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屍人の王とキョンシー娘
地下歓楽街へ6
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「よし、取引成立だな」
「ああ、金を寄越せ」
「分かっている。だが君に耳寄りな情報があるんだ。あるネクロマンサーが書いた魔術書があるらしい。まぁ魔術書というより日記らしいが……」
「それで?」
「君好みの代物だと思って売り手にキープさせてるんだ。君が欲しいなら入手させるがどうする?」
「手に入れてくれ」
「商人として忠告するが、その手の物は眉唾が多いぞ?その売り手ってのもケチで頭の悪い商人だ。それなのに120万クレジットも要求してる」
「構わない、買ってくれ。眉唾だろうがなんだろうがアンデッドに関する物ならなんでも欲しい」
「そうかい?君がそう言うなら手配しておくよ」
「支払いは王冠の200万から引いといてくれ」
「じゃあ残りの80万を渡すよ、ブルース用意しろ」
「承知しました」
ブルースは金の用意のために部屋を出ていく。
また煙草を吸い始めたフェスターにテンは聞いてみた。
「本当に世界征服するつもり?」
「あ?」
「アンデッドを強化したり、たくさん作るために魔術書とか集めてるんでしょ?」
「まあな」
「そのためにお金が必要だからマギーを頼ってるわけだ」
「鋭いな、だが持ちつ持たれつだ。頼ってない」
「ふーん……征服なんかしたらまた怖い人にコテンパンにされるんじゃない?」
「そうならないように軍団を作るんだよ。その時はお前も特攻兵くらいにはしてやる」
「そんなにうまくいくのかなぁ?館にいるアンデッドは少ないし、あんまり強くないし」
「ごちゃごちゃうるせぇ野郎だな」
「私女だから野郎じゃないし」
「ははは、君たち本当に仲がいいんだね」
「眼鏡買え」
マギーが茶化すと、フェスターは冷たい声で言った。
だがマギーのニヤニヤはおさまらない。
「私以外と君がこんなに話すなんてね」
「やかましい」
「だが君の気の利かなさは頂けないな。パートナーにそんなボロボロの服を着せるなんて。テンは女の子だよ?」
「アンデッドに男も女もあるか」
「ひどーい」
「帰る時に服を買ってあげなよ。それと気になってたんだが」
マギーは視線をフェスターからテンに移した。
2つの目はテンの頭を見つめている。
「君はランファン出身か?」
「え?そうだけど、どうして分かったの?」
「その髪飾りさ」
テンは髪につけている髪飾りを触った。
みすぼらしい見た目に似合わない、鮮やかに光る桃色の花の形をしたアクセサリーだ。
「それ高級品だろう。どこで手に入れた?」
「盗んだに決まってるだろ」
「失礼な!友達から貰ったんだ」
髪飾りはそこらで買えるような品物ではなく、ランファンでしか採れない鉱石で作られている。
「友人からの贈り物か……買い取りたかったけど、プレゼントならそんなことできないな」
「関係ねえよ。お前売っぱらっちまえ」
「ダメ!」
「少しは俺に貢献したらどうだ?金という形でよ」
「絶対ダメ!」
「ふふ、なら仕事を紹介してあげようか?」
「なんだよ?盗みか?」
「違う。コンラッドの英雄は知っているかい?」
「ああ、北のほうの国の騎士だろ?小国コンラッドに大国が攻めてきた時、1人で何千人も斬り殺して撤退させたやつだ」
「流石だね」
「勉強が好きなもんでな。で?そいつがどうした?」
「その英雄、ザーズがこの近辺まで来てるらしいんだよ」
「あ?あいつは病で死んだって聞いたけどな」
「それは表向きさ。国の英雄が恥になったら誰でも隠したがる」
「恥だと?人妻を襲ったのか?」
マギーは「いひひひ」と嫌らしく歯を見せて笑った。
今までの穏やかさなど微塵もない微笑を見て、テンの背筋に冷たいものが走る。
「彼の十八番、殺人さ」
「あん?あいつは兵士だ、殺しくらいするだろ」
「違う違う。職務外での殺しだ」
「……個人的に殺人してるって話か?なんでだよ?」
「彼はある病にかかっている。その名も殺し屋病」
殺し屋病。
馬鹿げた病名だなとテンは思ったが、フェスターの眼差しは鋭かった。
「ああ、金を寄越せ」
「分かっている。だが君に耳寄りな情報があるんだ。あるネクロマンサーが書いた魔術書があるらしい。まぁ魔術書というより日記らしいが……」
「それで?」
「君好みの代物だと思って売り手にキープさせてるんだ。君が欲しいなら入手させるがどうする?」
「手に入れてくれ」
「商人として忠告するが、その手の物は眉唾が多いぞ?その売り手ってのもケチで頭の悪い商人だ。それなのに120万クレジットも要求してる」
「構わない、買ってくれ。眉唾だろうがなんだろうがアンデッドに関する物ならなんでも欲しい」
「そうかい?君がそう言うなら手配しておくよ」
「支払いは王冠の200万から引いといてくれ」
「じゃあ残りの80万を渡すよ、ブルース用意しろ」
「承知しました」
ブルースは金の用意のために部屋を出ていく。
また煙草を吸い始めたフェスターにテンは聞いてみた。
「本当に世界征服するつもり?」
「あ?」
「アンデッドを強化したり、たくさん作るために魔術書とか集めてるんでしょ?」
「まあな」
「そのためにお金が必要だからマギーを頼ってるわけだ」
「鋭いな、だが持ちつ持たれつだ。頼ってない」
「ふーん……征服なんかしたらまた怖い人にコテンパンにされるんじゃない?」
「そうならないように軍団を作るんだよ。その時はお前も特攻兵くらいにはしてやる」
「そんなにうまくいくのかなぁ?館にいるアンデッドは少ないし、あんまり強くないし」
「ごちゃごちゃうるせぇ野郎だな」
「私女だから野郎じゃないし」
「ははは、君たち本当に仲がいいんだね」
「眼鏡買え」
マギーが茶化すと、フェスターは冷たい声で言った。
だがマギーのニヤニヤはおさまらない。
「私以外と君がこんなに話すなんてね」
「やかましい」
「だが君の気の利かなさは頂けないな。パートナーにそんなボロボロの服を着せるなんて。テンは女の子だよ?」
「アンデッドに男も女もあるか」
「ひどーい」
「帰る時に服を買ってあげなよ。それと気になってたんだが」
マギーは視線をフェスターからテンに移した。
2つの目はテンの頭を見つめている。
「君はランファン出身か?」
「え?そうだけど、どうして分かったの?」
「その髪飾りさ」
テンは髪につけている髪飾りを触った。
みすぼらしい見た目に似合わない、鮮やかに光る桃色の花の形をしたアクセサリーだ。
「それ高級品だろう。どこで手に入れた?」
「盗んだに決まってるだろ」
「失礼な!友達から貰ったんだ」
髪飾りはそこらで買えるような品物ではなく、ランファンでしか採れない鉱石で作られている。
「友人からの贈り物か……買い取りたかったけど、プレゼントならそんなことできないな」
「関係ねえよ。お前売っぱらっちまえ」
「ダメ!」
「少しは俺に貢献したらどうだ?金という形でよ」
「絶対ダメ!」
「ふふ、なら仕事を紹介してあげようか?」
「なんだよ?盗みか?」
「違う。コンラッドの英雄は知っているかい?」
「ああ、北のほうの国の騎士だろ?小国コンラッドに大国が攻めてきた時、1人で何千人も斬り殺して撤退させたやつだ」
「流石だね」
「勉強が好きなもんでな。で?そいつがどうした?」
「その英雄、ザーズがこの近辺まで来てるらしいんだよ」
「あ?あいつは病で死んだって聞いたけどな」
「それは表向きさ。国の英雄が恥になったら誰でも隠したがる」
「恥だと?人妻を襲ったのか?」
マギーは「いひひひ」と嫌らしく歯を見せて笑った。
今までの穏やかさなど微塵もない微笑を見て、テンの背筋に冷たいものが走る。
「彼の十八番、殺人さ」
「あん?あいつは兵士だ、殺しくらいするだろ」
「違う違う。職務外での殺しだ」
「……個人的に殺人してるって話か?なんでだよ?」
「彼はある病にかかっている。その名も殺し屋病」
殺し屋病。
馬鹿げた病名だなとテンは思ったが、フェスターの眼差しは鋭かった。
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