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第1章 働かなくてもいい世界 〜 it's a small fairy world 〜
上位ランク戦2
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グレン。コロシアムランキング17位。男性。325歳。グランの弟子。金髪の優男。俺と意思疎通ができる。挑戦者。首までの甲冑に篭手を装備。
パイル。コロシアムランキング14位。女性。330歳。バイダルの弟子。長髪の麗人。冷静で知的な印象。師匠大好き。ゆったりした服に大剣を装備。
対戦する二人のプロフィールはこんなところ。
(なあマッド。ちょっと気がついたんだけど……)
「なんだい悪霊氏」
(マッドがおよそ400歳で、グレンが325歳ってことは、グレンは弟弟子なの?)
「そうだな。時期が違うから面識はほとんどないが」
(そうか。弟弟子に抜かれちゃったんだな……)
「そうだな。まあ、別に気にしてなどいない。もとより師匠に世話になったのは偶然で、俺は師匠と違って武の極みなんぞ求めちゃいない。まあ奴はバカ正直な性格だからな。あの師匠の影響をもろに受けたんだろう」
なるほどね。それで今や準<十闘士>の実力と。
「さあ、いよいよ始まります! いつも通り、勝手に対戦の実況を努めますのは、コロシアム観戦が三度の飯より大好きキクカです。解説はコロシアムランキング9位のシズさんが快く引き受けて下さいました! どうぞよろしくお願いします!」
「お願いしますー」
お、実況が始まった。
「今回の闘いは、コロシアムランキング14位のパイル選手にランキング17位のグレン選手が挑戦です! 二つのランキング差を越えて挑戦ということで、グレン選手にとってはなかなか厳しい闘いになるかと思いますが、解説のシズさんはどう思いますか!?」
「そうですねー。ポイントで見ればパイルのほうが優位ですけど、闘いには何事も相性差というものがあります。勝敗には多様な要素が絡むことですし、2ランク程度の差であれば、実力派ほぼ拮抗していると言ってもいいでしょう」
シズさん、思ったよりも流暢に解説をこなすな。初めてみたいなこと言ってたからちょっと不安だったんだけど、これなら大丈夫か。
「なるほど。グレン選手にも十分勝機はあるということですね」
「はい……。コレで掴みはオーケー。キクカちゃん、これでいい?」
「あ、そこまでは読まなくていいんですよー。……はいはい。何でもありませんからねー」
あ、カンペ渡されてたのね。
「さて、ここで二人のプロフィールを簡単に紹介しましょう。挑戦するグレン選手は速攻即斬の拳闘士。スピードで相手を翻弄し一撃必殺の拳を叩き込みます。師匠はあのランキング8位のグラン選手です。そして、パイル選手は重厚怪腕の重剣士。相手の攻撃をものともせず必殺の撃剣で両断します。師匠はランキング10位兼コロシアム管理者のバイダル選手です。ともに<十闘士>を師に持つこの二人の闘いは壮絶なものとなるでしょう! そしてこの二人、実は闘うのは初めてではないのです。ランキング10位台になってからは初ですが、30位台、50位台、そしてそれ以降では幾度となく闘いを行っている、いわばライバル同士と言っても過言ではありません!」
「そうみたいだね……。キクカちゃん。よくこんなに調べたね」
パラパラと資料を捲りながらシズさんは言う。
「ありがとうございます。しかも、この二人の闘い、ランキング100位以内に限って言えば、すべてパイル選手が勝利しているのです! 今回もパイル選手が勝つのか、はたまた念願の勝利をグレン選手がもぎ取るのか。注目の一戦が今、始まろうとしています!!」
「二人共、頑張ってねー」
身を乗り出さんと実況するキクカと、呑気に手を振るシズさん。実況と解説の温度差が激しいな。でも、そうか。二人は因縁の対決なのか。これはすごい闘いになりそうだ。
二人は舞台の端に手をかけると、気負うことなくひょいと上がった。
刹那、鈍い金属音が響き、パイルさん側の選手入場口付近に砂埃が舞う。
その中からゆうゆうと姿を表したのは、さっきまで反対側にいたグレンさん。「あー、流石に意表はつけないか……」とため息混じりの声が聞こえてきた。
「か、開始早々何かが起こったー!! 私には何が起こっているのかさっぱり分かりませんでした!! 解説のシズさん、お願いします」
