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本編
29.社畜のたしなみ
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覚悟を決めて顔を上げる。意図せずミリセントと視線が合った。
「っ!ステラ!あんた、いい加減にしなさいよね!?あんたの無責任でどれだけ私達が、」
「ミリセント、黙れと言っている。」
「っ!?」
ミリセントの恨み節は、長官の声にぶった切られた。それでも、睨むことだけはやめようとしない彼女の態度に、逆に気持ちが奮い立つ。
ミリセントや周囲の扱いに耐えてはきた。それが仕事を円滑に進める手段だと思っていたから。だけど、私だって、悔しかったし、怒っていた。それを、忘れることなんて出来ない。
胸元、握りしめたクォーツに魔力を流す。いつもとは違う、「再生」の術式を起動すれば─
『ステラ君、またかね?何度も言っているだろう?何度言われようと、君の辞職は認めない。』
「っ!?」
「これは…?」
石から流れ出した音声に、目の前の二人が驚きの表情を浮かべる。なおも魔力を流し続ければ、
『大体、ここ以外のどこで、君みたいな無能がまともに働けると思うんだ?仕事が辛いからと直ぐに逃げ出す人間など、どこも雇うはずがないだろう?』
「これは、…この声は、ケートマンか?」
「あんた!これ!?こんなの盗聴してたの!?」
(盗聴?)
違う、目の前で堂々と吐かれた暴言を「録音」していただけ。室長がケートマンに代わった直後、仕事の苛烈さにぶっ倒れ、「もう無理だ」と悟った時に、自分で作った「録音機」。だから、彼の声だけじゃなくて─
『は?ステラ、あんた、魔導師でもない雑用のくせに、わたしに意見する気?あんたの意見なんて、ここじゃ雑音以下なんだけど。黙っててくんない?』
「っ!?」
「…これは、君の声か?」
流れたミリセントの声に、長官の眉根に皺がよる。不快を現すそれに、だけど、心は全然、凪いだままで、
「…音声は他にもあります。ご希望でしたら好きなだけ聞いて頂いて構いません。…けど、つまり、これが私の魔導省での『日常』だったんです。…長官、私のことをお調べになったということですが、この件はご存じでしたか?」
「いや、これは…」
「そうでしょうね。…総務課の方にも何度か直接、辞職願は出してみたんですけど、突っ返されましたし、長官宛てに直訴の手紙も書いてみたんですけど、返事はありませんでした。…その後、特に調査もなく。」
「…」
「…これでも、一応、色々、自分なりに待遇改善に動いたつもりだったんです…」
なにせ、こちらは前世持ち。魔導省ほどではなかったけれど、十分にブラックと言って差し支えなかった会社で、ボイレコは必需品だった。会社を辞める妄想だって、それはもう、具体的手段まで調べまくったのだから。
仕事内容だけでなく人格まで否定され続けた場所に、もう、どれだけ言われようと戻る気なんてない。今この場で「音声」を流したのは、それを分かって欲しかったから。なのに─
「…これは、そうだね。確かに、こちらの落ち度。魔導省の管理体制については、一度、見直す必要があるね。」
「…」
「だけどね?だからと言って、君をこのまま手放すわけにはいかない。これでも、私は君の実力をかなり評価している。だから、君の意志を多少無視してでも、君には魔導省に戻ってもらうつもりだ。…引くつもりはないよ?」
「…」
諦めろという長官の眼差し。かつての職場のトップに「評価する」とまで言われて、本当なら、嬉しくてたまらないはずの言葉。だけど、今は、それが足枷にしか思えなくて、全部を捨ててしまいたくてたまらない。
(…もう、いいよね…)
だから、ずっと、自分でも認めたくなかった言葉を口にする。ずっとずっと、自らの負い目だった事実─
「…そもそも、私は魔導師ではありません。」
「なにを馬鹿な。魔導師でなければ、どうやって魔導省の職員になれたと?」
「…さっきの録音、聞かれたでしょう?私は、その魔導省の同僚にも魔導師と認められないくらい魔力が少ないんです。」
「…彼女の暴言には根拠がない。ただの誹謗だよ。」
「では、私が魔導師だという根拠は?何をもって魔導師だと定義されるんですか?」
「…魔術学園で魔導を修めた者は、」
「私、学校行っていません。十歳からずっと魔導省勤めなので。」
「…」
否定すれば黙り込んだ長官。言葉を探す様子に、「もういいでしょう?」という気持ちになる。
(魔導師なんて資格試験もないんだから、定義しようがないんじゃない?)
