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2話 内気な2人の昼ごはん
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フリールームには、やっぱり#__・__#というべきか誰も居なかった。
「ここはいつも空いてるね?誰も居ないし1番奥の席行く?」
こういう時、僕の性格的に隅と角が1番落ち着く。高島さんもきっと隅の方が落ち着くと思う。
「うん。私も奥の方が落ち着くしそっちの方がいい。」
やっぱり。
僕は6本100円のスティックパンと、ブラックの缶コーヒー、高島さんは卵とハムのサンドイッチと紫色のスムージーを机に広げた。
「………」
こうなることは分かってたけど、2人とも座ってから一言も喋ってない。
菓子パンの袋の擦れる音と、モグモグと食べる音だけが虚しく響く。
「あ、春樹くんメガネ変えた?」
なにか話しかけなきゃと考えてたら高島さんが話題を振ってくれて助かった。
「うん。前の眼鏡、駅で落として割っちゃったから変えたんだ。変かな…?」
女の子に自分の見た目のことを聞くのは少し恥ずかしい。
「うんうん。凄くいいと思う!似合ってるよ!」
「あ…ありがとう。」
褒められ慣れてないから、突然褒められたりすると恥ずかしくて仕方なくなる。
僕の顔は今、にやけを必至に堪えて変な顔になってると、断言できる。
チラッと高島さんを見るとこっちを見てニコッとしていた。
目が合ったのが恥ずかしくて、目線を少し下に落とした。
5秒くらい経って、気づいてしまった。
僕は今高島さんの胸あたりをマジマジと見つめていた。
ハッとして、高島さんを見ると顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。
はぁ。
絶対に胸を見てると思われたよね…
絶対に胸を見てると…
絶対に…
「そう言えば今日は何でご飯誘ってくれたの?」
胸を見ていたことが恥ずかしくてとっさに高島さんに話しかける。
「春樹くん最近中で食べてるみたいだったし、それに…」
高島さんが普通に答えてくれてホッとした。
「それに?」
「は…春樹くんとお喋りしたいなぁ…と思って!」
高島さんの顔が赤らんでる。やっぱり恥ずかしかったのかな…。
「そう言えば、最近あんまり話す機会なかったね。」
最後にこうやって普通の会話をしたのいつ以来だろう。
そもそも2人で話すのは初めてかもしれない。
すれ違った時に「お疲れ様」って言うくらいだったもんな。
僕も2人になるのを避けてたのもあるし…。
それからしばらく高島さんと他愛もない話をした。
意外と言うか何と言うか、話をしてみると僕が一歩踏み出せなかっただけで、高島さんとは話しが合うことに入社してから3年間で初めて気づいた。
「あっ、時間。ごめんなさい私戻るね。」
高島さんが、時計を見て慌てている。
時間を見ると12時45分だったので、昼休憩はまだ15分あるが、会計部は女性の縦社会が厳しい部署で先輩帰ってくる前に戻っとかないと後で何を言われるか分からないという同じ会社ながらに同情する部署だったな。
「会計も大変だね。また誘ってよ。」
「うん…本当にごめんなさい!」
そういうと高島さんはフリールームを小走りに出て行った。
残ったスティックパンを頬張り、菓子パンの袋を丸めてゴミ箱にいれ、部屋を出ようとしたら、さっき外にランチに出ていた畑中が入ってきた。
「お、春樹ここで食べてたのか。」
畑中は財布を開けて小銭を人差し指で探している。
フリールームにある自動販売機で飲み物を買いに来たようだ。
「高島さんとさっきまでここで食べてた。」
「た…高島さんと?」
100円を自販機に入れ損ねて落とした。
慌てて拾い、自販機に100円を入れた。
「うん?」
動揺したように見えた。
「よし、俺も明日からコンビニ飯にしようかな…。」
ピッ
ガタン
畑中は買った缶コーヒーを取り出し、蓋を開けてチビチビ飲んでいる。