「はいはい。グレンくんの先制攻撃をパイルちゃんが流したみたいね。フェイント入れながら近づいて、右ストレート。でもパイルちゃんにあっさりと流されちゃって、勢いそのまま壁にズドンって感じでーす」
「なるほど。私にはさっぱり分かりませんでした」
俺にもさっぱり分かりませんでした。
観客の多くもシズさんの解説を聞いて「はー、そうなのか」と納得している。セミルやマッドも驚いている様子だし、状況が掴めていたのはグランやバイダルさんといった一部の実力者のみだろう。
グレンさんは埃を払うと、飛ぶように移動して数歩でコロシアム中央に戻る。パイルさんは武器である大剣を舞台外側の大地につきたて、グレンさんの居る中央へ近づき数m離れたところで止まる。
「あんなのが私に通じると思った? それともさっきの実況を聞いて、テンション上がっちゃった?」
「思ってないけど、テンションは上がりっぱなしだよ。今日はキミに勝ちにきたんだからね」
「そう。でも、いつも通りよ。あなたの攻撃を受けきって、私が勝つだけ」
「なあに。受け切らせる気はないさ。俺だって少しは成長したんだぜ?」
「そう。それなら生憎ね。私はあなた以上に成長したわ。私の今の目標は師匠に勝つことですから」
「はは。それには時期尚早だよ。キミがまだそのランクに居るのは、バイダルさんに勝てないと分かっているからだろう?」
「……」
「それにキミはバイダルさんが大好きだ。そんな気持ちで本当に戦えるかい? 本当に、この舞台で、師匠をねじ伏せられるのかい?」
「……私と師匠の絆を愚弄する気か?」
「そんなつもりは毛頭ないさ。だがまあ、あれだ。一切そんな心配は要らないぞ。キミの次の目標は『俺に勝つこと』なんだから」
空気が爆ぜて、轟音が響く。回転渦巻く金属音が舞台を上り詰め、一際大きい衝撃音とともに弾ける。消えた二人を再び目にした時、パイルさんは肥大した上半身で双剣を持ち、グレンさんは両手の篭手で双剣を抑えていた。ギリギリと火花が散り、徐々に双剣に押し込まれていくグレンさん。そして、次の瞬間にはお互いが反対に弾け飛んだ。両サイドに土埃が舞う。パイルさんはお腹を抑えており、グレンさんは右手で左手を腕にくっつけている。
「す、凄まじい攻防! これが準<十闘士>クラスの闘いです! 何が起こったのかさっぱり分かりませーん! シズさんお願いします!」
「はいはい。ちょっとパイルちゃんがキレちゃったみたいね。隠し持ってた双剣で、グレンちゃんを殴りつけるように切ってるわね。で、グレンちゃんは何とか捌いてたんだけど、捕まって中央で膠着状態。単純な力ではパイルちゃんが上みたいね。そのまま両断されかかったところ、左腕一本犠牲にして回避しつつ、思い切りパイルちゃんの腹を蹴り込んだと。そんな感じでーす」
「はい、ありがとうございます! やはり<十闘士>の方を解説に呼んで正解でした! 頼りになります!」
なるほどね。さっぱり分からん。これがヤムチャ視点というやつか。
「……っち。下手な挑発に乗った」
「……ひゅー♪ この威力、変わってないねぇ」
二人は歩いて舞台に戻る。お互いに大きなダメージがあるようには見えない。
「ところでシズさん。パイル選手の上半身が、まるでバイダル選手の如く肥大していますね。それに彼女の代名詞である大剣『撃剣』が場外に置いてありますがこれはどういうことでしょうか」
「彼女がちょっとだけ本気になったということね。『変化』で一部の筋力を上げているのでしょう。大剣ではなく双剣を使っているのは、おそらくグレンくんのスピードを警戒してのことね。一通りの武器は使えるみたいだし、より小回りの効く手数の多い双剣を選択した、ということかしら」
「なるほどー! てっきり『撃剣』を使うまでもないとグレン選手を侮っているかとも思ったのですが、決してそのようなことはないということですね!」
そして二人は再びぶつかる。姿が消えた瞬間に舞台の到るところから衝撃音が響き、やがて土埃が二箇所で舞う。しばらくそれを繰り返すだけの闘いが続く。
「ふむ、膠着状態ですな」
「じゃのう。これは少し長引きそうじゃな」
二人の師匠はそう言って緊張を解く。バイダルさんは伸びをし、グランは欠伸をし始めた。せっかくだしちょっと聞いてみるか。
(バイダルさん。さっきシズさんが『変化』って言ってたけど、何のこと? あとパイルさんのあの筋肉って、バイダルさんのと同じなの?)
