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第二幕 番外編
誰よりもハロウィンを楽しむ男②
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「俺はただ、ギャルナースが見たいなって思っただけで……」
「ナース? 庄助は看護師のコスプレが好きなのか?」
てっきり怒られると思ったら、あさっての方向に話題が転換したので、庄助は少しホッとした。
「え! いや~まあ、健康な男子はみんな好きやろ」
「なるほど、家の中でなら俺が着てやろう」
「怖い怖い! いらんわ!」
白いケーシージャケットが豊満な胸筋ではち切れそうな看護師姿の景虎を想像して、庄助は恐ろしくなった。
「そうやのうて……カゲにかてあるやろ? これエロいな~って思うコスプレ」
「ない」
「嘘つけや! お前、俺がバニーとか猫の服着させられたとき、めっちゃ興奮しとったやろが!」
「あれは庄助が着てたからだ」
恥ずかしげもなくそう言われて言葉に詰まった庄助に向かって、景虎は続けた。
「職業柄、看護師には世話になっているが、エロいと思ったことはない」
「は~? 聖人ぶんなよ。なんか好きなんあるやろ。女子高生とか……」
「お前らは何かというと女子高生というが、女の子供のどこにそそられるんだ? ロリコンだろ、変態なのか?」
誰よりも変態のヤクザのくせに、突然まともなことを言うのはやめてもらいたい。景虎より倫理観念が下なのかと思うと死にたくなる。
「お、男はなあ……女子高生に限らずこういう衣装がエロいんですよって刷り込まれんねん。ネットとかAVとか、そういうので」
「ほぉ……?」
「つまりコスプレは浪漫っちゅーことや。せやから一緒に行こ、渋谷ハロウィン! 絶対おもろいって! なぁ~見るだけやからぁ。お願いやん」
庄助は起き上がって景虎の手を握った。キラキラした無垢な目が眩しい、祭りと女、とりわけギャルの女体への意欲がすごい。引く。ちなみに庄助はアダルトビデオでいうなら、入院中に白衣のギャルが内緒で抜いてくれるシチュエーションが好みだ。
「わかった。庄助がそこまでいうなら」
ため息をついて渋々承諾する景虎の姿に、庄助は諸手を上げて喜んだ。
「やた! ほんならさ~! 俺がジョニデの海賊やるから、カゲはハリーポ」
「ただし、俺が喜んでコスプレしたくなるように、庄助がちゃんとプレゼンしてくれ」
食い気味にそう言われた意味がわからなくて、庄助は目を丸くした。
「ハロウィンまであと何日かあるだろう。それまでに俺に刷り込んで、教えてくれ」
「なに……を?」
腰を引き寄せられて、メガネをかけた景虎の顔面が間近に迫る。
「コスプレの浪漫とやらを、お前が身を持って教えてくれるんだろ? 楽しみだ、庄助が着るときっと何でも可愛い」
うっとりとそう言いながら、服を脱がせてこようとする。庄助は慌てて抵抗した。
「んな……待てっ! 意味がわからん! 百歩譲ってプレゼンするとしても、今ここにコスプレ衣装はないから!」
「そんなものノーパンに彼シャツでいいだろ、ナースは明日買ってきてやるから。早く脱げ、俺のシャツに着替えろ」
景虎はしれっとハーフパンツごと下着を奪い去ると、フローリングに放り投げた。つるりとした尻が剥き出しになってしまい、庄助はTシャツの裾を必死に伸ばした。
「なんでそんなん知っとんねんボケーッ! やめ……恥ずかしいてっ! 脱がすなっ!」
「大胆になれよ、ハロウィンなんだろ?」
かくしてハロウィンまでの数日、庄助は色んな衣装を着て景虎に抱かれることになった。
景虎が買ってきたのは、ありがちなメイドにセーラー服、果ては逆バニーに童貞を殺すセーター、カモノハシの着ぐるみなど。およそハロウィンに関係ない、ドンキで売っているペラペラで安っぽいコスチュームに日替わりで身を包んでは毎日犯された。
最初は死ぬほど嫌がっていたものの、途中から庄助も興奮してしまっていた。そのチープさとバカっぽさがあまりにも屈辱的で、なんだか最高にエロくて良かった。
そのまま渋谷ハロウィン当日も二人はどっぷりと耽ってしまい、まるで猿のように求めあった。
皮肉にもナースの衣装でめちゃくちゃにされて、半ばベッドで気絶していた庄助は目を覚ますなり、
「嘘やろ、渋ハロ終わっとる」
と絶望して泣いた。
果たしてこれで景虎がコスプレに興味を持ったかは怪しいが、誰よりもハロウィンを楽しんでいたことは確かだ。
そして庄助もまた、持ち帰りの仕事のせいでメガネをかけるようになった景虎に何度も抱かれることによって、
知らんかった。メガネって、エロアイテムやったんや……。
