屍人の王とキョンシー娘の葬送行進曲

吸血鬼姉妹

満月に照らされて6

「やばい！フェスターがやばいぞ！」

フェスターによって避難させられたコトネは、下でオスカーと戦っているフェスターを見て叫んだ。
フェスターはされるがままにボコボコにされている。

「助太刀しに行こう！行くぞテン！」
「わかった！」
「ミユはここで待機してて！」
「私も行くよ！」
「ダメだ！ミユは血を吸われて体力を消耗してる。そんな状態で戦っても死ぬだけだ！」
「こ、コトネだって吸われてるよ！」
「僕は大丈夫だ、そこまで吸われてないからな。いいからミユはここにいて！動くなよ！」

コトネはテンと屋根からおりて、フェスターの元へ急ぐ。
ミユは彼女たちの背中を見送ることしかできない。
テンとコトネはフェスターと合流し、戦いに加わる。
2人が加勢したというのに、彼らは劣勢だ。
攻撃が当たらなければ、勝つことなどできない。
仲間が苦戦する様子を見ることしかできないミユは、無力感に打ちのめされた。

「ここで見てることしかできないなんて……これじゃみんなが……」

絶望するミユだが、ある考えと記憶が浮かんだ。
彼女は無意識に城を見る。
だが城そのものではない、鐘楼を見上げたのだ。

「……鐘」

ミユはあることを思い出していた。
あの鐘が鳴ったとき、オスカーが騒ぎ暴れていたことを……

「鐘を鳴らせば、動きを止められるかも」

ミユは判断した。
そして屋根からおりて、城に向かって走るのだ。