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第二幕 あなたのせい
2-5.少しだけ甘えさせて※
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医者が来て、ニワトコを中心とした高価な軟膏と打撲に効く内服薬を置いていった。骨折はしておらず、数日経てば完治するだろうとのことで、トゥトゥナたちは安堵した。背を冷やしたことも功を奏したようだ。イスクには握手されつつ、感謝の意を述べられた。
スネーツは捕らえられ牢に送られたようだが、その中で頭を打ちつけ発狂死したらしい。
「最初は僕を狙っていたみたいだね、スネーツは。誰にたぶらかされたのやら」
今は、夜中。心配になってシュテインの部屋に訪れたトゥトゥナは、薬で大分回復したらしき彼の言葉にも、まともに返事もできなかった。
シュテインの胸板を舌と口でまさぐりながら、肉茎を手でしごいている最中なのだから。
「だめ、なんですよ……安静に、っ……して、ないと……」
「もうかなりよくなった。それに君を抱くことの方が大事だよ、トゥトゥナ」
「私を抱くのはだめです……だからこうして……」
「奉仕してくれているわけだ。いい子だ……手つきも随分こなれてきたね」
本来ならば休ませたい。けれどシュテインの『命令』は絶対だ。カートルを着たまま、艶めかしい笑みを浮かべた彼の体を唇で愛撫していく。
手で肉竿を擦り続けても、いつものような怒張にならない。それでも先走りの液体を亀頭になすり付け、必死で撫でる。
「服を脱ぎなさい、トゥトゥナ」
「で、でも」
「脱ぎなさい、と言ったのが聞こえなかったのかい」
シュテインの言葉にたじろぎ、しかし諦めた。閨では彼が主導権を握っている。
トゥトゥナは一度、ベッドから降りて背を向け、カートルと下着を床に落とした。裸体を隠そうとする手を掴まれ、そのままベッドへと倒される。シュテインに尻を向ける格好で、目の前には萎びた雄茎があった。
――早く……満足してもらわなくては……。
両手で肉槍を持ち、ためらいながらも口に含もうとした刹那。
「大切な部分が膨らんでいるよ」
「あんっ……!」
シュテインの右手が尻を撫で、唐突に肉芽を擦ったものだから、びくりと体が震えた。
「ふふ、濡れているね。いやらしい子だ。僕のに触れているうちに感じてしまったのかな」
「あ、あ、だめ……っ。触ら、ないで……」
秘路を見せていることが恥ずかしく、それでも欲を発散させようとトゥトゥナは肉楔を口に含んだ。形容しがたい味に耐え、舌と頬肉を使って肉棒を舐め上げる。口でするのはこれがはじめてではないが、未だ慣れない。
「んっ、んん、んぅ……」
頭を上下させて全体を頬張る。拙い口淫を、それでもシュテインは気に入ったようだ。見る見るうちに膨らんだ怒張は唇からはみ出て、すっかり反り返っている。トゥトゥナは素早く射精させようと、再び手で雄茎に触れるのだが。
「君ももう、入れられる準備はできているね。上に乗って」
「上……? そんな、の……」
「下から突き上げてあげるから、自分で入れてごらん」
シュテインの優しい『命令』に戸惑う。自ら上乗りになったことはない。体位を変えてそうなったことは幾度かあるが。
「早くしないとまた最初からだよ。それとももっと舐めていたいのかな」
「そんなこと……あ、ああっ……」
行為も、トゥトゥナの困惑すらも楽しんでいるように笑うシュテインの手は止まらない。雌芯をくすぐられるたびに、トゥトゥナは自分の奥から愛蜜が溢れてくるのがわかる。隘路は濡れに濡れ、男を欲しがって疼いていた。
淫らな自分の一面に顔から火が出そうだ。しかし体は裏腹で、剛直で貫かれたくてたまらない。快楽を、絶頂を求めてやまない気持ちが、緩慢に体を動かした。
シュテインの上にそっとまたがる。大きく、張り詰めた肉竿を手で持ち、静かに蜜路へあてがった。
「ん……う、んあ……っ」
秘路を割り、雄茎が入ってくる感覚は堪えがたい。全身に稲妻が走るようだ。竿の奥底までなんとか入れることができた。
その瞬間、シュテインが腰を激しく動かす。一度に最奥までを穿たれて、トゥトゥナは胸を揺らしてのけ反った。
