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第二幕
5.虎に耽溺⑧*
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「あう、あっ……んぅうっ! ゔうー……っ」
休む間もなく尻の穴が拡がって、粘膜がめくれ上がるところを見られながら穿たれる。
「う……っ! なぁ、庄助のナカ、きゅうきゅう締まって、チンポ引き込んでくるみたいだ」
「あ~っ……! もうナカ……イヤやぁ……はああっ」
恥ずかしいことを言われても、諦めたように頭を垂れて、人形みたいになすがままになる。
庄助は、この瞬間が好きだった。
普段男として生きている限り知り得なかった、力の強いものに降伏する。
被捕食者の、歪んだ愉悦に脳みそが満たされる。
死ぬ寸前に出る、脳内麻薬って感じや……。
景虎とのセックスで、庄助はどうにもくせになってしまっているみたいだ。
捕食者に腹を見せて、はらわたをえぐられて、疑似死を体験する快楽。
自分にそんな“ケ”があるなんて思わない。
が、どばどばと耳の裏をドーパミンが流れていくような錯覚を覚えるほど、景虎との行為は気持ちが良く、抗いがたかった。
涙で滲んだ目を開いて、景虎の顔を見る。存外、余裕がなさそうな呼吸を漏らす唇の形や、額に張り付く髪の筋を見る。
興奮してる。カゲ、俺に欲情してる。ほんま、へんなやつ。
自分を独占したがる景虎の欲望が、庄助にとっては恐ろしくも、心地よかった。
「はが……っ、あぁあ゙……やぁっ」
気持ちいいところを太い先端でゆっくり潰された。雁首でしこりを引っ掛けるように腰を引かれると、また腰のあたりに、あのさっきの絶頂のゲージのようなものが、急速に溜まってゆくのを感じる。
「あッ、それぇ……! カゲ、やめ」
「はぁっ……庄助のケツの中、溶けてるみたいに熱くて柔らかいな。これぐらい時間をかけてほぐすのも悪くない」
「ああっ、あ!? あ゙~~~っ!」
煮溶けたみたいなぐずぐずの穴を掘られて、庄助はまたすぐに上り詰めてゆく。
肉のぶつかる音も、だらしなく開いた直腸から漏れる粘液と空気の音も、恥ずかしくてやらしくていい。
「あっ、あ……! んっう、きもちい……! カゲっ、気持ちいいから、もうっ……お゙……っ」
泣いている間にまた吹き出す精液は、さっきより薄い色をしている。
いつも庄助を壊すような勢いでがっついてくるセックスとは違う、慈しむようなセックスは、とろけるみたいに気持ちよくて、これはこれで死ぬ。と、庄助は思う。
「愛してる、庄助。ほんとはこの家の中に縛り付けて、ずっと可愛がってやりたいくらいだ……」
意識を手放す少し前、庄助の耳の中に、景虎の囁きが滑り込んできた。
とんでもない台詞なのに、どこか切実な響きをはらんでいた。
怖い。庄助は思う。
自分の身体が、景虎の好きなように作り変えられてゆくのも怖いが、それだけではない。
たまに、彼のこころに深く触れたくなる。それは性欲とはまた別のたぐいの欲望だった。
景虎の深淵に触れて、幻滅するくらいならまだいい。でも、もっと夢中になってしまったらどうしよう。
身体以外に差し出せるものがないのに、もうハナから手持ちの切り札を使ってしまったような心地だ。
自分には何もない。それを景虎に悟られたくない。
あとがないのに、ずぶずぶと落ちていく欲望の沼の、その深さが怖かった。
限りなく性欲に似ているけれど、もっと手が届かなくて切ない、その欲望の名前を、庄助も本当は知っているはずなのに。
俺の化けの皮が剥がれませんように。
ひっそりそう願ってしまうほどには、景虎のことを思ってしまっている。
もう、とうに手遅れだった。
休む間もなく尻の穴が拡がって、粘膜がめくれ上がるところを見られながら穿たれる。
「う……っ! なぁ、庄助のナカ、きゅうきゅう締まって、チンポ引き込んでくるみたいだ」
「あ~っ……! もうナカ……イヤやぁ……はああっ」
恥ずかしいことを言われても、諦めたように頭を垂れて、人形みたいになすがままになる。
庄助は、この瞬間が好きだった。
普段男として生きている限り知り得なかった、力の強いものに降伏する。
被捕食者の、歪んだ愉悦に脳みそが満たされる。
死ぬ寸前に出る、脳内麻薬って感じや……。
景虎とのセックスで、庄助はどうにもくせになってしまっているみたいだ。
捕食者に腹を見せて、はらわたをえぐられて、疑似死を体験する快楽。
自分にそんな“ケ”があるなんて思わない。
が、どばどばと耳の裏をドーパミンが流れていくような錯覚を覚えるほど、景虎との行為は気持ちが良く、抗いがたかった。
涙で滲んだ目を開いて、景虎の顔を見る。存外、余裕がなさそうな呼吸を漏らす唇の形や、額に張り付く髪の筋を見る。
興奮してる。カゲ、俺に欲情してる。ほんま、へんなやつ。
自分を独占したがる景虎の欲望が、庄助にとっては恐ろしくも、心地よかった。
「はが……っ、あぁあ゙……やぁっ」
気持ちいいところを太い先端でゆっくり潰された。雁首でしこりを引っ掛けるように腰を引かれると、また腰のあたりに、あのさっきの絶頂のゲージのようなものが、急速に溜まってゆくのを感じる。
「あッ、それぇ……! カゲ、やめ」
「はぁっ……庄助のケツの中、溶けてるみたいに熱くて柔らかいな。これぐらい時間をかけてほぐすのも悪くない」
「ああっ、あ!? あ゙~~~っ!」
煮溶けたみたいなぐずぐずの穴を掘られて、庄助はまたすぐに上り詰めてゆく。
肉のぶつかる音も、だらしなく開いた直腸から漏れる粘液と空気の音も、恥ずかしくてやらしくていい。
「あっ、あ……! んっう、きもちい……! カゲっ、気持ちいいから、もうっ……お゙……っ」
泣いている間にまた吹き出す精液は、さっきより薄い色をしている。
いつも庄助を壊すような勢いでがっついてくるセックスとは違う、慈しむようなセックスは、とろけるみたいに気持ちよくて、これはこれで死ぬ。と、庄助は思う。
「愛してる、庄助。ほんとはこの家の中に縛り付けて、ずっと可愛がってやりたいくらいだ……」
意識を手放す少し前、庄助の耳の中に、景虎の囁きが滑り込んできた。
とんでもない台詞なのに、どこか切実な響きをはらんでいた。
怖い。庄助は思う。
自分の身体が、景虎の好きなように作り変えられてゆくのも怖いが、それだけではない。
たまに、彼のこころに深く触れたくなる。それは性欲とはまた別のたぐいの欲望だった。
景虎の深淵に触れて、幻滅するくらいならまだいい。でも、もっと夢中になってしまったらどうしよう。
身体以外に差し出せるものがないのに、もうハナから手持ちの切り札を使ってしまったような心地だ。
自分には何もない。それを景虎に悟られたくない。
あとがないのに、ずぶずぶと落ちていく欲望の沼の、その深さが怖かった。
限りなく性欲に似ているけれど、もっと手が届かなくて切ない、その欲望の名前を、庄助も本当は知っているはずなのに。
俺の化けの皮が剥がれませんように。
ひっそりそう願ってしまうほどには、景虎のことを思ってしまっている。
もう、とうに手遅れだった。
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