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魔女狩りの日
ローズの恋2
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「あいつは強く、手下たちを倒してわしのもとへやってきた。あいつは本気でわしを殺そうとしていた……もちろんわしは負けたりしなかった、フェスターを完膚なきまでに叩きのめしたよ。それでもあいつ……わしを睨むのをやめなくてな、興味が湧いて飼ってみることにした」
「飼う?」
「わしの慰み者にした。毎日愛の言葉を囁いて体を温めあった。そのときは戯れじゃった。わしに好意を持ったとき、あいつの首を刎ねてやろうと思ってた。だがあいつはいつまで経ってもわしに靡かなくてな、強情な男じゃった」
「それで?」
「言わなくてもわかるだろう。わしが惚れてしまった!」
何が言わなくてもわかるのかよく分からなかったが、テンたちは「へぇ」なんて言って場を濁す。
「けっこう可愛いところあるんだな」
「そうじゃろうそうじゃろう!わしも乙女だからな!あいつとの交わりは鮮明に覚えている。優しい言葉を耳元で紡ぎ、入念な愛撫をして、やつの男根を食らった。あいつは何発もわしの中で出した……それでもわしを睨みつけていた」
「何を中で出したんだ?」
コトネは首を捻りながら聞いた。
ミユの顔が赤くなる。
「精液に決まっておろう」
「彼アンデッドなのに精液が出るんだな」
「も、もういいでしょその話は!」
ローズとオスカーが平気な顔で言うので、ミユは止めた。
「まぁだが……1番の魅力はあの眼だな。力ではわしに勝てるわけがないのだが、あの鋭く見ただけで切り裂かれそうな眼が……わしは好きじゃった。世界の全てを恨めしく思っていたのだろうか?濁り、されど熱い双眸じゃった……」
ローズはぎゅとベッドの布団を握りしめた。
彼女の顔はすでに下僕を統べる女王のものではない。
想い人に恋焦がれる女の表情だった。
「わしはあの女狐から必ずフェスターを奪い返す。貴様らも命を懸けて戦え。腑抜けた動きなどしたらただじゃおかんぞ」
「分かってるよ、私たちも同じ気持ちだから」
「ふん。ではわしはしもべの様子でも見に行くか、体を休めておけ」
キリッとした目つきでそう言ったローズは、フェスターの枕を小脇に抱えた。
「枕はもらっていくぞ」
それだけ言って彼女は部屋から出て行った。
「ローズ、本当にフェスターのこと好きなんだね」
「どうしてあそこまでフェスターに入れ込めるのか僕にはわからないがな」
「え?フェスターさんかっこいいよ」
「ま、まさかミユ……君フェスターのこと……」
「何度も助けてくれたし、ぶっきらぼうだけど優しいところもあって……」
「お、おいミユ!目を覚ませ!君は今混乱してるんだ!」
「オスカーはどう?フェスターのこと恋愛的に見て」
「私か?そうだな……確かに彼はいい顔つきをしているよ。博識だし魅力的だ。まぁ顔は好みではないが」
「いい顔つきだって言ったじゃん」
「ああ、いい顔つきだよ。でも好みじゃない」
「ふふ」
「君はどうなんだテン。1番長く彼と一緒にいるんだろう?」
「私あの人に実験されてるんだよ?好きになったりすると思う?」
「わからないじゃないか。愛情の裏返しかもしれないよ」
「なんで実験が愛情の裏返しなの?」
テンはクスクスと笑った。
「なぁテン。これ何か知ってるか?」
コトネがテンに聞いた。
彼女はフェスターのベッドの下に隠してあった棺桶を引っ張り出す。
「なんで棺桶なんてあるんだ?」
「それ……」
テンは棺桶のことを思い出す。
あれに触れようとしただけで、激怒したフェスターのことだ。
「鍵がかかってるぞ」
「なにか見られたくない物でも入ってるんじゃないのか?」
「ほぉ、あいつの秘密か。気になるな」
「ちょ、ちょっとコトネ。フェスターさんに悪いよ」