「ひっ! あ、いやっ、あ!」
「やはり君の中はいいね。すっかり僕の形を覚えたようだ」
「んっ……そこ、だめっ、ひぃっ……!」
奥の感じる部分に亀頭が当たる。媚壁を遠慮なく抉られ、ただ悲鳴を上げることしかできない。剛直に突かれるたび、恐ろしいまでの快感が全身を駆け巡る。
「あん、あ、ひあ……っ! んん、んぅ!」
「いい声だ。いきなさい、好きなだけ。また中に注いであげよう」
「だめ……わた、し……も、うっ!」
シュテインの引き締まった腹に両手を突き、喘ぎ、悶える。視界が光る。息は苦しいのにもたらされる淫悦は気持ちよく、何も考えられない。肉がぶつかる打擲音、ぬちゃぬちゃとした淫らな水音、甘い嬌声が耳に滑りこみ、興奮を呼び起こす。
――だめ、なのに。体に悪い……のに……。
頭を掠めるのはシュテインの傷のことだ。しかしそれも、子宮口近くを突かれて消える。先程から絶頂に達しているというのに、それでもより深い法悦に導くようにシュテインの揺さぶりは止まらない。
「わ……私っ……い、くぅ……っ」
「ああ……トゥトゥナ……いいよ、僕も……」
より高みへ登りつめた瞬間、シュテインが身を起こす。腰を突き上げられた直後、びゅくびゅくと熱い奔流がトゥトゥナの子宮を叩いた。
「ふあぁあっ……!」
「く、ぅ……」
片手で抱きしめられながら、トゥトゥナは全身を震わせた。体のあちこちから汗が噴き出る。涙とそれを拭うように、シュテインが目尻近くの泣きぼくろを舌で舐めてくる。敏感になったトゥトゥナはそれにすら反応し、無意識に蜜口を収斂させた。
「っ……君はまだ物足りないようだね。僕も出し切っていないから、続きをしようか」
「だめ……体、熱くしちゃ……」
「あとでまた冷やしてくれるのだろう? 僕を咥えたままでよく言う」
「あっ」
体を離したシュテインに押し倒された。ベッドが軋みを上げる。乱暴に足を広げられた。
「ああ……愛液と子種が溢れている。いやらしくていい眺めだよ、トゥトゥナ」
「み、見ないで……」
「早く入れて欲しいからだね。いいよ、何回でもしよう」
「ん、ぅっ」
再びのしかかられ、肉棒を一気に突き入れられた。愛液、そして精液に塗れた媚道はたやすくシュテインの分身を受け入れる。
そのまま乳首を強く捏ねくり回され、痛みとは別にぴりぴりとした快感が来る。
「はぁ……ん」
「痛みも気持ちいいみたいだね。凄くいい顔だ。綺麗だよ」
「や、あ……っ」
突起を強く吸われ、舌で転がされた。そのまま抽送がはじまる。最初はじっくり、入口近くを擦るようにして。熱い吐息がトゥトゥナの唇から漏れる。
――奥……もっと、奥に……欲しい……。
惚ける意識で願えば、わかってる、とばかりにシュテインが笑む。
「もっと啼いて、トゥトゥナ」
「んああああっ!」
一度に奥へと侵入され、また指では届かない部分を擦られた。気持ちいい。気持ちがよくて壊れてしまいそうだ。頭を左右に振り、ただただシュテインの背中に手を回す。
「う、んあ、ああ……っ。だめ、ぇ……」
「自分の中がうごめいているのがわかるだろう。とてもいいよ」
「あっ、あっ、んあ、ひぃ……っ」
体を揺さぶられ、何度も達する。熱い飛沫が幾度となく、トゥトゥナの子宮を容赦なく汚した。法悦に繰り返し悶え、甘い叫びを上げて絶頂へと登りつめる。
シュテインもまた蠕動し、収斂しっぱなしの媚肉に吐息を漏らした。前からだけでもなく後ろから、白い肌と隘路を味わうように自身を突き入れては射精する。
トゥトゥナは溺れた。シュテインがもたらす肉欲の嵐に。何も考えられないほど。
気絶するまで、トゥトゥナが気を失い眠るまで淫蕩の宴は、続いた。
トゥトゥナが次にベッドの上で目覚めたのは、稀なことだった。いつもならシュテインに起こされるか眠気を堪え、自分で部屋をあとにする。だがその日は多分、彼の傷のことが気になってだろう。自然と目を覚ましていた。
「トゥトゥナ……」
背を向けた横にシュテインがいる。声は甘く、穏やかに聞こえる。いつもと同じ、いや、どこか悲しげな声音にトゥトゥナは目を閉じ、眠っているふりをした。
動かないと悟ったのか、シュテインが髪を優しく手で梳いてきた。団子状に結ったものを解き、そのまま髪に口づけを落としてくる。
――リシュ卿……?