「悪霊殿ですか。そうですな。あの筋肉は私直伝です。心拍数を上げて血流を速くし、それでいて一部に集めることで筋力が増加します。『変化』の一種ですな。『変化』は『重ね』を継続して行うことで、自身を戦闘に適した体にすることですな」
なるほど。でも『重ね』を継続ってことは、相当無理してるってことかな。ヒメちゃんは一回の『重ね』でしばらく動けなくなったし。
「素人であればそうですが、彼女らにとってはそうではありませんな。もうパイルもグレン殿も、三日三晩『変化』を続けても平気な領域に入っているでしょう」
(彼女、ら? グレンさんも『変化』してるのか?)
「ええ。目に見えて大きな変化はありませんが、身体の可動域と弾性を大きく上げて高速移動を実現してます。その動きについていくために、パイルも反応速度を上げておるようで、まあ一進一退といった感じですな。おそらく1,2時間はこのまま膠着するでしょう。屋台に行くなら今ですぞ」
(ははは。俺は何も食えないからなぁ)
「おっと、そうでしたな」
はははとバイダルさんは笑って席を離れた。おそらく屋台で何か料理を貰ってくるのだろう。俺は舞台に視線を向ける。相変わらずヤムチャ視点の闘いが続いていたが、グランさんもヒメちゃんと呑気に話しているし、本当にしばらくこの状態が続きそうだな。
パイル。コロシアムランキング14位。女性。330歳。バイダルの弟子。長髪の麗人。冷静で知的な印象。師匠大好き。ゆったりした服に大剣を装備。
対戦する二人のプロフィールはこんなところ。
(なあマッド。ちょっと気がついたんだけど……)
「なんだい悪霊氏」
(マッドがおよそ400歳で、グレンが325歳ってことは、グレンは弟弟子なの?)
「そうだな。時期が違うから面識はほとんどないが」
(そうか。弟弟子に抜かれちゃったんだな……)
「そうだな。まあ、別に気にしてなどいない。もとより師匠に世話になったのは偶然で、俺は師匠と違って武の極みなんぞ求めちゃいない。まあ奴はバカ正直な性格だからな。あの師匠の影響をもろに受けたんだろう」
なるほどね。それで今や準<十闘士>の実力と。
「さあ、いよいよ始まります! いつも通り、勝手に対戦の実況を努めますのは、コロシアム観戦が三度の飯より大好きキクカです。解説はコロシアムランキング9位のシズさんが快く引き受けて下さいました! どうぞよろしくお願いします!」
「お願いしますー」
お、実況が始まった。
「今回の闘いは、コロシアムランキング14位のパイル選手にランキング17位のグレン選手が挑戦です! 二つのランキング差を越えて挑戦ということで、グレン選手にとってはなかなか厳しい闘いになるかと思いますが、解説のシズさんはどう思いますか!?」
「そうですねー。ポイントで見ればパイルのほうが優位ですけど、闘いには何事も相性差というものがあります。勝敗には多様な要素が絡むことですし、2ランク程度の差であれば、実力派ほぼ拮抗していると言ってもいいでしょう」
シズさん、思ったよりも流暢に解説をこなすな。初めてみたいなこと言ってたからちょっと不安だったんだけど、これなら大丈夫か。
「なるほど。グレン選手にも十分勝機はあるということですね」
「はい……。コレで掴みはオーケー。キクカちゃん、これでいい?」
「あ、そこまでは読まなくていいんですよー。……はいはい。何でもありませんからねー」
あ、カンペ渡されてたのね。
