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魔女狩りの日
作戦会議2
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「確かに研究をするならばもってこいだ。しかしあそこに攻めいるのか?」
「フェスターがいるのだから仕方ないだろう……これまでどこが攻めても落とせなかった城だ。殲滅は考えないほうがいい、彼を助けたらすぐに逃げ出そう」
「腑抜けめ、わしのフェスターに手を出したのだぞ?皆殺しに決まっておろう」
「まぁまぁローズさん。奴らをみんな殺しても得などありませんよ、落ち着いてください」
「すでに損得の域を越えておる……わしに意見する気か?」
ローズはギロッとマギーを睨みつけた。
彼は愛想笑いをしている。
「ローズさんの気持ちは分かりますが、あくまでもフェスターの救出が優先です」
マギーは学園に攻め入るにあたって、戦略を説明した。
テンたちは真剣な顔で、彼の話を聞く。
「あの学園が支配する町と合わせて、あそこは守られている。シールドによってね」
「シールド?」
「町のちょうど中央に、大きな結晶があるんだ。その結晶は膨大な魔力を宿していてね、町を囲むように魔法のシールドを張っている」
「それは破れそうなのか?」
「かなり厳しい。シールドを壊してもすぐに再生するし、無理に突破しようとしてもシールドの跳ね返そうとする力で並の人間なら体がボロボロになる」
「それじゃ攻められないじゃないか。すぐに再生するんだろうその守りは。僕たちは1000人近い人数で町に入ろうっていうのに、ほとんどが入る前にやられてしまうんじゃないか?」
「その通り、せっかく集めた兵も無駄になる。だからシールドを先に破壊しようと考えているんだ」
「シールドを……あっ水晶を破壊するんだね?」
テンの答えに、マギーは頷いた。
「しかしそれこそ困難な道だろ。水晶は町の中にあるんだからまずシールドを抜けないといけない。そして魔術師がそこら中にいる敵地で水晶を壊すなんて……」
「私なら魔法もすり抜けられると思う。私に任せてくれないか?」
オスカーはマギーに提案した。
「もちろん君の能力には期待している。しかし火力が足りない、水晶は家ほどの大きさなんだ。それに硬い、君のパワーでは壊す前に敵に倒される可能性が高い」
「むぅ……」
「ふん、わしの出番というわけだな?」
面白くなさそうにローズは言った。
マギーはニコリと笑う。
「ええ。あのシールドを抜けて、敵を倒しながら水晶にたどり着き、そして壊すことができるのはあなたくらいだ」
「見え透いた世辞はよせ。フェスターを助けるためじゃ、なんでもやるわ」
「私も行くよ。不死身だし、パワーもあるから手伝えると思う」
「頼もしいね、では決まりだ。3人が町に侵入、水晶を壊してシールドを無効化する。その後は無防備になった町を囲んでいた兵たちで襲う。少しシンプルで杜撰な作戦だが、私が集めた兵に複雑なことは理解できないし、連携も取れない。とにかく物量で押すんだ」
「概要はわかった。それで敵の戦力は?」
「情報が少ないのでなんとも言えない。町にいる人間が全員魔術師というわけではないし、魔術を習っている者も学園のために命を懸ける人間は少ないだろう。こちらの戦況が有利になれば、逃げる者も大勢出るはずだ。それより問題は……」
「エレノアじゃな?」
「その通りです。彼女も逃げてくれれば万々歳ですが、そう上手くはいかないでしょう」
「問題ない、わしが捻り潰してくれるわ」
自信満々に言うローズを、マギーは真剣に見つめる。
「なんじゃジロジロ見おって。気色悪いぞ」
「ローズさん、それにテンとオスカー。君たちに重要な役目を押し付けてしまってすまないな。君たちが失敗すれば作戦は中止、もし成功しても絶対に傷は負う……万全な状態で攻め入りたかったが、この方法しかないんだ」
「何を深刻ぶった顔してるのじゃ。わしは失敗などしないし、雑魚が何匹来ようがわしの相手ではない。貴様に心配される謂れはないわ」
「そうだよマギーが心配しないで!私たちなら大丈夫だよ」
「そうか……気をつけるんだよ」
マギーの声には不安が残っていた。
彼女たちがいくら強いとはいえ、国も手を出しあぐねている魔術師の巣窟に3人だけ送り込むなど狂気の沙汰だと知っているから。
それでも彼は、彼女たちに頼むしかない。
「あ、あの」
今まで顔を伏していたミユが小さく手を上げる。
みな彼女を見た。
怖い気持ちはもちろんある、だがミユはもう逃げたくなかった。
恩人であるフェスターを、必ず助けたかったのだ。
「その役目、私に任せてもらえませんか?」
彼女の言葉を聞き、マギーは目を丸くした。
「フェスターがいるのだから仕方ないだろう……これまでどこが攻めても落とせなかった城だ。殲滅は考えないほうがいい、彼を助けたらすぐに逃げ出そう」
「腑抜けめ、わしのフェスターに手を出したのだぞ?皆殺しに決まっておろう」
「まぁまぁローズさん。奴らをみんな殺しても得などありませんよ、落ち着いてください」
「すでに損得の域を越えておる……わしに意見する気か?」
ローズはギロッとマギーを睨みつけた。
彼は愛想笑いをしている。
「ローズさんの気持ちは分かりますが、あくまでもフェスターの救出が優先です」
マギーは学園に攻め入るにあたって、戦略を説明した。
テンたちは真剣な顔で、彼の話を聞く。
「あの学園が支配する町と合わせて、あそこは守られている。シールドによってね」
「シールド?」
「町のちょうど中央に、大きな結晶があるんだ。その結晶は膨大な魔力を宿していてね、町を囲むように魔法のシールドを張っている」
「それは破れそうなのか?」
「かなり厳しい。シールドを壊してもすぐに再生するし、無理に突破しようとしてもシールドの跳ね返そうとする力で並の人間なら体がボロボロになる」
「それじゃ攻められないじゃないか。すぐに再生するんだろうその守りは。僕たちは1000人近い人数で町に入ろうっていうのに、ほとんどが入る前にやられてしまうんじゃないか?」
「その通り、せっかく集めた兵も無駄になる。だからシールドを先に破壊しようと考えているんだ」
「シールドを……あっ水晶を破壊するんだね?」
テンの答えに、マギーは頷いた。
「しかしそれこそ困難な道だろ。水晶は町の中にあるんだからまずシールドを抜けないといけない。そして魔術師がそこら中にいる敵地で水晶を壊すなんて……」
「私なら魔法もすり抜けられると思う。私に任せてくれないか?」
オスカーはマギーに提案した。
「もちろん君の能力には期待している。しかし火力が足りない、水晶は家ほどの大きさなんだ。それに硬い、君のパワーでは壊す前に敵に倒される可能性が高い」
「むぅ……」
「ふん、わしの出番というわけだな?」
面白くなさそうにローズは言った。
マギーはニコリと笑う。
「ええ。あのシールドを抜けて、敵を倒しながら水晶にたどり着き、そして壊すことができるのはあなたくらいだ」
「見え透いた世辞はよせ。フェスターを助けるためじゃ、なんでもやるわ」
「私も行くよ。不死身だし、パワーもあるから手伝えると思う」
「頼もしいね、では決まりだ。3人が町に侵入、水晶を壊してシールドを無効化する。その後は無防備になった町を囲んでいた兵たちで襲う。少しシンプルで杜撰な作戦だが、私が集めた兵に複雑なことは理解できないし、連携も取れない。とにかく物量で押すんだ」
「概要はわかった。それで敵の戦力は?」
「情報が少ないのでなんとも言えない。町にいる人間が全員魔術師というわけではないし、魔術を習っている者も学園のために命を懸ける人間は少ないだろう。こちらの戦況が有利になれば、逃げる者も大勢出るはずだ。それより問題は……」
「エレノアじゃな?」
「その通りです。彼女も逃げてくれれば万々歳ですが、そう上手くはいかないでしょう」
「問題ない、わしが捻り潰してくれるわ」
自信満々に言うローズを、マギーは真剣に見つめる。
「なんじゃジロジロ見おって。気色悪いぞ」
「ローズさん、それにテンとオスカー。君たちに重要な役目を押し付けてしまってすまないな。君たちが失敗すれば作戦は中止、もし成功しても絶対に傷は負う……万全な状態で攻め入りたかったが、この方法しかないんだ」
「何を深刻ぶった顔してるのじゃ。わしは失敗などしないし、雑魚が何匹来ようがわしの相手ではない。貴様に心配される謂れはないわ」
「そうだよマギーが心配しないで!私たちなら大丈夫だよ」
「そうか……気をつけるんだよ」
マギーの声には不安が残っていた。
彼女たちがいくら強いとはいえ、国も手を出しあぐねている魔術師の巣窟に3人だけ送り込むなど狂気の沙汰だと知っているから。
それでも彼は、彼女たちに頼むしかない。
「あ、あの」
今まで顔を伏していたミユが小さく手を上げる。
みな彼女を見た。
怖い気持ちはもちろんある、だがミユはもう逃げたくなかった。
恩人であるフェスターを、必ず助けたかったのだ。
「その役目、私に任せてもらえませんか?」
彼女の言葉を聞き、マギーは目を丸くした。
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