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魔女狩りの日

魔女狩り2

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「吸血鬼……霧化?厄介だね」

エレノアは呟き、体のまわりにシールドを張った。
これならオスカーは攻撃できないと思った。
しかしすぐにシールドは壊される。
怒りを込めたテンの拳が、1撃で叩き破ったのだ。

「すごいね、君たち」
「はぁぁ!!」

テンは気合いを入れて叫び、左のボディブローをエレノアに叩き込んだ。
あまりの威力にエレノアは呻く。

「まだ終わらないよ!!」

テンがエレノアの顔を殴ろうとする。
エレノアは微笑んで手のひらに火球を生み出した。
放たれた火球はテンの腹に直撃し、彼女を大きく後方に吹き飛ばした。
エレノアからかなりの距離が離れたところで、火球は爆発する。

「アンデッドなのにあんなに知能が高いなんて……興味があるなぁ」

テンとの距離を離しても、エレノアのそばにはオスカーがいる。
彼女はフェスターに言われたとおり、ヒットアンドアウェイの戦法で着実にダメージを与えていく。

「ハエじゃないんだから。鬱陶しいなぁ」

エレノアは氷魔法で様々な武器を作り出した。
その武器たちはエレノアの周辺に浮いている。

「ほら、攻撃してみなよ」

クスッと笑ってエレノアは挑発した。
オスカーに霧になったまま攻めあぐねている。

「ほらほらどうしたのぉ?突っ立てても勝てないよ?あ、浮いてるのか」
「オスカー!気にせず攻撃しろ!」

フェスターは金属片を押さえながら、エレノアの氷で作られた武器も押さえる。
彼は魔力と集中力を極限にまで高め、エレノアに抵抗している。

「……私が与えた力はそんなものじゃないはずだよ。やっぱり私と時間を過ごしたほうがよかった。そのほうが君は強くなれた」

エレノアは魔力をさらに強めた。
均衡していたフェスターと彼女の魔法の力関係が一気に変わる。
金属片も氷魔法も、全てエレノアの支配下に置かれる。
エレノアは金属片を手当たり次第にフェスターに向かって放つ。
フェスターはシールドを張って防ぐが、あまりの威力に長くは持ちそうにない。

「くっ!」
「ほら君もボケッとしてないで戦わないと。ピクニックにきたわけじゃないんでしょ?」

エレノアは何もしてこないオスカーに言った。
オスカー自身も、このままでは何もならないとは思っている。
だがエレノアのまわりに浮かぶ氷魔法を警戒して動けない。
彼女の霧化の性質上、攻撃する時には肉体を晒す必要がある。
そのときに氷魔法で攻撃されてはひとたまりもない。

「ほんとに来ないの?私を殺さないと、フェスターくんは死んじゃうよ?」

エレノアに彼を殺すつもりなどない。
だが鬱陶しいオスカーを早めに処理するために嘘をついた。
オスカーはその言葉を聞き、彼女の予想通り無謀な攻撃に身を任せる。
霧のままエレノアの懐に入り、肉体を晒す。
オスカーは爪で切り上げた。
エレノアは左腕でその攻撃を防ぐ。
それで終わりだった。
エレノアはオスカーが攻撃した瞬間、カウンターで氷の刃を突き刺すつもりだ。
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