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善人だけの世界

おでんを食べよう3

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「分かりやすいね」
「酔ってるせいだ」
「あの国に何かあるっていうの?」
「何かあるっていうか……あそこはまじないの類の話が多くてな。死者と話したり、死者が怨霊となって人を襲ったりする伝説がある。それにヤマトには巫女っていう特殊な人間がいるんだ。そいつらは神と話せたり神の力を使えるって話でな。人知を越えた力を持ってる存在だ。だからその女を確保して力を解明してやろうと思った」
「へぇ、だから調べたんだ」
「それと……行ったんだ」
「え?なに?行ったって」
「だからヤマトに行ったんだよ」
「行ってどうしたの?」
「巫女を1人攫おうと思った」
「それで?」
「……失敗した」
「なんで?」
「侍に追い返された」
「……あー、だからトラウマになってるんだ」
「トラウマってほどじゃないが……まあ2度と行きたくはないな」
「フェスターって酔ったら素直になるよね」
「そうか?」

フェスターはとっくりの中身を飲んで酔いを加速させる。
テンはおでんをほとんど食べつくしていた。

「まあでも……神の力なんざ眉唾だろうな」
「私も神様に縋ったことないなぁ」
「人を蘇らせる術を知りてぇなぁ」
「蘇らせてるじゃん。あれどうやってやってるの?」
「色々、研究して辿り着いた境地だ。だがあれじゃダメだ。弱すぎる、留守番もろくにできない。もっと賢くて強いアンデットを作りてぇ」
「ってか私の体色々研究してるのに進歩はないの?」
「ないなぁ……」
「研究の才能ないんじゃないの?」
「そんなことねぇ。俺は最後には笑うタイプの男だぞ。絶対に研究を成功させてみせる!」
「アンデッド軍団作るの?」
「ああ。何万体ものアンデッドを行進させてやる。お前は最前線で歩かせてやるからな」
「光栄だね」

2人は同時に笑って、食事を終えた。
酒も食べ物もなくなったのだ。

「ごちそうさん、けっこう美味かった」
「また来るね大将」

完全に酔いつぶれている店主に声をかけて、フェスターは金を置いた。
2人並んで歩き、次の店に向かう。

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