「あいつは気にしないよ」
テンは棺桶に近づいた。
そしてその傍にしゃがみ込む。
「フェスターの秘密……」
テンは迷った。
この箱を開けるべきかどうかを、本能的に迷ってしまった。
「飼う?」
「わしの慰み者にした。毎日愛の言葉を囁いて体を温めあった。そのときは戯れじゃった。わしに好意を持ったとき、あいつの首を刎ねてやろうと思ってた。だがあいつはいつまで経ってもわしに靡かなくてな、強情な男じゃった」
「それで?」
「言わなくてもわかるだろう。わしが惚れてしまった!」
何が言わなくてもわかるのかよく分からなかったが、テンたちは「へぇ」なんて言って場を濁す。
「けっこう可愛いところあるんだな」
「そうじゃろうそうじゃろう!わしも乙女だからな!あいつとの交わりは鮮明に覚えている。優しい言葉を耳元で紡ぎ、入念な愛撫をして、やつの男根を食らった。あいつは何発もわしの中で出した……それでもわしを睨みつけていた」
「何を中で出したんだ?」
コトネは首を捻りながら聞いた。
ミユの顔が赤くなる。
「精液に決まっておろう」
「彼アンデッドなのに精液が出るんだな」
「も、もういいでしょその話は!」
ローズとオスカーが平気な顔で言うので、ミユは止めた。
「まぁだが……1番の魅力はあの眼だな。力ではわしに勝てるわけがないのだが、あの鋭く見ただけで切り裂かれそうな眼が……わしは好きじゃった。世界の全てを恨めしく思っていたのだろうか?濁り、されど熱い双眸じゃった……」
ローズはぎゅとベッドの布団を握りしめた。
彼女の顔はすでに下僕を統べる女王のものではない。
想い人に恋焦がれる女の表情だった。
「わしはあの女狐から必ずフェスターを奪い返す。貴様らも命を懸けて戦え。腑抜けた動きなどしたらただじゃおかんぞ」
「分かってるよ、私たちも同じ気持ちだから」
「ふん。ではわしはしもべの様子でも見に行くか、体を休めておけ」
キリッとした目つきでそう言ったローズは、フェスターの枕を小脇に抱えた。
「枕はもらっていくぞ」
それだけ言って彼女は部屋から出て行った。
「ローズ、本当にフェスターのこと好きなんだね」
「どうしてあそこまでフェスターに入れ込めるのか僕にはわからないがな」
「え?フェスターさんかっこいいよ」
「ま、まさかミユ……君フェスターのこと……」
「何度も助けてくれたし、ぶっきらぼうだけど優しいところもあって……」
「お、おいミユ!目を覚ませ!君は今混乱してるんだ!」
「オスカーはどう?フェスターのこと恋愛的に見て」
「私か?そうだな……確かに彼はいい顔つきをしているよ。博識だし魅力的だ。まぁ顔は好みではないが」
「いい顔つきだって言ったじゃん」
「ああ、いい顔つきだよ。でも好みじゃない」
「ふふ」
「君はどうなんだテン。1番長く彼と一緒にいるんだろう?」
「私あの人に実験されてるんだよ?好きになったりすると思う?」
「わからないじゃないか。愛情の裏返しかもしれないよ」
「なんで実験が愛情の裏返しなの?」
テンはクスクスと笑った。
「なぁテン。これ何か知ってるか?」
コトネがテンに聞いた。
彼女はフェスターのベッドの下に隠してあった棺桶を引っ張り出す。
「なんで棺桶なんてあるんだ?」
「それ……」
テンは棺桶のことを思い出す。
あれに触れようとしただけで、激怒したフェスターのことだ。
「鍵がかかってるぞ」
「なにか見られたくない物でも入ってるんじゃないのか?」
「ほぉ、あいつの秘密か。気になるな」
「ちょ、ちょっとコトネ。フェスターさんに悪いよ」
「あいつは気にしないよ」
テンは棺桶に近づいた。
そしてその傍にしゃがみ込む。
「フェスターの秘密……」
テンは迷った。
この箱を開けるべきかどうかを、本能的に迷ってしまった。
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