舐められた。所有の証しのように肌を吸われて痣をつけられる。少しの痛みすら心地いい。自然と膝が立つ。大切な部分を開け広げるような格好をとってしまうが、今はエルテがもたらす快楽がほしくてたまらなかった。
裾を捲られ、一気に胸までをエルテに晒すも、恥ずかしさより期待の方が大きい。
「乳首、立ってる」
「やだ……言わないで……」
「指で擦ってほしい? それとも舐める? ……両方か、やっぱ」
「んあっ……!」
片方の乳頭を食まれ、もう片方の尖りを指の腹でこねくり回された。体が勝手に跳ねる。舌で嬲られると共に指で強く摘ままれ、甘い痺れが思考を奪い去っていくのがわかった。
「胸……ばっかり……っ。舐めないでっ……」
「全部弱いからな、リアは。下ももう、たっぷり濡れてるんじゃないか?」
エルテが意地悪く笑う。事実そのとおりだった。胎の奥から溢れた蜜は下着と媚肉を張りつかせ、触れられることを待ちわびている。
エルテは寝間着を脱ぎ捨てた。たくましい腕が、アレグリアの服を剥ぎ取ってしまう。残るは股間を隠す下着だけだが、愛液に塗れた布はその役割を果たしていない。
「甘い匂いがする……こんなに濡らして、いやらしいな。いやらしくて、可愛い」
「ひあんっ!」
いきなり秘部にしゃぶりつかれ、花芯を吸われた勢いで嬌声が上がる。下着の端を強引に横にずらされた。露わになった秘部を掻き回すように、舌と指で蹂躙される。
「んっ、ふあっ! やっ、あんっ。触っちゃ、やぁ……!」
甘い懇願に、エルテはそれでも止まらない。ピンと立った秘芽を鼻先で擦りながら、溢れ出る愛蜜を啜るように隘路を貪る。二つから来る淫悦は確かにアレグリアを責め立てた。
「イ、くっ。私、イッちゃうからぁっ! だめ、あ、ああっ。ひぁあああっ!」
花芽を吸われた瞬間、全身を痙攣させて法悦に達する。こぷりと愛液が奥から溢れた。
「リア、リア……甘い、リアの蜜、こんなに……」
「も、だめっ。吸っちゃ、やぁ! イッたの、だからエル……ひっ」
陶酔したようにエルテの口淫は続く。今度は濡れそぼった秘路に指を入れてきた。雌芯をぐちゃぐちゃに舐めながら。達したばかりのアレグリアには、その刺激は強すぎた。
「ふあ、んあっ……いや、あ、だめぇ、だめ……!」
何度も舌と指で責められ、奥を弄られては達する。全身汗だくになりつつ、シーツを掴んでいた手はいつしか移動し、エルテの髪を震えながら握っていた。
絶頂に達し、体中が熱いのに物足りない。もっと、もっとと浅ましい自分が顔を出す。
――エルテが、ほしい。
幾度かの絶頂に気が遠くなる中、それでも強く思う。
「エル、テ……お願い……来て」
「リア……?」
「エルテがほしい、の。エルテので、もっと奥……突いて……」
顔を上げたエルテにこいねがう。淫らな願いに、それでもエルテは微笑んでくれた。愛液に塗れた唇を舐める姿は、どこかとても淫靡に見える。
紐で括っていた下着を取り外された。外気に晒された陰部はすっかり濡れきり、エルテを迎える準備ができている。
「そんな可愛いこと言われちゃ、応えないわけにはいかないもんな」
舌舐めずりするエルテの股間、そこにある男根はすでに反り返り、先走りの液で亀頭が濡れている。よく見るのはこれがはじめてだ。あんな大きいものが入るのか少し恐怖があったが、よがり狂った記憶が脳裏を掠め、胸がときめく。
「あ、っ」
広げた両膝を掴まれ、下腹部に押しつけられた。淫筒の奥まで丸見えになっているだろう状態に、羞恥で頬が赤くなる。
「入れるぞ、リア」
「う、うん……」
膝を掴みながら、ゆっくりとエルテが腰を落としてくる。
隘路を割り、先が淫肉の中に入ってきた、と感じた刹那、一気に剛直を突き入れられた。
「あぁぁあっ!」
痛みはない。背筋に走ったのは凄まじいまでの快楽だ。思わず背筋がのけ反る。
「うわ……リアの、凄く締まる……」
苦しげに囁いたエルテが、抽送を開始した。肉竿はアレグリアの蜜を吸い、最大に勃起している。自分の肉襞が精を搾り取ろうと、きゅうきゅうに陽根を締めつけているのがわかった。
「あっ、ふぁ、奥、奥いい、そこっ……もっと突いてっ、エルテ!」
腰に脚を絡め、エルテの背へ手を回す。ぢゅぷっ、ぢゅぷっと一突きされるたび、蜜壺の善いところを掠められ、意識が飛びそうだ。朦朧とする中、エルテが再び唇を重ねてくる。快楽に翻弄されながらもそれに応え、舌を絡めて吸い合う。
「ん、んん、っ。ひあ、あんっ!」
「気持ち、いいか? リア」
「いい、の……凄く……エルテの、気持ちいいよぉ……!」
「オレも凄く、いい。絡みついてくる……」
胸の突起を指で嬲られ、耳を舐められた。それだけでまた、軽く達する。全身が性感帯になったようだ。恥ずかしさも遠慮も、今は何もいらない。体中でエルテを感じ、悦楽の波に溺れていたかった。
「ひあぁ、ふあ、そこぉ……! 弱い、のっ。ぐりぐり、しないで……!」
ぬちゃり、ぐちゅん、と結合部から淫らな水音が響く。肌がぶつかる打擲音も。自分の甘い悲鳴と淫猥な音、そしてエルテの荒い息遣いが興奮に拍車をかける。