それでも、長官は口を開くことを止めない。
「…君は、魔導省で働いていたよね?それは、君が魔導師だからだろう?」
「それなら、事務や清掃には魔導師以外の方も勤務されていました。ああ、食堂の方もそうですね?」
「…君の給与は魔導師の給与体系に準拠していたはずだ。ミリセント達と変わらぬ額を受け取っていたんだからね。」
「…それは調べたんですね…」
だったら、何故、その先も調べないのかと疑問に思ってしまうが、結局、「私のことを調べた」というのは表面上のことに過ぎないんだなと分かって、少しだけ落胆する。もう、何も期待なんてしないと思っていたはずなのに─
「…私、一日、十五時間くらい働いていました。」
「まさか…」
「勤怠、…総務課で管理されている、スクロール室への入退室記録はお調べになりましたか?調べてもらえれば直ぐに分かることだとは思いますが、私の平均勤務時間は十五時間でした。」
「…」
「単純に考えて、他の人の二倍働いていたと自負しています。」
だって、それが上司命令だったから─
「ちなみに、年間休日は平均で二十日くらいです。特にここ三年は月の休日が一日ということもざらでした。」
「…」
それで漸く、同僚達と同等の給料。自分で言って、少し遠い目になってしまう。なんか、認められたかったからとはいえ、そんなに働いて、馬鹿みたいだと思ってしまったから。
その遠い目になっていた向こうで、ここにきて初めて聞こえた声─
「…聞いていた話とだいぶ相違があるようだが…、ふむ、今までのステラ嬢の主張が真実であれば、確かに、彼女は魔導師と呼ぶには足らぬであろうな。」
「魔導師長…」
自虐的な捨て身の主張だったけれど、魔導師協会の逆お墨付きを頂いて、漸く、身体の力が抜ける。ホッとして、ソファに沈み込みそうな身体を必死に支えた。
「…もしも…」
横から、今度は宰相閣下の声が聞こえた。そちらに視線を向ければ、
「…もしも、今、彼女の述べた扱いが、貴国の魔導師の扱いだと主張されるなら、我が国はステラ嬢の保護に全力を尽くそう。」
「っ!」
今更、ではある。ガンガルド魔導師長の言質を得てからの発言、ズルい気もするけれど、それが国同士の交渉なのだとしたら、もう、喜んで、全力で乗っかるしかない。
(ありがとうございます!ありがとうございます!)
弛みそうになる顔を必死で引き締める。長官も、もう、それ以上は言うべき言葉もないのか、黙り込んでしまった。これで解放される、そう安堵していたら─
「ふざけんじゃないわよ!」
「っ!」
「何よ!自分は魔導師じゃないなんて言い逃れ!そんな言い逃れで逃げ出そうなんて甘いのよ!十五時間がなに!?そんなの、就業内で仕事を終わらせられないあんたが無能なだけでしょう!?いいからさっさと戻って、あんたはあんたの仕事をしてりゃいいの!」
「…」
ミリセントの怒声も、宰相閣下の「保護」の言葉を頂いた後は、痛くも痒くもない。内心、「ふふん」て余裕かましてたら、それが伝わったのか、ミリセントの顔が真っ赤に染まった。
「ステラっ!!あんた!」
「止めろ、ミリセント。…それ以上、醜態を晒すな。」
「っ!ですが、長官!あの女!」
「…君の心意気はよく分かったよ。…そうだね、君をクビにするという話、あれは無かったことにしよう。」
「本当ですか!?」
「ああ。…君の言葉通り、君には君の仕事をしてもらうよ。…何時間かかろうが、それが十五時間以上であろうが、君の生産ノルマ、それを達成するまで、働き続けてもらう。」
「え…」
「君の言葉の通りだ。君が無能でなければ、何の問題もないはずだね?」
「そ、れは、あの、でも…」
「言っておくけど、私は君にムカついてる。…逃げられると思うなよ?」
「っ!?」
見る見る蒼褪めていくミリセント。今の彼女の生産ノルマがどれくらいかは知らないけれど、この様子だと、相当厳しいものが課されているらしい。そんな彼女を放って、長官がこちらを見据えた。
「…どうやら、君のことは諦めるしかないようだね、ステラ君。」
「…そうして頂けると助かります…」
「…本当に残念だな。僕は、本気で君を評価していたんだけれどね?」
「…ありがとうございます。でも、あのすみません。」
頭を下げれば、「仕方ない」と言葉を返された。そのまま、宰相閣下に退出を命じられる。どうやら、ここから先は「国同士のお話し合い」ということらしい。
場違い過ぎる場所からの解放、もう、ミリセントの視線がこちらを向くことはない。席を立ち、エリアスと連れ立って部屋を出る。背後で閉まる扉の音に、漸く、息がつけた。
「っ!ステラ!あんた、いい加減にしなさいよね!?あんたの無責任でどれだけ私達が、」
「ミリセント、黙れと言っている。」
「っ!?」
ミリセントの恨み節は、長官の声にぶった切られた。それでも、睨むことだけはやめようとしない彼女の態度に、逆に気持ちが奮い立つ。
ミリセントや周囲の扱いに耐えてはきた。それが仕事を円滑に進める手段だと思っていたから。だけど、私だって、悔しかったし、怒っていた。それを、忘れることなんて出来ない。
胸元、握りしめたクォーツに魔力を流す。いつもとは違う、「再生」の術式を起動すれば─
『ステラ君、またかね?何度も言っているだろう?何度言われようと、君の辞職は認めない。』
「っ!?」
「これは…?」
石から流れ出した音声に、目の前の二人が驚きの表情を浮かべる。なおも魔力を流し続ければ、
『大体、ここ以外のどこで、君みたいな無能がまともに働けると思うんだ?仕事が辛いからと直ぐに逃げ出す人間など、どこも雇うはずがないだろう?』
「これは、…この声は、ケートマンか?」
「あんた!これ!?こんなの盗聴してたの!?」
(盗聴?)