「さて、ここで二人のプロフィールを簡単に紹介しましょう。挑戦するグレン選手は速攻即斬の拳闘士。スピードで相手を翻弄し一撃必殺の拳を叩き込みます。師匠はあのランキング8位のグラン選手です。そして、パイル選手は重厚怪腕の重剣士。相手の攻撃をものともせず必殺の撃剣で両断します。師匠はランキング10位兼コロシアム管理者のバイダル選手です。ともに<十闘士>を師に持つこの二人の闘いは壮絶なものとなるでしょう! そしてこの二人、実は闘うのは初めてではないのです。ランキング10位台になってからは初ですが、30位台、50位台、そしてそれ以降では幾度となく闘いを行っている、いわばライバル同士と言っても過言ではありません!」
「そうみたいだね……。キクカちゃん。よくこんなに調べたね」
パラパラと資料を捲りながらシズさんは言う。
「ありがとうございます。しかも、この二人の闘い、ランキング100位以内に限って言えば、すべてパイル選手が勝利しているのです! 今回もパイル選手が勝つのか、はたまた念願の勝利をグレン選手がもぎ取るのか。注目の一戦が今、始まろうとしています!!」
「二人共、頑張ってねー」
身を乗り出さんと実況するキクカと、呑気に手を振るシズさん。実況と解説の温度差が激しいな。でも、そうか。二人は因縁の対決なのか。これはすごい闘いになりそうだ。
二人は舞台の端に手をかけると、気負うことなくひょいと上がった。
刹那、鈍い金属音が響き、パイルさん側の選手入場口付近に砂埃が舞う。
その中からゆうゆうと姿を表したのは、さっきまで反対側にいたグレンさん。「あー、流石に意表はつけないか……」とため息混じりの声が聞こえてきた。
「か、開始早々何かが起こったー!! 私には何が起こっているのかさっぱり分かりませんでした!! 解説のシズさん、お願いします」
「はいはい。グレンくんの先制攻撃をパイルちゃんが流したみたいね。フェイント入れながら近づいて、右ストレート。でもパイルちゃんにあっさりと流されちゃって、勢いそのまま壁にズドンって感じでーす」
「なるほど。私にはさっぱり分かりませんでした」
俺にもさっぱり分かりませんでした。
観客の多くもシズさんの解説を聞いて「はー、そうなのか」と納得している。セミルやマッドも驚いている様子だし、状況が掴めていたのはグランやバイダルさんといった一部の実力者のみだろう。
グレンさんは埃を払うと、飛ぶように移動して数歩でコロシアム中央に戻る。パイルさんは武器である大剣を舞台外側の大地につきたて、グレンさんの居る中央へ近づき数m離れたところで止まる。
「あんなのが私に通じると思った? それともさっきの実況を聞いて、テンション上がっちゃった?」
「思ってないけど、テンションは上がりっぱなしだよ。今日はキミに勝ちにきたんだからね」
「そう。でも、いつも通りよ。あなたの攻撃を受けきって、私が勝つだけ」
「なあに。受け切らせる気はないさ。俺だって少しは成長したんだぜ?」
「そう。それなら生憎ね。私はあなた以上に成長したわ。私の今の目標は師匠に勝つことですから」
「はは。それには時期尚早だよ。キミがまだそのランクに居るのは、バイダルさんに勝てないと分かっているからだろう?」
「……」
「それにキミはバイダルさんが大好きだ。そんな気持ちで本当に戦えるかい? 本当に、この舞台で、師匠をねじ伏せられるのかい?」
「……私と師匠の絆を愚弄する気か?」
「そんなつもりは毛頭ないさ。だがまあ、あれだ。一切そんな心配は要らないぞ。キミの次の目標は『俺に勝つこと』なんだから」
空気が爆ぜて、轟音が響く。回転渦巻く金属音が舞台を上り詰め、一際大きい衝撃音とともに弾ける。消えた二人を再び目にした時、パイルさんは肥大した上半身で双剣を持ち、グレンさんは両手の篭手で双剣を抑えていた。ギリギリと火花が散り、徐々に双剣に押し込まれていくグレンさん。そして、次の瞬間にはお互いが反対に弾け飛んだ。両サイドに土埃が舞う。パイルさんはお腹を抑えており、グレンさんは右手で左手を腕にくっつけている。