と、逆に刷り込まれてしまったらしい。
庄助は今頃から、来年のハロウィンのリベンジを誓ったのだ。
〈完〉
「ナース? 庄助は看護師のコスプレが好きなのか?」
てっきり怒られると思ったら、あさっての方向に話題が転換したので、庄助は少しホッとした。
「え! いや~まあ、健康な男子はみんな好きやろ」
「なるほど、家の中でなら俺が着てやろう」
「怖い怖い! いらんわ!」
白いケーシージャケットが豊満な胸筋ではち切れそうな看護師姿の景虎を想像して、庄助は恐ろしくなった。
「そうやのうて……カゲにかてあるやろ? これエロいな~って思うコスプレ」
「ない」
「嘘つけや! お前、俺がバニーとか猫の服着させられたとき、めっちゃ興奮しとったやろが!」
「あれは庄助が着てたからだ」
恥ずかしげもなくそう言われて言葉に詰まった庄助に向かって、景虎は続けた。
「職業柄、看護師には世話になっているが、エロいと思ったことはない」
「は~? 聖人ぶんなよ。なんか好きなんあるやろ。女子高生とか……」
「お前らは何かというと女子高生というが、女の子供のどこにそそられるんだ? ロリコンだろ、変態なのか?」
誰よりも変態のヤクザのくせに、突然まともなことを言うのはやめてもらいたい。景虎より倫理観念が下なのかと思うと死にたくなる。
「お、男はなあ……女子高生に限らずこういう衣装がエロいんですよって刷り込まれんねん。ネットとかAVとか、そういうので」
「ほぉ……?」
「つまりコスプレは浪漫っちゅーことや。せやから一緒に行こ、渋谷ハロウィン! 絶対おもろいって! なぁ~見るだけやからぁ。お願いやん」
庄助は起き上がって景虎の手を握った。キラキラした無垢な目が眩しい、祭りと女、とりわけギャルの女体への意欲がすごい。引く。ちなみに庄助はアダルトビデオでいうなら、入院中に白衣のギャルが内緒で抜いてくれるシチュエーションが好みだ。
「わかった。庄助がそこまでいうなら」
ため息をついて渋々承諾する景虎の姿に、庄助は諸手を上げて喜んだ。
「やた! ほんならさ~! 俺がジョニデの海賊やるから、カゲはハリーポ」
「ただし、俺が喜んでコスプレしたくなるように、庄助がちゃんとプレゼンしてくれ」
食い気味にそう言われた意味がわからなくて、庄助は目を丸くした。
「ハロウィンまであと何日かあるだろう。それまでに俺に刷り込んで、教えてくれ」
「なに……を?」
腰を引き寄せられて、メガネをかけた景虎の顔面が間近に迫る。
「コスプレの浪漫とやらを、お前が身を持って教えてくれるんだろ? 楽しみだ、庄助が着るときっと何でも可愛い」
うっとりとそう言いながら、服を脱がせてこようとする。庄助は慌てて抵抗した。
「んな……待てっ! 意味がわからん! 百歩譲ってプレゼンするとしても、今ここにコスプレ衣装はないから!」
「そんなものノーパンに彼シャツでいいだろ、ナースは明日買ってきてやるから。早く脱げ、俺のシャツに着替えろ」
景虎はしれっとハーフパンツごと下着を奪い去ると、フローリングに放り投げた。つるりとした尻が剥き出しになってしまい、庄助はTシャツの裾を必死に伸ばした。
「なんでそんなん知っとんねんボケーッ! やめ……恥ずかしいてっ! 脱がすなっ!」
「大胆になれよ、ハロウィンなんだろ?」
かくしてハロウィンまでの数日、庄助は色んな衣装を着て景虎に抱かれることになった。
景虎が買ってきたのは、ありがちなメイドにセーラー服、果ては逆バニーに童貞を殺すセーター、カモノハシの着ぐるみなど。およそハロウィンに関係ない、ドンキで売っているペラペラで安っぽいコスチュームに日替わりで身を包んでは毎日犯された。
最初は死ぬほど嫌がっていたものの、途中から庄助も興奮してしまっていた。そのチープさとバカっぽさがあまりにも屈辱的で、なんだか最高にエロくて良かった。
そのまま渋谷ハロウィン当日も二人はどっぷりと耽ってしまい、まるで猿のように求めあった。
皮肉にもナースの衣装でめちゃくちゃにされて、半ばベッドで気絶していた庄助は目を覚ますなり、
「嘘やろ、渋ハロ終わっとる」
と絶望して泣いた。
果たしてこれで景虎がコスプレに興味を持ったかは怪しいが、誰よりもハロウィンを楽しんでいたことは確かだ。
そして庄助もまた、持ち帰りの仕事のせいでメガネをかけるようになった景虎に何度も抱かれることによって、
知らんかった。メガネって、エロアイテムやったんや……。
と、逆に刷り込まれてしまったらしい。
庄助は今頃から、来年のハロウィンのリベンジを誓ったのだ。
〈完〉
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