「畑中って…」
グッと言葉を堪え、このことは胸に閉まっておくことにした。
畑中…応援するぞ。
「ここはいつも空いてるね?誰も居ないし1番奥の席行く?」
こういう時、僕の性格的に隅と角が1番落ち着く。高島さんもきっと隅の方が落ち着くと思う。
「うん。私も奥の方が落ち着くしそっちの方がいい。」
やっぱり。
僕は6本100円のスティックパンと、ブラックの缶コーヒー、高島さんは卵とハムのサンドイッチと紫色のスムージーを机に広げた。
「………」
こうなることは分かってたけど、2人とも座ってから一言も喋ってない。
菓子パンの袋の擦れる音と、モグモグと食べる音だけが虚しく響く。
「あ、春樹くんメガネ変えた?」
なにか話しかけなきゃと考えてたら高島さんが話題を振ってくれて助かった。
「うん。前の眼鏡、駅で落として割っちゃったから変えたんだ。変かな…?」
女の子に自分の見た目のことを聞くのは少し恥ずかしい。
「うんうん。凄くいいと思う!似合ってるよ!」
「あ…ありがとう。」
褒められ慣れてないから、突然褒められたりすると恥ずかしくて仕方なくなる。
僕の顔は今、にやけを必至に堪えて変な顔になってると、断言できる。
チラッと高島さんを見るとこっちを見てニコッとしていた。
目が合ったのが恥ずかしくて、目線を少し下に落とした。
5秒くらい経って、気づいてしまった。
僕は今高島さんの胸あたりをマジマジと見つめていた。
ハッとして、高島さんを見ると顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。
はぁ。
絶対に胸を見てると思われたよね…
絶対に胸を見てると…
絶対に…
「そう言えば今日は何でご飯誘ってくれたの?」
胸を見ていたことが恥ずかしくてとっさに高島さんに話しかける。
「春樹くん最近中で食べてるみたいだったし、それに…」
高島さんが普通に答えてくれてホッとした。
「それに?」
「は…春樹くんとお喋りしたいなぁ…と思って!」
高島さんの顔が赤らんでる。やっぱり恥ずかしかったのかな…。
「そう言えば、最近あんまり話す機会なかったね。」
最後にこうやって普通の会話をしたのいつ以来だろう。
そもそも2人で話すのは初めてかもしれない。
すれ違った時に「お疲れ様」って言うくらいだったもんな。
僕も2人になるのを避けてたのもあるし…。
それからしばらく高島さんと他愛もない話をした。
意外と言うか何と言うか、話をしてみると僕が一歩踏み出せなかっただけで、高島さんとは話しが合うことに入社してから3年間で初めて気づいた。
「あっ、時間。ごめんなさい私戻るね。」
高島さんが、時計を見て慌てている。
時間を見ると12時45分だったので、昼休憩はまだ15分あるが、会計部は女性の縦社会が厳しい部署で先輩帰ってくる前に戻っとかないと後で何を言われるか分からないという同じ会社ながらに同情する部署だったな。
「会計も大変だね。また誘ってよ。」
「うん…本当にごめんなさい!」
そういうと高島さんはフリールームを小走りに出て行った。
残ったスティックパンを頬張り、菓子パンの袋を丸めてゴミ箱にいれ、部屋を出ようとしたら、さっき外にランチに出ていた畑中が入ってきた。
「お、春樹ここで食べてたのか。」
畑中は財布を開けて小銭を人差し指で探している。
フリールームにある自動販売機で飲み物を買いに来たようだ。
「高島さんとさっきまでここで食べてた。」
「た…高島さんと?」
100円を自販機に入れ損ねて落とした。
慌てて拾い、自販機に100円を入れた。
「うん?」
動揺したように見えた。
「よし、俺も明日からコンビニ飯にしようかな…。」
ピッ
ガタン
畑中は買った缶コーヒーを取り出し、蓋を開けてチビチビ飲んでいる。
「畑中って…」
グッと言葉を堪え、このことは胸に閉まっておくことにした。
畑中…応援するぞ。
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