「す、凄まじい攻防! これが準<十闘士>クラスの闘いです! 何が起こったのかさっぱり分かりませーん! シズさんお願いします!」
「はいはい。ちょっとパイルちゃんがキレちゃったみたいね。隠し持ってた双剣で、グレンちゃんを殴りつけるように切ってるわね。で、グレンちゃんは何とか捌いてたんだけど、捕まって中央で膠着状態。単純な力ではパイルちゃんが上みたいね。そのまま両断されかかったところ、左腕一本犠牲にして回避しつつ、思い切りパイルちゃんの腹を蹴り込んだと。そんな感じでーす」
「はい、ありがとうございます! やはり<十闘士>の方を解説に呼んで正解でした! 頼りになります!」
なるほどね。さっぱり分からん。これがヤムチャ視点というやつか。
「……っち。下手な挑発に乗った」
「……ひゅー♪ この威力、変わってないねぇ」
二人は歩いて舞台に戻る。お互いに大きなダメージがあるようには見えない。
「ところでシズさん。パイル選手の上半身が、まるでバイダル選手の如く肥大していますね。それに彼女の代名詞である大剣『撃剣』が場外に置いてありますがこれはどういうことでしょうか」
「彼女がちょっとだけ本気になったということね。『変化』で一部の筋力を上げているのでしょう。大剣ではなく双剣を使っているのは、おそらくグレンくんのスピードを警戒してのことね。一通りの武器は使えるみたいだし、より小回りの効く手数の多い双剣を選択した、ということかしら」
「なるほどー! てっきり『撃剣』を使うまでもないとグレン選手を侮っているかとも思ったのですが、決してそのようなことはないということですね!」
そして二人は再びぶつかる。姿が消えた瞬間に舞台の到るところから衝撃音が響き、やがて土埃が二箇所で舞う。しばらくそれを繰り返すだけの闘いが続く。
「ふむ、膠着状態ですな」
「じゃのう。これは少し長引きそうじゃな」
二人の師匠はそう言って緊張を解く。バイダルさんは伸びをし、グランは欠伸をし始めた。せっかくだしちょっと聞いてみるか。
(バイダルさん。さっきシズさんが『変化』って言ってたけど、何のこと? あとパイルさんのあの筋肉って、バイダルさんのと同じなの?)
「悪霊殿ですか。そうですな。あの筋肉は私直伝です。心拍数を上げて血流を速くし、それでいて一部に集めることで筋力が増加します。『変化』の一種ですな。『変化』は『重ね』を継続して行うことで、自身を戦闘に適した体にすることですな」
なるほど。でも『重ね』を継続ってことは、相当無理してるってことかな。ヒメちゃんは一回の『重ね』でしばらく動けなくなったし。
「素人であればそうですが、彼女らにとってはそうではありませんな。もうパイルもグレン殿も、三日三晩『変化』を続けても平気な領域に入っているでしょう」
(彼女、ら? グレンさんも『変化』してるのか?)
「ええ。目に見えて大きな変化はありませんが、身体の可動域と弾性を大きく上げて高速移動を実現してます。その動きについていくために、パイルも反応速度を上げておるようで、まあ一進一退といった感じですな。おそらく1,2時間はこのまま膠着するでしょう。屋台に行くなら今ですぞ」
(ははは。俺は何も食えないからなぁ)
「おっと、そうでしたな」
はははとバイダルさんは笑って席を離れた。おそらく屋台で何か料理を貰ってくるのだろう。俺は舞台に視線を向ける。相変わらずヤムチャ視点の闘いが続いていたが、グランさんもヒメちゃんと呑気に話しているし、本当にしばらくこの状態が続きそうだな。
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