196 / 196
魔女狩りの日
星空を見上げて2
しおりを挟む
「こうやってのんびり過ごすのも素敵だね。これからもこんな生活したいなぁ。命を懸けた戦いはもういいよ」
「そんなこと言ってられねぇぞ?金を稼がないと食っていけない……借金もあるしな」
「ああ、マギーが雇った傭兵の代金か」
「ケチくさい野郎だ。普通は『君が無事で良かったよフェスター!これからもいい関係でいようじゃないか!』のひと言で終わりなのによ。あいつ端数すらまけなかったからな」
「しょうがないよ。感謝しなくちゃ。マギーのおかげでフェスターは生きてるんだよ?」
「それはわかってるよ。しかし……金が足りねぇ。すぐにでも仕事をしたいが、まずはローズのところに行かないとな」
「ローズさん?どうしてです?」
「戦いの後リプリーに寄るよう言われたんだ」
「寄るのか?お前にしては素直だな」
「行かないとマギーの地下街を壊滅させるとよ」
「それは怖いな。しかしなんでマギーの街を壊すんだろう?意味が分からない」
「まぁあの町が消えてくれたら俺の借金も消えるから悪いことばかりじゃないな」
「でもお仕事がなくなるから長期的な得にはなりませんよね?」
「……お前はいつも真面目で助かる。心がシャキッとするよ」
「仕方ないよ、1つずつ片付けていこう?まずフェスターはローズとヤッてご機嫌を取る。その後マギーのところに行ってお仕事受けてお金を返すんだ」
「俺のちんぽを何だと思ってやがる」
「私の城の宝があったろう?あれをマギーに売ればいい。完済は出来なくともけっこうな足しになるだろう」
「ああ……あれはもう先約がいるんだよ」
「なに!?聞いてないぞ!一体何に使ったんだ!?酒とタバコか!?」
思わずコトネはフェスターの耳元で吠えた。
フェスターは耳を塞ぐ。
「うるせぇよ。鼓膜が破れるだろうが」
「すぐに治るだろお前は!何に使った!?」
フェスターは言い渋っていたが、観念して白状する。
「アンナへの頼み事に使った。俺たちがエレノアを殺したときに支払う手筈になってる」
「頼み事?」
「お前らを……殺さないでくれって頼んだ。あいつは引き受けたよ、依頼じゃないから後払いもOKしてくれた。お前らを殺さないだけで大金が手に入るんだ、やつとしても引き受けない道理はなかったんだろう」
「フェスター……」
「それと……ついでに言っておくけどよ。ありがとな。お前らのおかげで助かった。エレノアを殺せて……本当の意味で自由になれたよ。感謝してる」
フェスターの素直な礼に、テンたちはニヤついた。
自分達を想う気持ちと、そして彼の本心を聞けて嬉しかったのだ。
「……私たち、ずっとフェスターといるよ。カーラさんともう1度会えるといいね」
「……ああ、絶対に叶えるよ」
フェスターは優しい声色でそう言った。
そしてテンの顔を彼は見つめた。
「あの時のお前の力……なんなんだろうな?」
「私も分からない。たぶん禁薬の効果だと思う」
「ありゃ魔法じゃねぇ。たぶんの呪いの類だ……お前何飲んだんだ?」
「だから分からないって」
「ふん……だがランファンは呪いと神秘が同居している国だ。お前が飲んだ薬もそうだが、他にも人智を越えた力が山ほどあるはず……」
「じゃあ行ってみようよ、ランファンに。死者蘇生の術があるかもしれない」
「……いいのか?お前あそこから逃げてきたんだろ?それに……友達も亡くしたって言ってたじゃねぇか」
「へぇ、そんな気遣いできるんだぁ」
「うるせぇよ」
「気にしないよ。私たちはフェスターのおかげで生き延びられたし、こうやって楽しく過ごせてる……協力させてよ」
フェスターはテンの言葉を聞き、照れ隠しにタバコに火をつけた。
白い煙は暗い空に消えていく……
「しょうがねぇ。体も売れないような可愛くない女たちをほっぽり出すのも寝覚めが悪いからな。館に置いといてやるよ」
「素直なフェスターのほうが可愛いよ」
「うるせぇよ。とにかく金だ。世知辛いが貧乏人に選択肢はないってことだな。借金返して、それから本格的に死者蘇生の情報を集める。明日から忙しくなるぞ」
「ならないでしょ。まずフェスターはローズとヤらなきゃいけないんだから」
「クソ……気が重くなるな」
そう言いつつもフェスターは微笑みを浮かべている。
今まで手に入らなかった仲間と、これからも日々を過ごせる事実が彼の心を温めているのだ。
「まぁ……綺麗な星だよな」
フェスターは夜空を見上げ、そう呟いた。
「そんなこと言ってられねぇぞ?金を稼がないと食っていけない……借金もあるしな」
「ああ、マギーが雇った傭兵の代金か」
「ケチくさい野郎だ。普通は『君が無事で良かったよフェスター!これからもいい関係でいようじゃないか!』のひと言で終わりなのによ。あいつ端数すらまけなかったからな」
「しょうがないよ。感謝しなくちゃ。マギーのおかげでフェスターは生きてるんだよ?」
「それはわかってるよ。しかし……金が足りねぇ。すぐにでも仕事をしたいが、まずはローズのところに行かないとな」
「ローズさん?どうしてです?」
「戦いの後リプリーに寄るよう言われたんだ」
「寄るのか?お前にしては素直だな」
「行かないとマギーの地下街を壊滅させるとよ」
「それは怖いな。しかしなんでマギーの街を壊すんだろう?意味が分からない」
「まぁあの町が消えてくれたら俺の借金も消えるから悪いことばかりじゃないな」
「でもお仕事がなくなるから長期的な得にはなりませんよね?」
「……お前はいつも真面目で助かる。心がシャキッとするよ」
