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魔女狩りの日

屍人の過去1

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「ここは……」

テンはキョロキョロとあたりを見回す。
ここは先ほどまでいた魔術学園ではない。
無惨なほどに破壊されている町だ。
身なりの綺麗な住人たちは、叫びながら逃げ惑っている。
悲鳴と怒声だけがこの町を賑やかしていた。

「どういうこと?私はどこにいるの?」

テンは混乱していた。
いきなり瞬間移動して、見知らぬ場所に立っているのだから当然だ。

「フェスターはどこ……ねぇ聞きたいことがあるんだけど!」

テンは走り回る住人たちに呼びかける。
だがみなテンのことなど眼中になく、歪んだ表現で逃げるのをやめない。

「意味わかんない……」

テンが呟くと、聞き覚えのある咆哮が聞こえてきた。
あれはフェスターの声だ。
テンは声が聞こえた方に向かって走り出す。
声に近づいていくと、上空に家屋が3つ上昇していくのを発見した。
あれは彼の浮遊魔法だ。
家屋は高く舞い上がり、そして一気に地上に落ちて激突する。
激しい破壊音がテンの耳をつんざいた。

「これ全部フェスターがやったの……?」

テンはさらに急ぎ、フェスターのもとまで駆けた。
そしてようやく彼を見つける。
フェスターは身体中から黒い泥を流しながら、魔法で住人たちの命を奪っている

「フェスターやめて!」

フェスターはこの町でもひと際大きな屋敷に向かって歩いている。
彼が屋敷のドアに手を伸ばしたとき、テンは彼の背中を抱きしめて止めようとした。
しかしその手は彼に触れることはできなかった。
まるで残像を触るように、テンの手がすり抜けたのだ。

「フェスター?ねぇ聞こえてる!?」

テンが必死に呼びかけても、フェスターは見向きもしない。
彼はドアを壊し、足音を鳴らして中に入った。
屋敷の中を手当たり次第に魔法で荒らしながら、フェスターは闊歩する。
屋敷の住人を片端から殺し、そして生き残った1人の男の右脚を焼く。
テンはその残虐な舞台を見ていることしかできない。

「な、なんだお前は……この町になんの恨みがある!?」
「ここなんだ……」
「は、はぁ?」
「ここだよな?おい……そう聞いたんだ」

涙をダラダラと流す男は、目の前の怪物に恐れ小便を漏らした。
フェスターは荒れ果てた屋敷を見回し、首を捻る。

「どこだ?」
「な、何がだ!?」
「カーラだ……ここにいるんだろ?出してくれないか?」
「だ、誰のことだ!?」

フェスターは奇声をあげながら男の体を素手で引きちぎった。
真っ赤な血溜まりを作って男は死んだ。
その光景を家具の陰から覗いていた男は、恐怖に耐えられなくなって走り出した。
もう1人の男の存在に気づいたフェスターは、彼に雷を浴びせて動きを止める。
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