寝ている間、こんなことをされているとは思いもしなかった。寂しげな声音もはじめて聞く。シュテインの腕は強くきつく、トゥトゥナを抱きしめたままだ。
まごつきつつも、トゥトゥナは寝たふりを続ける。内心、混乱したままで。
「君は生きている……今ここで、僕に抱かれながら」
小さな独白は辛さを帯びていた。弱音にも似た声が、眠らせることを許しはしない。
「どうして夢の中で、君はいつも死ぬのだろう。火に炙られて、首を撥ねられて」
思わずどきりとした。シュテインの言葉はトゥトゥナの恐怖、そして記憶を呼び起こす。魔女として死ぬ苦しい輪廻の中――それを彼は知っているのだろうか。
――どうして……リシュ卿がそれを……。
「いつも諦めながら、どこか悲しげなまま、君は死ぬ。夢だとわかってはいるんだ。ただの悪夢だということは……それでも僕は、何もできずにそれを見ているだけ」
――まさか、彼も繰り返しの中にいるのでは……?
困惑しきったトゥトゥナの頭頂にキスをし、シュテインは続ける。
「僕がいるうちは、君を死なせはしない。魔女とも呼ばせない。誰にも渡さないよ。君が例え今でも夫を思っていたとしても」
トゥトゥナの胸が疼いた。違う、となぜか言いたかった。アロウスとは同士だ。傷や立場を慰め合うだけの似たもの同士。夫婦というのも仮初めだったのだから。
多分、いや、絶対にアロウスはダリエを思っていたはずだ。今ならわかる。だが、自分……トゥトゥナのことを考えて、そんな思いを殺してくれていたのだろう。体を交えなかったのは彼の、ダリエの気持ちに対する矜恃だったのかもしれない。
「君の心がなくてもいい。ただ、生きてさえくれれば……それで僕は、いいんだ」
熱い抱擁と悲しみに満ちた声音が、トゥトゥナの涙腺を刺激する。泣くわけにはいかず、目をまたぎゅっと閉じて潤ませるだけにとどめた。
シュテインからはじめて聞く甘く、ほろ苦い言葉。自分を求めた理由は、夢の中に出てくるというそれだけのことなのだろうか。
彼は本音を言わない。決して。問い詰めても答えをはぐらかす。だが、今語られたことは嘘だとは思えない。嘘だと思いたくない自分がいて、心が揺れた。
どうしていいのかわからず、胸の痛みにトゥトゥナは身を丸めた。そして振り返り、シュテインの胸板へと顔を埋める。んん、と軽く呻いて。
シュテインが強張った。少しの間、静寂が回りを支配する。
シュテインの体は暖かい。温もりがどこかトゥトゥナの心を慰めてくれるように感じた。
――甘えるだけ……少し、甘えるだけだから。
裸体の胸に手を添えて、一人自分に言い聞かせた。シュテインが背中に手を回し、自分を引き寄せてくれる。されるがまま、確かに聞こえる鼓動に耳を澄ませた。
「お休み、トゥトゥナ」
髪を撫でながらささやいてくれるシュテインに、トゥトゥナは答えない。
代わりに小さく、一度だけシュテイン、と呟いた。その響きが甘く、柔らかく感じるのはなぜだろう。決して意識して呼ばなかった名前を呟いた瞬間、張り詰めていた自分の緊張がほどけていくように感じた。
力強く抱きしめられていくうちに、トゥトゥナはまた、眠りへといざなわれる。
何も考えなかった。少なくとも、抱擁されている間は。
スネーツは捕らえられ牢に送られたようだが、その中で頭を打ちつけ発狂死したらしい。
「最初は僕を狙っていたみたいだね、スネーツは。誰にたぶらかされたのやら」
今は、夜中。心配になってシュテインの部屋に訪れたトゥトゥナは、薬で大分回復したらしき彼の言葉にも、まともに返事もできなかった。
シュテインの胸板を舌と口でまさぐりながら、肉茎を手でしごいている最中なのだから。
「だめ、なんですよ……安静に、っ……して、ないと……」
