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第二幕
12.プティ・シャノワールに愛の鞭を!②
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ふたりきりで取り残された部屋の中。
外の雨の音は聞こえるが、カーテンは閉め切られてしまっている。
今何時だろうか。縛られた身体で、首を巡らせて時計を探したが、見当たらなかった。
庄助は、景虎に正直に話した。
ヒカリとデートしたこと、向田にここに連れてこられたこと、男の娘ヘルスの研修と称して、変な格好をさせられて知らない男のモノを咥えさせられそうになったこと。
景虎にひどいことをされるくらいなら、ゲロってしまおうと洗いざらい。別に悪いことをしたわけじゃないのだからと、聞かれていないことまで。
なるほど、と静かに頷きながらも、景虎は庄助を縛る手を止めなかった。顔にこそあまり出さないが、ものすごく怒っているのは、最初からオーラで察していた。
でも正直に話したのに! 景虎の理不尽な無体さに憤死しそうだった。
「クソッ! おいカゲ、なあ! 俺、正直に言うたやん! 謝ったやろっ! これ以上なにをすんねん!」
ドレッサーの上で、何かしらガチャガチャと準備をしている景虎の背中に向かって、庄助は大声を張り上げた。
振り向いた景虎の手には、電動マッサージャーが握られている。それを見て、庄助は急に弱腰になった。
「……っへ、部屋をあんまり汚したら、国枝さんに怒られるん、ちゃうかな……」
部屋の内側のドアノブがすでに破壊されているし、色んなところにオッサンたちの血が飛び散っているのに、今さら汚すもへったくれもないとは思ったが、それはそれだった。
向田の持ってきていた黒い鞄の中には、庄助を拘束している手錠や縄をはじめ、人を性的に辱めるための道具がたくさん入っていた。
何に使うつもりだったのかは知りたくもないが、それを使うのが景虎だったのは、庄助にとっての不幸中の幸いか、それとも新たな不幸の始まりなのだろうか。
顎を掴まれると、うっすらと腫れた頬が痛んだ。景虎はいつものように澄ましたキレイな顔をしている。目だけが爛々と怒りに燃えているのに、何も言わないのが余計に怖かった。
目を凝らさないと見えないが、濃紺の作業着のツナギには、血が飛び散っている。庄助は震え上がった。
「やっ……やめろやっ! 変なことすんなよっ!」
比較的自由がきく上半身をぶんぶんと捩るが、だからといってどうなるわけでもない。
景虎は暴れる庄助の、茶色っぽい大きな目が怯えの色に染まっているのをじっと見た。
化粧を施された庄助の頬は、いつもと違う匂いがした。跳ね上げたアイラインがちょうど猫のようで、なるほど衣装に合わせているのか、と景虎は納得した。女の化粧のことはよくわからなかったが、可愛らしいと思った。
猫耳も髪色に馴染んだツインテールもエロい下着も、骨格と筋肉のつき方からして女には見えないが、普段しない格好をしているのは新鮮でいい。
ふにふにと白くて柔らかそうな腹や腿の皮膚が露出していて、エロい。抱きしめたくなる。
……が、それとこれとは別だ。
こんな格好をさせられるに至るまで、下っ端とはいえ仮にも織原組のヤクザが何をしていたのだ、情けない。
というのは建前で。
庄助が他の人間の前で、自分にも見せたことのないようないやらしい格好をして犯されかかった、そのことで景虎は、はらわたが煮えくり返っているのだ。
「いい格好だな、似合ってる。本当に男の娘ヘルスとやらに勤める気だったのか?」
ようやく言葉を発した景虎の声は、わざとらしいほどに冷たかった。
「は……!? そんなわけないやろアホ、ひっ」
つうっと電マの先端の分厚いシリコンで腹を撫でられた。コードの先はドレッサーに繋がっていて、そちらを見ると自然に、庄助は鏡に映った自分の情けない姿を見ることになってしまう。
外の雨の音は聞こえるが、カーテンは閉め切られてしまっている。
今何時だろうか。縛られた身体で、首を巡らせて時計を探したが、見当たらなかった。
庄助は、景虎に正直に話した。
ヒカリとデートしたこと、向田にここに連れてこられたこと、男の娘ヘルスの研修と称して、変な格好をさせられて知らない男のモノを咥えさせられそうになったこと。
景虎にひどいことをされるくらいなら、ゲロってしまおうと洗いざらい。別に悪いことをしたわけじゃないのだからと、聞かれていないことまで。
なるほど、と静かに頷きながらも、景虎は庄助を縛る手を止めなかった。顔にこそあまり出さないが、ものすごく怒っているのは、最初からオーラで察していた。
でも正直に話したのに! 景虎の理不尽な無体さに憤死しそうだった。
「クソッ! おいカゲ、なあ! 俺、正直に言うたやん! 謝ったやろっ! これ以上なにをすんねん!」
ドレッサーの上で、何かしらガチャガチャと準備をしている景虎の背中に向かって、庄助は大声を張り上げた。
振り向いた景虎の手には、電動マッサージャーが握られている。それを見て、庄助は急に弱腰になった。
「……っへ、部屋をあんまり汚したら、国枝さんに怒られるん、ちゃうかな……」
部屋の内側のドアノブがすでに破壊されているし、色んなところにオッサンたちの血が飛び散っているのに、今さら汚すもへったくれもないとは思ったが、それはそれだった。
向田の持ってきていた黒い鞄の中には、庄助を拘束している手錠や縄をはじめ、人を性的に辱めるための道具がたくさん入っていた。
何に使うつもりだったのかは知りたくもないが、それを使うのが景虎だったのは、庄助にとっての不幸中の幸いか、それとも新たな不幸の始まりなのだろうか。
顎を掴まれると、うっすらと腫れた頬が痛んだ。景虎はいつものように澄ましたキレイな顔をしている。目だけが爛々と怒りに燃えているのに、何も言わないのが余計に怖かった。
目を凝らさないと見えないが、濃紺の作業着のツナギには、血が飛び散っている。庄助は震え上がった。
「やっ……やめろやっ! 変なことすんなよっ!」
比較的自由がきく上半身をぶんぶんと捩るが、だからといってどうなるわけでもない。
景虎は暴れる庄助の、茶色っぽい大きな目が怯えの色に染まっているのをじっと見た。
化粧を施された庄助の頬は、いつもと違う匂いがした。跳ね上げたアイラインがちょうど猫のようで、なるほど衣装に合わせているのか、と景虎は納得した。女の化粧のことはよくわからなかったが、可愛らしいと思った。
猫耳も髪色に馴染んだツインテールもエロい下着も、骨格と筋肉のつき方からして女には見えないが、普段しない格好をしているのは新鮮でいい。
ふにふにと白くて柔らかそうな腹や腿の皮膚が露出していて、エロい。抱きしめたくなる。
……が、それとこれとは別だ。
こんな格好をさせられるに至るまで、下っ端とはいえ仮にも織原組のヤクザが何をしていたのだ、情けない。
というのは建前で。
庄助が他の人間の前で、自分にも見せたことのないようないやらしい格好をして犯されかかった、そのことで景虎は、はらわたが煮えくり返っているのだ。
「いい格好だな、似合ってる。本当に男の娘ヘルスとやらに勤める気だったのか?」
ようやく言葉を発した景虎の声は、わざとらしいほどに冷たかった。
「は……!? そんなわけないやろアホ、ひっ」
つうっと電マの先端の分厚いシリコンで腹を撫でられた。コードの先はドレッサーに繋がっていて、そちらを見ると自然に、庄助は鏡に映った自分の情けない姿を見ることになってしまう。
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