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4話 きっかけ
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帰ろう×100回を頭で考えてたちょうどその時。
「おい筍準備できたかー!?」
この少しかすれたハスキーな少し低めな声に、僕を筍と呼ぶのは佐々木さんだ。
準備の手は緩めず、少し顔をあげて会釈すると、いつの時代だよとツッコミたくたくなる出で立ちで、なんで薄暗いのにサングラスつけてんだよと叫びたくなる佐々木さんがいた。
もちろん帰ろうとしてたことを悟られてはいけない。
「今やってますけど、中々うまく繋がらなくて…」
ガチャガチャ
「佐々木さん来てくださったんですね。」
内心は来てくれて涙がこみ上げて来るくらいにホッとした。
「当たり前だろ。俺がやってみろって言ったのに、ほったらかしには出来ねーよ。それより・・・」
どれどれと言いながら、僕の横に座って機材を手際よく準備する。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇
今日、僕がここにいるのも佐々木さんとの出会いがきっかけだら。
佐々木さんはストリートシンガーとしてこの場所でずっと歌っていた人で、僕は
佐々木さんのことも知らなかったし、通りすがりでたまたま耳に入っただけだった。
でも、ちょうどその時は仕事で大失敗してヘコんでいた時ってこともあって、気づいたら立ち止まって歌を聞いていた。
佐々木さんの力強い歌声と勇気を貰える歌詞に救われる気がしたのかもしれない。
それからは頻繁に聞きに来ていたが、どうやら佐々木さんも頻繁に聞きにくる僕に気づいてて、僕も何回も行くもんだから佐々木さんの歌を聞きながら口ずさむようになっていた。
そんなある日、「お前も一曲歌わねえか?」ってマイクを渡されて一曲歌わされた。
その時の僕は頭が真っ白で何も覚えてなけど、歌い終わったときのまばらな拍手と佐々木さんが肩をバシバシ叩いて笑顔で「良かった。良かったぜ。」と言ってくれたのは覚えている。
それからは、佐々木さんとも仲良くなって、連絡先も交換して2人で飲みに行ったりするようになった。
僕は、小さい頃から歌うことが大好きで作詞や作曲したり、一人カラオケで自分の作った曲を歌っていたんだけど、恥ずかしいから今まで誰にも言ったことなかったけど佐々木さんには、素直に話せた。
佐々木さんにあの日、何で僕に歌わせたのか聞いてみると「完璧に歌詞を口ずさむほど熱心に毎回来るのに、拍手もせずに帰っちまうクソ生意気な坊主が気になったし、何より風邪で喉が痛かった」そうだ。
そんなある日、
「俺、今度結婚することになってよ。それで、ストリートライブやめて、普通の職場で、普通に働くことを決心した。それで・・・」
一息おいて
「たけのこ、お前あそこで俺の代わりに歌ってみねえか?」
と言われた。
自分なんて人前に出れる人間じゃないし、度胸もないからと最初は断っていたが、酔っていたのもあるけど、佐々木さんの熱意と迫力に押されてお試しということでなら…と言ってしまい、今に至るのである。
今になって猛烈に後悔してる。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇
佐々木さんは手をパパンとはたいて、
「これでよしっ」とものの15秒くらいで準備した。
「すみません。ありがとうございます。」
僕は頭を少し下げると、
「後でみっちり教えてやるよ。何でこんな簡単なことできねーだよ。」と、僕の髪をクシャッとした。
「それより、お試しって言ってた割にはしっかり揃えてんな。」
目元は見えないが口角が片方上がっているのでニヤッとしているのが分かる。
「おい筍準備できたかー!?」
この少しかすれたハスキーな少し低めな声に、僕を筍と呼ぶのは佐々木さんだ。
準備の手は緩めず、少し顔をあげて会釈すると、いつの時代だよとツッコミたくたくなる出で立ちで、なんで薄暗いのにサングラスつけてんだよと叫びたくなる佐々木さんがいた。
もちろん帰ろうとしてたことを悟られてはいけない。
「今やってますけど、中々うまく繋がらなくて…」
ガチャガチャ
「佐々木さん来てくださったんですね。」
内心は来てくれて涙がこみ上げて来るくらいにホッとした。
「当たり前だろ。俺がやってみろって言ったのに、ほったらかしには出来ねーよ。それより・・・」
どれどれと言いながら、僕の横に座って機材を手際よく準備する。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇
今日、僕がここにいるのも佐々木さんとの出会いがきっかけだら。
佐々木さんはストリートシンガーとしてこの場所でずっと歌っていた人で、僕は
佐々木さんのことも知らなかったし、通りすがりでたまたま耳に入っただけだった。
でも、ちょうどその時は仕事で大失敗してヘコんでいた時ってこともあって、気づいたら立ち止まって歌を聞いていた。
佐々木さんの力強い歌声と勇気を貰える歌詞に救われる気がしたのかもしれない。
それからは頻繁に聞きに来ていたが、どうやら佐々木さんも頻繁に聞きにくる僕に気づいてて、僕も何回も行くもんだから佐々木さんの歌を聞きながら口ずさむようになっていた。
そんなある日、「お前も一曲歌わねえか?」ってマイクを渡されて一曲歌わされた。
その時の僕は頭が真っ白で何も覚えてなけど、歌い終わったときのまばらな拍手と佐々木さんが肩をバシバシ叩いて笑顔で「良かった。良かったぜ。」と言ってくれたのは覚えている。
それからは、佐々木さんとも仲良くなって、連絡先も交換して2人で飲みに行ったりするようになった。
僕は、小さい頃から歌うことが大好きで作詞や作曲したり、一人カラオケで自分の作った曲を歌っていたんだけど、恥ずかしいから今まで誰にも言ったことなかったけど佐々木さんには、素直に話せた。
佐々木さんにあの日、何で僕に歌わせたのか聞いてみると「完璧に歌詞を口ずさむほど熱心に毎回来るのに、拍手もせずに帰っちまうクソ生意気な坊主が気になったし、何より風邪で喉が痛かった」そうだ。
そんなある日、
「俺、今度結婚することになってよ。それで、ストリートライブやめて、普通の職場で、普通に働くことを決心した。それで・・・」
一息おいて
「たけのこ、お前あそこで俺の代わりに歌ってみねえか?」
と言われた。
自分なんて人前に出れる人間じゃないし、度胸もないからと最初は断っていたが、酔っていたのもあるけど、佐々木さんの熱意と迫力に押されてお試しということでなら…と言ってしまい、今に至るのである。
今になって猛烈に後悔してる。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇
佐々木さんは手をパパンとはたいて、
「これでよしっ」とものの15秒くらいで準備した。
「すみません。ありがとうございます。」
僕は頭を少し下げると、
「後でみっちり教えてやるよ。何でこんな簡単なことできねーだよ。」と、僕の髪をクシャッとした。
「それより、お試しって言ってた割にはしっかり揃えてんな。」
目元は見えないが口角が片方上がっているのでニヤッとしているのが分かる。
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