「イ、く……私、また、イッちゃう……おっきいのが、来る……っ」
「いいよ、リア。一緒にイこう。何度でも子種、注ぐから。オレの子供を産んで?」
「エルテの赤ちゃん、ほしい……。出して、いっぱい、中に……ぃっ」
抽送が一層激しくなる。エルテの息が荒く聞こえる。快楽で視界がちかちかとした。体を揺さぶられ、より深いところを抉られた瞬間、法悦の稲妻が全身を打つ。
「あ、あああああ――っ!」
「くぅっ……」
体を跳ねさせたと同時に、熱い濁流が胎内に流れ、子宮を叩いた。びゅくびゅくと流れる体液の勢いは凄まじく、それだけでまた、軽く絶頂する。
「エル、テ……好き……大好き」
エルテに抱かれたのはこれが二度目の夜だが、思いを通じ合わせた後でと比べたら、悦楽の差がより激しいことに気付く。歓喜と幸福、法悦が混じり合って心を満たしていた。
エルテの赤い瞳が、未だ物足りないというように自分を射貫いている。その瞳に自分が映っていることが嬉しかった。誰でもない、自分という女が。
「リア。もっとしたい。絶対に今日、孕ませるから」
「え、あんっ……!」
繋がったまま上体を起こされ、今度は下から突き上げられた。精液と愛液、二つが潤滑油となって抜き差しをより滑らかにする。
「あ、あ、ああ! だめ、これだめっ。またイくの、私、もうダメっ!」
「何度でもイっていいぞ、リア。オレもまた出す」
じゅぷん、ぐちゅんといやらしすぎる音が耳を叩く。何度も貫かれ、達するたびに力が抜け、エルテの胸板に倒れた。それでも抽送はやまず、より深く肉槍が奥を抉り、子宮口近い部分を擦る。
「やあ、あ、ひああ、っ! 来る、イくのぉ……っ!」
逞しい胸板に乳房を擦りつけた瞬間、絶頂の渦に叩きこまれた。二度目なのに未だ熱く、勢いのある精液が胎内で暴れる。
エルテの胸に倒れたまま、おかしい、と快楽の片隅で思った。疲れているはずなのに、こんな激しい性交ができるだなんて。それともやはり自分は淫乱なのだろうか。
内心を読み取ったように、エルテが髪の毛にキスを落としてくる。
「綺麗だ、リア。可愛くてやらしくて。……やっぱビドゥーリの血、凄いな」
「……今なんて言った?」
「いやいや気にするなって。それよりもっとしよう」
「あのな、君はっ」
顔を上げた刹那、キスで唇を塞がれる。胸を揉まれ、乳暈ごと乳首をこね回されればまた、淫悦が全身を支配した。
――結局その夜、後ろから、立ちながらと体位を変えて体を貪られた。それこそ気絶しても起こされ、二人で寝台に横たわったのは朝方近くのことだった。
もう、体中が気怠くて動かせない。二人の体液でシーツは汚れ、絨毯のあちこちにも染みができている。
「ネスが見たら絶対呆れるだろうな……」
「別にいいだろ。そういう仲なんだから、オレたち」
「それはそうかもしれないけど。……エルテ、ビドゥーリの血を使うのは金輪際、禁止だ」
「あんなにやらしくて可愛いのに!?」
「エルテ?」
「……わかったよ。ならネスに頼むか……」
「そういう問題じゃないっ」
自分の横になっているエルテの頬を軽く叩く。その手を握られ、体を引き寄せられた。エルテが小さく笑う。
「オレの妖精王は頑固だな。でも、素直に快楽へ身を委ねるの、気持ちよくないか?」
「そ、それは否定しないけど」
確かに最後の方は、もう理性などかなぐり捨てて法悦を貪ることに夢中になっていた。何度子種を胎に注がれたのか、求めたのかわからないくらいだ。淫猥な自分を振り払うように微笑を返す。
「子供……できてたらいいな」
「んー。確かにオレはリアを孕ませるって言ったけど。二人でいられたらそれでいい」
こちらの髪を撫でながら、エルテが額に額をくっつけてきた。アレグリアも笑みを深める。
「二人で一緒にいて、子供も授かれたら最高に幸せだ、私は」
「そっか。じゃあやっぱり毎日頑張らないとな。リアを幸せにするのはオレなんだし」
「ま、毎日するのか?」
「当然だろ? リアが綺麗で可愛いのが悪いんだ」
馬鹿、と小さく呟き、それでも胸板に頬をすり寄せた。求められていることが嬉しくて。そのまま自分の腹部に手を当てる。いつかここに、誰よりも愛しい男の子供ができることを夢見ながら。
「リア、愛してる」
「私もエルテ、君を愛してる」
笑い合い、静かに目を閉じた。額に口付けを受け、エルテの温もりを全身で感じつつ。幸せは身近にあった、そう心から感じながら。
窓から射しこむ曙光が部屋の中を照らしていく。眠る二人を優しい光が、これからの未来への祝福のように包んでいった。
【完】
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自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
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