【更新停止中】おキツネさまのしっぽ【冬再開予定】

リコピン

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第二章 ツンデレ天邪鬼といっしょ

2-1.

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2-1.

―駅前のコーヒーショップでお茶しています

ガラス張りの窓際に空いていた二人分の席を飲み物片手に陣取り、急いで桐生宛のメールを打てば、

「メール?誰?誰?」

「えっと…」

放課後になり、少し元気の回復した瑞穂に目敏く突っ込まれてしまう。咄嗟に上手い答えが浮かばず、返事に詰まった。

「…ふーん?」

「…なに?何が『ふーん』?」

口元のニヤケた瑞穂の物言いたげな視線、受け止めきれずに僅かに目を逸らしてしまう。

「えー?一花が真剣な顔でメール打ってたから、相手は誰かなーって気になっただけー」

「…」

「まあ、一花が教えてくれるまで待つけど。…顔、赤いよ?」

「っ!?」

瑞穂にこちらをからかう余裕が出てきたことは嬉しいけれど。知りたくなかった指摘に、ますます顔に血が上るのを自覚する。

「…私のことはいいの。瑞穂の話を聞きに来たんだから」

「うーん…」

無理矢理に話の矛先を瑞穂に向けて、彼女の言葉を待てば、

「…色々、今日一日考えたんだけど。やっぱり、今の曖昧な関係のままでグルグルしてるのが良くないのかなーって思っちゃって」

「…」

「大学離れちゃう不安とかもあって、大翔ひろとにあんなこと言っちゃったのかも」

そう話す瑞穂の声に元気はないれど、それでもしっかりとした話し方に、彼女が立ち直りつつあるとわかってホッとする。

「…『思ってもないこと』言っちゃったんでしょう?」

「うん。そう思ってたんだけど、本当は心の奥では思ってたことなのかもしれないって、今は思ってるよ」

「…」

「…だから、先ずは今の関係をなんとかしようと思う」

「瑞穂…」

「もうすぐバレンタインデーだしね。当日は、大翔、他県で受験だからどうしようかと思ってたけど…」

手にしたカップから視線を上げた瑞穂と、目が合った。

「明日!チョコ渡して告白する!」

「!?」

「ずっと気まずいままなんて、私が無理!耐えられない」

立ち直ると同時に振りきれたらしい瑞穂の、彼女らしい思いきりに苦笑する。

「だから、お願い!一花!チョコ買いに行くの付き合って!」

「それは別に構わないけど、」

「あと、ついでに大翔呼び出すから付いてきて!」

「え?それはちょっと…」

「お願い!」

「えー…?」

必死に頭を下げる瑞穂には悪いが、流石にそれは無粋過ぎる気がして返事に戸惑っていると、

「!」

瑞穂の頭上、空中から、朝と同じ女の子がポンッと姿を現した。今朝見た時と全く変わらない様子で、今もまた瑞穂の頭の上でクスクスと笑っている。その姿をよく見ようとしたところで、スマホの着信が鳴った。

「あ、ごめん、瑞穂。ちょっと電話出てくる、っていうか、いい加減頭は上げてよ」

「…ついてきてくれる?」

「…わかったから」

「やった」と分かりやすく喜ぶ瑞穂。どうやら完全に復活したらしいその様子に、思わずこちらまで笑ってしまう。

席を立ち、店の外で着信画面を確かめると、そこには予想通りの人物の名前。

「…もしもし?」

「確認した」

開口一番の言葉に、目立たない程度に周囲を見回してみるけれど、こちらから桐生の姿を確認することは出来ない。彼が手にしているはずのモノを考えれば、あまり人目の多い場所までは出てこれない、ということなのだろう。

「妖だな。『天邪鬼』という鬼の一種だ。危険は無い」

「えっと、じゃあ、あの、私はこの後どうすれば…」

「…どうしようもない。ちょっかいを出してくるとしても、悪戯程度のことしか出来ないはずだから。飽きるまで、放っておくしかない」

「悪戯…。あの、瑞穂、友達が『思ってもないことを言ってしまう』って」

「…まあ、天邪鬼、だからな…」

「…」

その歯切れの悪い返事から、本当に放っておくことしか出来ないのだろうと察して、沈黙する。

「…どうしても追い払いたいなら、何とかする、」

「!?あ!いえ!」

言いかけた桐生の言葉を遮った。彼の「何とかする」というのは、つまり、シロをしようとした時と同じことを、あの『天邪鬼』にもするということで、

―流石にそれは…

「…様子を見てみます。もし、友達がこれ以上困るようなことがあったら、また相談してもいいですか?」

「ああ…」

貰った返事に改めて礼を言い、通話を切る。安心感から心持ち弾んだ気分で席に戻れば、待ち構えていた瑞穂の訳知り顔な視線。

「…彼氏?」

「違うよ!」

普通に否定すればいいだけのことなのに。自分でも不自然だと思うくらい強くなってしまった否定に、瑞穂の笑みが深くなる。

「もう!行こう!取敢えず、移動!チョコ買いに行くんでしょ!」

「は~い」

からかう気満々な親友の顔は見ないように。空になったカップを持って、出口へと向かった。




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