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もし、人生をやり直せるとしたなら次はどんな人生を生きたいと願いますか?どんな世界で生きたいと思いますか?

————もしもその願いを叶えられるとするならば、あなたならどうしたいですか?




私なら、断然平穏な人生を望みます。ええ、そうです。なんです。
逆にそれしかいらないです。
中には有名になりたいだとか、玉の輿に乗りたいとか願う方もいるとは思いますけれど、けれどもそれはあくまでもほかの人の話。
私にとっては願い下げなお話です。
なのに。どうして本当に望んでいる願いは中々叶わないのでしょう。
と、私は内心で嘆きながらも目の前にいる相手に愛想良く微笑んでいた。

「お久しぶりでございます、リアン殿下。召喚状を承りましたフレイティア・ルナ・ローゼリア、只今参上いたしました」

そしてドレスの裾を持ち上げながら片足を後に交差させ、正式な礼カーテ・シーを取る。我ながら見事な所作だと思う。内心で今の出来栄えにほっと胸をなでおろす。
そんな私を見て、リアン殿下ことアンシェイラ王国第二王子であり王位継承権第一位のリアン・エリオット・アンシェイラ王太子殿下は実に王子様らしい雰囲気を纏いつつ朗らかに「うん、待っていたよフレイティア嬢」と頷きつつ、席に座るように勧めてくる。
私は遠慮なく勧められたソファーに腰を下ろしてリアン殿下を改めて観察した。
金髪にアンシェイラ王国の王族である証の瑠璃ラピスラズリ色の瞳。柔らかな物腰や甘いマスクをしているリアン殿下はまさしくおとぎ話に出てくる王子様そのものであった。
そんな王子様は私の向かい側のソファーに腰を下ろすと、にっこりと微笑みながら私にとってはあまり嬉しくない言葉を紡いだ。

「これからとしてよろしくね」
「はい、勿論ですわ」

私もそれに返すように淑女らしく笑って頷いた。
実際は全くもって嬉しくないお話ですけれどね!!


*   *   *

そもそもどうしてこんな話になっているのか。そしてどうして私がリアン殿下の婚約者になることがあまり嬉しくないのかについては、少し前の出来事が起因していた。
普通の貴族令嬢であればどんな理由であれ憧れの王子様の婚約者になれるのはとても嬉しいことだろう。私もね、一週間前までの私だったらきっととても喜んだと思うの。
けれどももう、一週間前の自分には戻れないわけで。
と、なんの説明もなしに一週間前の自分がどうこう言ったところで何の話だと首を傾げられることだろう。だから私は、単刀直入に本題に入ることにする。
私ことフレイティア・ルナ・ローゼリアは一週間前に全てを思い出したのである。

私が生まれる前の、つまり前世の記憶を。
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