62 / 196
善人だけの世界
イカれ宗教をぶちのめそう4
しおりを挟む
「おいでなすったな……」
フェスターの目が鋭くなる。
テンはチラリと彼を見た後、デロリスに視線を移す。
彼女が本当に魔女だとしたら、この戦いが非常に厳しいものになるだろう。
「……これも主の試練なのかもしれませんね。可哀想に……」
デロリスはフェスターに殺された者たちを悼んだ。
その瞳には涙も浮かんでいる。
「あなた方は主に尽くし、その生の輝きを私たちに見せてくれました……大丈夫です。主はあなた方を幸福にしてくれるでしょう」
「被害者ぶるなよクソ女。てめぇらがやったことは全部分かってんだ。何人……いや何百人の人間を壊した?」
「壊す?導いたのです」
「これだから宗教家はぶち殺したくなる。いや、魔女か?」
フェスターはさぐりを入れた。
デロリスは首を傾げる。
「……あなたは何を言っているのですか?罪のない彼らを殺し、私たちの意思を穢した……ですが主の教えは慈悲深いです。更生のチャンスを与えましょう。武器を捨ててください」
「やなこった。お前らこそ更生のチャンスをやるよ。武器を捨ててオイトを出せ。そうしたら殺さずに、政府に報告するだけで済ませてやる」
「分かっていないのですね……あなたは。国に何ができますか?今この瞬間も飢える者や殺される者がいるというのに、関心すら持ちません。なんの手も打たずに、導くふりだけをしている……私たちが舵をとったほうがまだマシです」
「政治家はみんなそう思ってるよ。でどうすんだ?俺たちを殺すか?争いは嫌いなんだろ?」
「殺しません。武力は使いますが争いはしませんよ」
「国語勉強し直したほうがいいんじゃねぇのか?」
「ねぇシスターさん。降参してよ、この人不気味な見た目に違わずすごく強いから。死人を出したくないでしょ?」
デロリスは空を見上げて、胸に手を当てた。
そしてしっかりと2人を見つめる。
「やはり分かっていませんね。主よ、彼らに導きをお与えください」
「お前『導き』って単語が好きだよな」
「……あなた方は必ず、私たちの虜になります」
村人はデロリスに武器を持たせた。
鈴のついていない錫杖だ。
「……ヤマトの武器か?」
「ええ、そうです。安心して身を任せてください」
デロリスは錠剤を手に取り、それを口に入れて噛み砕いた。
彼女の行為を皮切りに、村人たちは全員同じように薬を口に含む。
その瞬間彼女たちの筋肉は隆起し、肌には血管が濃く浮かび上がった。
そして目は赤く充血する。
「テン、油断するな」
「う、うん」
明らかに様子が変わったデロリスたちは、明確な敵意を振り撒き始める。
デロリスは体に伝わる魔力を、杖に伝わらせた。
錫杖の杖頭部に、光り輝く輪っかが生成される。
デロリスは思い切り杖を地面に叩きつけた。
鈴のような重厚な音が、この島全体に響き渡る。
その音を聞いたフェスターは、自分の体の力が抜けたことに驚き、あの杖の性質を理解する。
フェスターの目が鋭くなる。
テンはチラリと彼を見た後、デロリスに視線を移す。
彼女が本当に魔女だとしたら、この戦いが非常に厳しいものになるだろう。
「……これも主の試練なのかもしれませんね。可哀想に……」
デロリスはフェスターに殺された者たちを悼んだ。
その瞳には涙も浮かんでいる。
「あなた方は主に尽くし、その生の輝きを私たちに見せてくれました……大丈夫です。主はあなた方を幸福にしてくれるでしょう」
「被害者ぶるなよクソ女。てめぇらがやったことは全部分かってんだ。何人……いや何百人の人間を壊した?」
「壊す?導いたのです」
「これだから宗教家はぶち殺したくなる。いや、魔女か?」
フェスターはさぐりを入れた。
デロリスは首を傾げる。
「……あなたは何を言っているのですか?罪のない彼らを殺し、私たちの意思を穢した……ですが主の教えは慈悲深いです。更生のチャンスを与えましょう。武器を捨ててください」
「やなこった。お前らこそ更生のチャンスをやるよ。武器を捨ててオイトを出せ。そうしたら殺さずに、政府に報告するだけで済ませてやる」
「分かっていないのですね……あなたは。国に何ができますか?今この瞬間も飢える者や殺される者がいるというのに、関心すら持ちません。なんの手も打たずに、導くふりだけをしている……私たちが舵をとったほうがまだマシです」
「政治家はみんなそう思ってるよ。でどうすんだ?俺たちを殺すか?争いは嫌いなんだろ?」
「殺しません。武力は使いますが争いはしませんよ」
「国語勉強し直したほうがいいんじゃねぇのか?」
「ねぇシスターさん。降参してよ、この人不気味な見た目に違わずすごく強いから。死人を出したくないでしょ?」
デロリスは空を見上げて、胸に手を当てた。
そしてしっかりと2人を見つめる。
「やはり分かっていませんね。主よ、彼らに導きをお与えください」
「お前『導き』って単語が好きだよな」
「……あなた方は必ず、私たちの虜になります」
村人はデロリスに武器を持たせた。
鈴のついていない錫杖だ。
「……ヤマトの武器か?」
「ええ、そうです。安心して身を任せてください」
デロリスは錠剤を手に取り、それを口に入れて噛み砕いた。
彼女の行為を皮切りに、村人たちは全員同じように薬を口に含む。
その瞬間彼女たちの筋肉は隆起し、肌には血管が濃く浮かび上がった。
そして目は赤く充血する。
「テン、油断するな」
「う、うん」
明らかに様子が変わったデロリスたちは、明確な敵意を振り撒き始める。
デロリスは体に伝わる魔力を、杖に伝わらせた。
錫杖の杖頭部に、光り輝く輪っかが生成される。
デロリスは思い切り杖を地面に叩きつけた。
鈴のような重厚な音が、この島全体に響き渡る。
その音を聞いたフェスターは、自分の体の力が抜けたことに驚き、あの杖の性質を理解する。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる