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虚数の兎
空中機動
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大臣を狙うアマミヤに対して彼ら政治家のそばに居た男は刃を抜く。
銀色の拵えから抜き放った刃も当たり前のように銀にきらめきその刃はあらゆる妖刀を断つという。
杉田銀時の銀刀を前に妖気のボーなど飴細工に近い。
(見かけほどの威力は無いな)
抜刀の一閃から鎬を当てて起動をそらした銀時は手応えでそれを察した。
これならしっかりと腕でガードすれば命の危険は少ないだろう。
だが今まで傾向と比較しての違和感が彼を悩ましていく。
少女は何故大臣を狙ったのであろうかと。
これまでの事件では操られた人々は潜在的に害意を持っている友人知人を優先して狙う傾向が強く、次いで自分を止めようと剣を向ける士への迎撃がメインコマンド。
今回の少女のように、士から距離を取った上で遠くに離れている第三者を狙うことなどなかった。
もしかしたら少女が大臣を快く思っていないだけかもしれないし、あるいは今回の妖刀奇剣は単にこれまでのモノとは被害者を操る際の命令が違うっだけの話かもしれない。
どちらにせよここまで意図的に大臣を狙うった理由が少女が個人的に大臣を恨んでいるわけでは限り、黒幕は操られた少女一人にすべてを任せるとは思えない。
それが銀時の見解だった。
「マルタイは空中だ。誰でもいいから追いかけろ」
インカムを通した銀時の全体指示を受けて士たちは首を上げてアマミヤの姿を捉える。
叩き潰そうとして逃げられたばかりだった三浦などは「そこに居たか」と意気揚々に力んだほど。
そのまま三浦はバカでかい声で息吹いて脚に妖気を貯めると、一気に噴出させてアマミヤを追う。
これには演技中の魔法少女も驚く。
「逃げるな!」
アマミヤは知らないことだが剣術の理に欠けるとはいえ三浦も士の端くれ。
一見すると力任せの乱暴者であっても妖気を利用した闘法を持っているわけだ。
華奢な身体を華麗に舞わせたアマミヤのそれと比べれば洗礼されていないが結果は同じ。
一直線に彼女を追いかける速度は早い。
(まさかまっすぐ一息にジャンプして届くとは思わなかったけれど……こうすれば)
そんな飛び上がった巨漢に対してアマミヤが取った行動は空中機動による回避行動。
銀時に弾かれてから消していた妖気のボーをビルに目掛けて伸ばして渡し小舟の要領で空中を駆け抜けた。
ずれた座標を擦れ違う三浦は彼女をぎらり。
アマミヤを操られている被害者だと認識した上で続けざまに避けられたのに激怒しての殺意を向けた。
(三浦はダメそうだな。だがあの方向ならちょうど石神が居るはずだ)
頭に血が上っているのが手に取るようにわかる三浦は今回は使えないなと思いながら、アマミヤが自ら弾け飛んでいった方角を見た銀時は甫のことを思い浮かべる。
ちょうど彼が避難誘導をしていた区画に少女が着地するだろうと。
事前に軽く頭に入れていた情報にも甫が剣気を用いて妖気を祓う術に長けていることが書かれていた。
これならば打撃武器によるゴリ押ししかできない三浦よりもこの操られた少女の相手には適任だろう。
「そっちにマルタイが落ちてくる。お前が確保しろ」
インカムのマイクを甫だけに切り替えた銀時は端的に呼びかけた。
「あれかな?」
その声に反応して避難誘導を中断した甫が首を上げると、たしかに少女がこちらの方に飛来していた。
この少女が昨日の小太刀二刀流パーカー闖入者と同一人物だと彼は気づかない。
他の士と同じく「操られた一般人」として妖刀だけを祓うべく、官製奇剣に手をかけた。
銀色の拵えから抜き放った刃も当たり前のように銀にきらめきその刃はあらゆる妖刀を断つという。
杉田銀時の銀刀を前に妖気のボーなど飴細工に近い。
(見かけほどの威力は無いな)
抜刀の一閃から鎬を当てて起動をそらした銀時は手応えでそれを察した。
これならしっかりと腕でガードすれば命の危険は少ないだろう。
だが今まで傾向と比較しての違和感が彼を悩ましていく。
少女は何故大臣を狙ったのであろうかと。
これまでの事件では操られた人々は潜在的に害意を持っている友人知人を優先して狙う傾向が強く、次いで自分を止めようと剣を向ける士への迎撃がメインコマンド。
今回の少女のように、士から距離を取った上で遠くに離れている第三者を狙うことなどなかった。
もしかしたら少女が大臣を快く思っていないだけかもしれないし、あるいは今回の妖刀奇剣は単にこれまでのモノとは被害者を操る際の命令が違うっだけの話かもしれない。
どちらにせよここまで意図的に大臣を狙うった理由が少女が個人的に大臣を恨んでいるわけでは限り、黒幕は操られた少女一人にすべてを任せるとは思えない。
それが銀時の見解だった。
「マルタイは空中だ。誰でもいいから追いかけろ」
インカムを通した銀時の全体指示を受けて士たちは首を上げてアマミヤの姿を捉える。
叩き潰そうとして逃げられたばかりだった三浦などは「そこに居たか」と意気揚々に力んだほど。
そのまま三浦はバカでかい声で息吹いて脚に妖気を貯めると、一気に噴出させてアマミヤを追う。
これには演技中の魔法少女も驚く。
「逃げるな!」
アマミヤは知らないことだが剣術の理に欠けるとはいえ三浦も士の端くれ。
一見すると力任せの乱暴者であっても妖気を利用した闘法を持っているわけだ。
華奢な身体を華麗に舞わせたアマミヤのそれと比べれば洗礼されていないが結果は同じ。
一直線に彼女を追いかける速度は早い。
(まさかまっすぐ一息にジャンプして届くとは思わなかったけれど……こうすれば)
そんな飛び上がった巨漢に対してアマミヤが取った行動は空中機動による回避行動。
銀時に弾かれてから消していた妖気のボーをビルに目掛けて伸ばして渡し小舟の要領で空中を駆け抜けた。
ずれた座標を擦れ違う三浦は彼女をぎらり。
アマミヤを操られている被害者だと認識した上で続けざまに避けられたのに激怒しての殺意を向けた。
(三浦はダメそうだな。だがあの方向ならちょうど石神が居るはずだ)
頭に血が上っているのが手に取るようにわかる三浦は今回は使えないなと思いながら、アマミヤが自ら弾け飛んでいった方角を見た銀時は甫のことを思い浮かべる。
ちょうど彼が避難誘導をしていた区画に少女が着地するだろうと。
事前に軽く頭に入れていた情報にも甫が剣気を用いて妖気を祓う術に長けていることが書かれていた。
これならば打撃武器によるゴリ押ししかできない三浦よりもこの操られた少女の相手には適任だろう。
「そっちにマルタイが落ちてくる。お前が確保しろ」
インカムのマイクを甫だけに切り替えた銀時は端的に呼びかけた。
「あれかな?」
その声に反応して避難誘導を中断した甫が首を上げると、たしかに少女がこちらの方に飛来していた。
この少女が昨日の小太刀二刀流パーカー闖入者と同一人物だと彼は気づかない。
他の士と同じく「操られた一般人」として妖刀だけを祓うべく、官製奇剣に手をかけた。
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