「仕方ないよ、1つずつ片付けていこう?まずフェスターはローズとヤッてご機嫌を取る。その後マギーのところに行ってお仕事受けてお金を返すんだ」
「俺のちんぽを何だと思ってやがる」
「私の城の宝があったろう?あれをマギーに売ればいい。完済は出来なくともけっこうな足しになるだろう」
「ああ……あれはもう先約がいるんだよ」
「なに!?聞いてないぞ!一体何に使ったんだ!?酒とタバコか!?」
思わずコトネはフェスターの耳元で吠えた。
フェスターは耳を塞ぐ。
「うるせぇよ。鼓膜が破れるだろうが」
「すぐに治るだろお前は!何に使った!?」
フェスターは言い渋っていたが、観念して白状する。
「アンナへの頼み事に使った。俺たちがエレノアを殺したときに支払う手筈になってる」
「頼み事?」
「お前らを……殺さないでくれって頼んだ。あいつは引き受けたよ、依頼じゃないから後払いもOKしてくれた。お前らを殺さないだけで大金が手に入るんだ、やつとしても引き受けない道理はなかったんだろう」
「フェスター……」
「それと……ついでに言っておくけどよ。ありがとな。お前らのおかげで助かった。エレノアを殺せて……本当の意味で自由になれたよ。感謝してる」
フェスターの素直な礼に、テンたちはニヤついた。
自分達を想う気持ちと、そして彼の本心を聞けて嬉しかったのだ。
「……私たち、ずっとフェスターといるよ。カーラさんともう1度会えるといいね」
「……ああ、絶対に叶えるよ」
フェスターは優しい声色でそう言った。
そしてテンの顔を彼は見つめた。
「あの時のお前の力……なんなんだろうな?」
「私も分からない。たぶん禁薬の効果だと思う」
「ありゃ魔法じゃねぇ。たぶんの呪いの類だ……お前何飲んだんだ?」
「だから分からないって」
「ふん……だがランファンは呪いと神秘が同居している国だ。お前が飲んだ薬もそうだが、他にも人智を越えた力が山ほどあるはず……」
「じゃあ行ってみようよ、ランファンに。死者蘇生の術があるかもしれない」
「……いいのか?お前あそこから逃げてきたんだろ?それに……友達も亡くしたって言ってたじゃねぇか」
「へぇ、そんな気遣いできるんだぁ」
「うるせぇよ」
「気にしないよ。私たちはフェスターのおかげで生き延びられたし、こうやって楽しく過ごせてる……協力させてよ」
フェスターはテンの言葉を聞き、照れ隠しにタバコに火をつけた。
白い煙は暗い空に消えていく……
「しょうがねぇ。体も売れないような可愛くない女たちをほっぽり出すのも寝覚めが悪いからな。館に置いといてやるよ」
「素直なフェスターのほうが可愛いよ」
「うるせぇよ。とにかく金だ。世知辛いが貧乏人に選択肢はないってことだな。借金返して、それから本格的に死者蘇生の情報を集める。明日から忙しくなるぞ」
「ならないでしょ。まずフェスターはローズとヤらなきゃいけないんだから」
「クソ……気が重くなるな」
そう言いつつもフェスターは微笑みを浮かべている。
今まで手に入らなかった仲間と、これからも日々を過ごせる事実が彼の心を温めているのだ。
「まぁ……綺麗な星だよな」
フェスターは夜空を見上げ、そう呟いた。
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
6年3組わたしのゆうしゃさま
はれはる
キャラ文芸
小学六年の夏
夏休みが終わり登校すると
クオラスメイトの少女が1人
この世から消えていた
ある事故をきっかけに彼女が亡くなる
一年前に時を遡った主人公
なぜ彼女は死んだのか
そして彼女を救うことは出来るのか?
これは小さな勇者と彼女の物語
ニンジャマスター・ダイヤ
竹井ゴールド
キャラ文芸
沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。
大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。
沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。
俺は改造人間
鈴木りん
キャラ文芸
俺の名は改造人間「カピバランZ」。職業は悪の秘密組織「ウルトラ・ショッカー」の怪人である。テーマは「男の背中」。
これは、ある日突然に改造人間となった男「恩田正男」の、悲しくも切ない人生ドラマである。
(なお、本作は2016.06、アルファポリス第7回ドリーム小説大賞 大賞候補作品を大幅改定したものです)
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
神様ふたりに溺愛されています!
yuki
キャラ文芸
前世の私が遺したある『お願い事』。
それを叶えるために、2人の神様が私の元へやってきた。
私のことを愛してやまない神様2人と一緒に暮らすことになって……?
私、上原千夜(うえはら ちよ)は霊感が強い高校三年生。
子どもの頃から霊としゃべったり、憑依された人に散々な目に遭わされてきた。
そのせいで彼氏もできず、男運サイアク!だと思っていたけれど。
18歳になる誕生日に、憑依された人に殺されそうになったところを、2人のイケメンな神様が助けてくれた。
その2人は、前世の私が死ぬ間際に願った事を叶えにきたのだった。
2人が聞き取れなかった願い事の一部を、現世の私が思い出すまで、同居生活をすることに!
しかも、その間に2人の神様のことを、異性として好きにならなくちゃいけない!?
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる