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13.運命……じゃない!
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「えっ、それ……」
「すまない。今、これしかないんだ」
そう言いながら、わたしの手首に巻いてくれたのは――誰かにあげたとばかり思っていた、応援団のはちまきだった。
「そんなことしたら、大事なはちまきが汚れちゃうよ⁉」
「別に構わない。血が出ているところを見ているより、ずっとマシだ」
最後に両端をきゅっと結ぶと、そっと手を離した。
「ありがとう」
なんだか斗真くんの優しさが、わたしの傷を癒してくれているみたい。
「もう痛くないかも」
はちまきを巻いてくれた手を軽く振ってみせると、
「そんなわけないだろ。ちゃんと手当てしてもらわなきゃダメだからな」
と、釘を刺されてしまった。
「えっと……これ、ちゃんと洗って返すからね」
斗真くんの、大切なはちまきだもんね。
さすがに、いくら洗って返しても、ケガの応急処置に使ってしまったようなものを、本当にあげたい相手にはあげられないだろうけど……。
でも、わたしが持っているわけにはいかないよ。
「その必要はない」
え……それって……いやいや、ちがうって。
ただ『もういらない』っていうだけだよ、きっと。
それ以外の意味なんかあるわけない。
だいたい、斗真くんがそんなウワサを知ってるわけないし。
「だったら、わたしのはちまき、代わりにもらって! えっと、あの……そう! 一緒に応援団をがんばった記念だから。ほら、わたしがこれをもらっちゃったら、斗真くんの記念がなくなっちゃうでしょ?」
わたしもポケットから自分のはちまきを取り出すと、斗真くんに差し出した。
「……」
斗真くんが、無言でそのはちまきをじっと見つめている。
「本当に、もらってもいいのか?」
「うん、もちろんだよ」
「……ありがと」
なぜだか斗真くんの口元が少しだけほころんでいるように見える。
……本当に知らないよね?
わたしだって未那先輩に教えてもらうまで知らなかったんだよ?
いやでも、ひょっとしたら須田くんが……もしくはあのとき凛香ちゃんに聞いてたりして⁉
え、じゃあ、なんでわたしのはちまきをもらってくれたの?
だって、斗真くんには他に……あれ? はちまきをあげてなかったってことは、わたしの勘ちがい?
そんな永遠に答えの出ないことをぐるぐる一人で考えていたら、遠くの方からパトカーのサイレンが近づいてきているのに気がついた。
そのパトカーが学校前に到着するより早く、わたしたちのすぐ横で一台の乗用車が止まった。
この前の誘拐未遂の恐怖を思い出し、わたしは思わず身を固くした。
「すまない。今、これしかないんだ」
そう言いながら、わたしの手首に巻いてくれたのは――誰かにあげたとばかり思っていた、応援団のはちまきだった。
「そんなことしたら、大事なはちまきが汚れちゃうよ⁉」
「別に構わない。血が出ているところを見ているより、ずっとマシだ」
最後に両端をきゅっと結ぶと、そっと手を離した。
「ありがとう」
なんだか斗真くんの優しさが、わたしの傷を癒してくれているみたい。
「もう痛くないかも」
はちまきを巻いてくれた手を軽く振ってみせると、
「そんなわけないだろ。ちゃんと手当てしてもらわなきゃダメだからな」
と、釘を刺されてしまった。
「えっと……これ、ちゃんと洗って返すからね」
斗真くんの、大切なはちまきだもんね。
さすがに、いくら洗って返しても、ケガの応急処置に使ってしまったようなものを、本当にあげたい相手にはあげられないだろうけど……。
でも、わたしが持っているわけにはいかないよ。
「その必要はない」
え……それって……いやいや、ちがうって。
ただ『もういらない』っていうだけだよ、きっと。
それ以外の意味なんかあるわけない。
だいたい、斗真くんがそんなウワサを知ってるわけないし。
「だったら、わたしのはちまき、代わりにもらって! えっと、あの……そう! 一緒に応援団をがんばった記念だから。ほら、わたしがこれをもらっちゃったら、斗真くんの記念がなくなっちゃうでしょ?」
わたしもポケットから自分のはちまきを取り出すと、斗真くんに差し出した。
「……」
斗真くんが、無言でそのはちまきをじっと見つめている。
「本当に、もらってもいいのか?」
「うん、もちろんだよ」
「……ありがと」
なぜだか斗真くんの口元が少しだけほころんでいるように見える。
……本当に知らないよね?
わたしだって未那先輩に教えてもらうまで知らなかったんだよ?
いやでも、ひょっとしたら須田くんが……もしくはあのとき凛香ちゃんに聞いてたりして⁉
え、じゃあ、なんでわたしのはちまきをもらってくれたの?
だって、斗真くんには他に……あれ? はちまきをあげてなかったってことは、わたしの勘ちがい?
そんな永遠に答えの出ないことをぐるぐる一人で考えていたら、遠くの方からパトカーのサイレンが近づいてきているのに気がついた。
そのパトカーが学校前に到着するより早く、わたしたちのすぐ横で一台の乗用車が止まった。
この前の誘拐未遂の恐怖を思い出し、わたしは思わず身を固くした。
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