「もうかなりよくなった。それに君を抱くことの方が大事だよ、トゥトゥナ」
「私を抱くのはだめです……だからこうして……」
「奉仕してくれているわけだ。いい子だ……手つきも随分こなれてきたね」
本来ならば休ませたい。けれどシュテインの『命令』は絶対だ。カートルを着たまま、艶めかしい笑みを浮かべた彼の体を唇で愛撫していく。
手で肉竿を擦り続けても、いつものような怒張にならない。それでも先走りの液体を亀頭になすり付け、必死で撫でる。
「服を脱ぎなさい、トゥトゥナ」
「で、でも」
「脱ぎなさい、と言ったのが聞こえなかったのかい」
シュテインの言葉にたじろぎ、しかし諦めた。閨では彼が主導権を握っている。
トゥトゥナは一度、ベッドから降りて背を向け、カートルと下着を床に落とした。裸体を隠そうとする手を掴まれ、そのままベッドへと倒される。シュテインに尻を向ける格好で、目の前には萎びた雄茎があった。
――早く……満足してもらわなくては……。
両手で肉槍を持ち、ためらいながらも口に含もうとした刹那。
「大切な部分が膨らんでいるよ」
「あんっ……!」
シュテインの右手が尻を撫で、唐突に肉芽を擦ったものだから、びくりと体が震えた。
「ふふ、濡れているね。いやらしい子だ。僕のに触れているうちに感じてしまったのかな」
「あ、あ、だめ……っ。触ら、ないで……」
秘路を見せていることが恥ずかしく、それでも欲を発散させようとトゥトゥナは肉楔を口に含んだ。形容しがたい味に耐え、舌と頬肉を使って肉棒を舐め上げる。口でするのはこれがはじめてではないが、未だ慣れない。
「んっ、んん、んぅ……」
頭を上下させて全体を頬張る。拙い口淫を、それでもシュテインは気に入ったようだ。見る見るうちに膨らんだ怒張は唇からはみ出て、すっかり反り返っている。トゥトゥナは素早く射精させようと、再び手で雄茎に触れるのだが。
「君ももう、入れられる準備はできているね。上に乗って」
「上……? そんな、の……」
「下から突き上げてあげるから、自分で入れてごらん」
シュテインの優しい『命令』に戸惑う。自ら上乗りになったことはない。体位を変えてそうなったことは幾度かあるが。
「早くしないとまた最初からだよ。それとももっと舐めていたいのかな」
「そんなこと……あ、ああっ……」
行為も、トゥトゥナの困惑すらも楽しんでいるように笑うシュテインの手は止まらない。雌芯をくすぐられるたびに、トゥトゥナは自分の奥から愛蜜が溢れてくるのがわかる。隘路は濡れに濡れ、男を欲しがって疼いていた。
淫らな自分の一面に顔から火が出そうだ。しかし体は裏腹で、剛直で貫かれたくてたまらない。快楽を、絶頂を求めてやまない気持ちが、緩慢に体を動かした。
シュテインの上にそっとまたがる。大きく、張り詰めた肉竿を手で持ち、静かに蜜路へあてがった。
「ん……う、んあ……っ」
秘路を割り、雄茎が入ってくる感覚は堪えがたい。全身に稲妻が走るようだ。竿の奥底までなんとか入れることができた。
その瞬間、シュテインが腰を激しく動かす。一度に最奥までを穿たれて、トゥトゥナは胸を揺らしてのけ反った。
「ひっ! あ、いやっ、あ!」
「やはり君の中はいいね。すっかり僕の形を覚えたようだ」
「んっ……そこ、だめっ、ひぃっ……!」
奥の感じる部分に亀頭が当たる。媚壁を遠慮なく抉られ、ただ悲鳴を上げることしかできない。剛直に突かれるたび、恐ろしいまでの快感が全身を駆け巡る。
「あん、あ、ひあ……っ! んん、んぅ!」
「いい声だ。いきなさい、好きなだけ。また中に注いであげよう」
「だめ……わた、し……も、うっ!」
