【R18】妖精姫の蜜は苦くて、甘い【完結】

双真満月

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序幕

悪夢の夜※

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 寝台が激しく軋む。その度に、熱い屹立が自身の中で蠢き、未知の感覚をアレグリアにもたらしてくるものだから、恐怖と混乱で閉じた瞳から涙がこぼれた。

 ――どうして、エルテ。ソルタオ様も、姉様も……どうして……。

 荒い息遣いが耳を打つ。ドレスからはだけた片胸を揉まれ、同時に乳頭を強く吸われて声が漏れた。苦しさと悦楽で。自分の声音はいつもとは違い甲高く、鼻にかかっている。

 ――違う……こんなの、私の声じゃあない……。

「アレグリア……オレを、オレを……見ろ」

 苦しげな、それでいて明らかに興奮した声で請われ、瞼をうっすらと開けた。

 自分を抱くエルテの赤い瞳があった。獅子にも似た、野性味を感じさせる精悍な顔つき。たくましい胸板や腕は少し、日焼けしている。見慣れているはずのその肌が、顔が、今や別人のように思え、確かに感じはじめた淫楽の中、小さく頭を振る。

 ぐ、と腰をより深く突き入れられた瞬間、思わず甘い悲鳴が唇から飛び出した。

「やあ……っ」
「リア……リア。オレの、リア……甘い、全部、甘い……」
「ひうっ」

 赤い瞳に灯るのは情欲だ。汗ばんだ体をくまなく舐められ、ぬるりとした感触が全身を火照らせる。首筋から胸、唇まで舌で犯されて、頭が真っ白になっていく。

 深く繋がった箇所からは、肉がぶつかり合う打擲ちょうちゃく音と水音が響き、それすら夢の中のものに聞こえた。だが、淫筒の中を怒張が擦り上げていくつど、背筋が淫悦に震え、現実へ引き戻される。

 自分の上にのしかかったまま、苦悶と淫楽で顔を歪める相手の顔が、遠い。

 ――君は、苦しいんだな。

 残った理性の中、理解した。揺れ動く彼の背中へ、おずおずと腕を回して抱きしめる。すると、一瞬だけ奥を穿つ腰の動きが止まった。だがそれは刹那のことで、より膨らんだ雄茎が今まで届かなかった最奥近くを突いてくる。

「ん、んんっ、あ、んっ」

 たまらず嬌声を上げた。感じる。凄まじい官能が身も心も蕩けさせ、思考が吹き飛んだ。吐息の混じった声に呼応するかのように、弱点を見つけたことを悦ぶかのように、抽送が過激なものになる。

「リア……っ、オレ、もうっ……」
「ふ、あん……っ。だめ、だめ、ぇっ……」
「くぅ……っ!」
「あ、ああ――っ!」

 熱い飛沫が胎内で爆ぜた瞬間、ふるりと胸を揺らしてはじめての法悦に叫んだ。

 全身が熱い。秘路をわなめかせ、四肢を投げ出したまま余韻に浸るアレグリアに、しかし。

「リア、足りない……もっと、もっとしたい……!」

 萎えることを知らない肉槍が、愛蜜と精液にまみれた肉襞を再び擦り上げる。

「だめ……やめ、て……ぇ」

 制止の言葉はすぐに甘い悲鳴へと変わった。

 近くにある窓からは、月のない星だけの夜空が見える。それも少しの間だけだ。何度も、何度も、絶頂という名の地獄に叩き落とされたアレグリアの瞳から、星空が消えていく。

 胸が痛い。でも、気持ちがいい。

 相反する感覚に翻弄され、アレグリアはもう一度だけ、涙を零した。
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