シュテインの引き締まった腹に両手を突き、喘ぎ、悶える。視界が光る。息は苦しいのにもたらされる淫悦は気持ちよく、何も考えられない。肉がぶつかる打擲音、ぬちゃぬちゃとした淫らな水音、甘い嬌声が耳に滑りこみ、興奮を呼び起こす。
――だめ、なのに。体に悪い……のに……。
頭を掠めるのはシュテインの傷のことだ。しかしそれも、子宮口近くを突かれて消える。先程から絶頂に達しているというのに、それでもより深い法悦に導くようにシュテインの揺さぶりは止まらない。
「わ……私っ……い、くぅ……っ」
「ああ……トゥトゥナ……いいよ、僕も……」
より高みへ登りつめた瞬間、シュテインが身を起こす。腰を突き上げられた直後、びゅくびゅくと熱い奔流がトゥトゥナの子宮を叩いた。
「ふあぁあっ……!」
「く、ぅ……」
片手で抱きしめられながら、トゥトゥナは全身を震わせた。体のあちこちから汗が噴き出る。涙とそれを拭うように、シュテインが目尻近くの泣きぼくろを舌で舐めてくる。敏感になったトゥトゥナはそれにすら反応し、無意識に蜜口を収斂させた。
「っ……君はまだ物足りないようだね。僕も出し切っていないから、続きをしようか」
「だめ……体、熱くしちゃ……」
「あとでまた冷やしてくれるのだろう? 僕を咥えたままでよく言う」
「あっ」
体を離したシュテインに押し倒された。ベッドが軋みを上げる。乱暴に足を広げられた。
「ああ……愛液と子種が溢れている。いやらしくていい眺めだよ、トゥトゥナ」
「み、見ないで……」
「早く入れて欲しいからだね。いいよ、何回でもしよう」
「ん、ぅっ」
再びのしかかられ、肉棒を一気に突き入れられた。愛液、そして精液に塗れた媚道はたやすくシュテインの分身を受け入れる。
そのまま乳首を強く捏ねくり回され、痛みとは別にぴりぴりとした快感が来る。
「はぁ……ん」
「痛みも気持ちいいみたいだね。凄くいい顔だ。綺麗だよ」
「や、あ……っ」
突起を強く吸われ、舌で転がされた。そのまま抽送がはじまる。最初はじっくり、入口近くを擦るようにして。熱い吐息がトゥトゥナの唇から漏れる。
――奥……もっと、奥に……欲しい……。
惚ける意識で願えば、わかってる、とばかりにシュテインが笑む。
「もっと啼いて、トゥトゥナ」
「んああああっ!」
一度に奥へと侵入され、また指では届かない部分を擦られた。気持ちいい。気持ちがよくて壊れてしまいそうだ。頭を左右に振り、ただただシュテインの背中に手を回す。
「う、んあ、ああ……っ。だめ、ぇ……」
「自分の中がうごめいているのがわかるだろう。とてもいいよ」
「あっ、あっ、んあ、ひぃ……っ」
体を揺さぶられ、何度も達する。熱い飛沫が幾度となく、トゥトゥナの子宮を容赦なく汚した。法悦に繰り返し悶え、甘い叫びを上げて絶頂へと登りつめる。
シュテインもまた蠕動し、収斂しっぱなしの媚肉に吐息を漏らした。前からだけでもなく後ろから、白い肌と隘路を味わうように自身を突き入れては射精する。
トゥトゥナは溺れた。シュテインがもたらす肉欲の嵐に。何も考えられないほど。
気絶するまで、トゥトゥナが気を失い眠るまで淫蕩の宴は、続いた。
トゥトゥナが次にベッドの上で目覚めたのは、稀なことだった。いつもならシュテインに起こされるか眠気を堪え、自分で部屋をあとにする。だがその日は多分、彼の傷のことが気になってだろう。自然と目を覚ましていた。
「トゥトゥナ……」
背を向けた横にシュテインがいる。声は甘く、穏やかに聞こえる。いつもと同じ、いや、どこか悲しげな声音にトゥトゥナは目を閉じ、眠っているふりをした。
動かないと悟ったのか、シュテインが髪を優しく手で梳いてきた。団子状に結ったものを解き、そのまま髪に口づけを落としてくる。
――リシュ卿……?
寝ている間、こんなことをされているとは思いもしなかった。寂しげな声音もはじめて聞く。シュテインの腕は強くきつく、トゥトゥナを抱きしめたままだ。
まごつきつつも、トゥトゥナは寝たふりを続ける。内心、混乱したままで。
「君は生きている……今ここで、僕に抱かれながら」
小さな独白は辛さを帯びていた。弱音にも似た声が、眠らせることを許しはしない。
「どうして夢の中で、君はいつも死ぬのだろう。火に炙られて、首を撥ねられて」
思わずどきりとした。シュテインの言葉はトゥトゥナの恐怖、そして記憶を呼び起こす。魔女として死ぬ苦しい輪廻の中――それを彼は知っているのだろうか。
――どうして……リシュ卿がそれを……。
「いつも諦めながら、どこか悲しげなまま、君は死ぬ。夢だとわかってはいるんだ。ただの悪夢だということは……それでも僕は、何もできずにそれを見ているだけ」
――まさか、彼も繰り返しの中にいるのでは……?
困惑しきったトゥトゥナの頭頂にキスをし、シュテインは続ける。
「僕がいるうちは、君を死なせはしない。魔女とも呼ばせない。誰にも渡さないよ。君が例え今でも夫を思っていたとしても」
トゥトゥナの胸が疼いた。違う、となぜか言いたかった。アロウスとは同士だ。傷や立場を慰め合うだけの似たもの同士。夫婦というのも仮初めだったのだから。
多分、いや、絶対にアロウスはダリエを思っていたはずだ。今ならわかる。だが、自分……トゥトゥナのことを考えて、そんな思いを殺してくれていたのだろう。体を交えなかったのは彼の、ダリエの気持ちに対する矜恃だったのかもしれない。
「君の心がなくてもいい。ただ、生きてさえくれれば……それで僕は、いいんだ」
熱い抱擁と悲しみに満ちた声音が、トゥトゥナの涙腺を刺激する。泣くわけにはいかず、目をまたぎゅっと閉じて潤ませるだけにとどめた。
シュテインからはじめて聞く甘く、ほろ苦い言葉。自分を求めた理由は、夢の中に出てくるというそれだけのことなのだろうか。
彼は本音を言わない。決して。問い詰めても答えをはぐらかす。だが、今語られたことは嘘だとは思えない。嘘だと思いたくない自分がいて、心が揺れた。
どうしていいのかわからず、胸の痛みにトゥトゥナは身を丸めた。そして振り返り、シュテインの胸板へと顔を埋める。んん、と軽く呻いて。
シュテインが強張った。少しの間、静寂が回りを支配する。
シュテインの体は暖かい。温もりがどこかトゥトゥナの心を慰めてくれるように感じた。
――甘えるだけ……少し、甘えるだけだから。
裸体の胸に手を添えて、一人自分に言い聞かせた。シュテインが背中に手を回し、自分を引き寄せてくれる。されるがまま、確かに聞こえる鼓動に耳を澄ませた。
「お休み、トゥトゥナ」
髪を撫でながらささやいてくれるシュテインに、トゥトゥナは答えない。
代わりに小さく、一度だけシュテイン、と呟いた。その響きが甘く、柔らかく感じるのはなぜだろう。決して意識して呼ばなかった名前を呟いた瞬間、張り詰めていた自分の緊張がほどけていくように感じた。
力強く抱きしめられていくうちに、トゥトゥナはまた、眠りへといざなわれる。
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