違う、目の前で堂々と吐かれた暴言を「録音」していただけ。室長がケートマンに代わった直後、仕事の苛烈さにぶっ倒れ、「もう無理だ」と悟った時に、自分で作った「録音機」。だから、彼の声だけじゃなくて─
『は?ステラ、あんた、魔導師でもない雑用のくせに、わたしに意見する気?あんたの意見なんて、ここじゃ雑音以下なんだけど。黙っててくんない?』
「っ!?」
「…これは、君の声か?」
流れたミリセントの声に、長官の眉根に皺がよる。不快を現すそれに、だけど、心は全然、凪いだままで、
「…音声は他にもあります。ご希望でしたら好きなだけ聞いて頂いて構いません。…けど、つまり、これが私の魔導省での『日常』だったんです。…長官、私のことをお調べになったということですが、この件はご存じでしたか?」
「いや、これは…」
「そうでしょうね。…総務課の方にも何度か直接、辞職願は出してみたんですけど、突っ返されましたし、長官宛てに直訴の手紙も書いてみたんですけど、返事はありませんでした。…その後、特に調査もなく。」
「…」
「…これでも、一応、色々、自分なりに待遇改善に動いたつもりだったんです…」
なにせ、こちらは前世持ち。魔導省ほどではなかったけれど、十分にブラックと言って差し支えなかった会社で、ボイレコは必需品だった。会社を辞める妄想だって、それはもう、具体的手段まで調べまくったのだから。
仕事内容だけでなく人格まで否定され続けた場所に、もう、どれだけ言われようと戻る気なんてない。今この場で「音声」を流したのは、それを分かって欲しかったから。なのに─
「…これは、そうだね。確かに、こちらの落ち度。魔導省の管理体制については、一度、見直す必要があるね。」
「…」
「だけどね?だからと言って、君をこのまま手放すわけにはいかない。これでも、私は君の実力をかなり評価している。だから、君の意志を多少無視してでも、君には魔導省に戻ってもらうつもりだ。…引くつもりはないよ?」
「…」
諦めろという長官の眼差し。かつての職場のトップに「評価する」とまで言われて、本当なら、嬉しくてたまらないはずの言葉。だけど、今は、それが足枷にしか思えなくて、全部を捨ててしまいたくてたまらない。
(…もう、いいよね…)
だから、ずっと、自分でも認めたくなかった言葉を口にする。ずっとずっと、自らの負い目だった事実─
「…そもそも、私は魔導師ではありません。」
「なにを馬鹿な。魔導師でなければ、どうやって魔導省の職員になれたと?」
「…さっきの録音、聞かれたでしょう?私は、その魔導省の同僚にも魔導師と認められないくらい魔力が少ないんです。」
「…彼女の暴言には根拠がない。ただの誹謗だよ。」
「では、私が魔導師だという根拠は?何をもって魔導師だと定義されるんですか?」
「…魔術学園で魔導を修めた者は、」
「私、学校行っていません。十歳からずっと魔導省勤めなので。」
「…」
否定すれば黙り込んだ長官。言葉を探す様子に、「もういいでしょう?」という気持ちになる。
(魔導師なんて資格試験もないんだから、定義しようがないんじゃない?)
それでも、長官は口を開くことを止めない。
「…君は、魔導省で働いていたよね?それは、君が魔導師だからだろう?」
「それなら、事務や清掃には魔導師以外の方も勤務されていました。ああ、食堂の方もそうですね?」
「…君の給与は魔導師の給与体系に準拠していたはずだ。ミリセント達と変わらぬ額を受け取っていたんだからね。」
「…それは調べたんですね…」
だったら、何故、その先も調べないのかと疑問に思ってしまうが、結局、「私のことを調べた」というのは表面上のことに過ぎないんだなと分かって、少しだけ落胆する。もう、何も期待なんてしないと思っていたはずなのに─
「…私、一日、十五時間くらい働いていました。」
「まさか…」
「勤怠、…総務課で管理されている、スクロール室への入退室記録はお調べになりましたか?調べてもらえれば直ぐに分かることだとは思いますが、私の平均勤務時間は十五時間でした。」
「…」
「単純に考えて、他の人の二倍働いていたと自負しています。」
だって、それが上司命令だったから─
「ちなみに、年間休日は平均で二十日くらいです。特にここ三年は月の休日が一日ということもざらでした。」
「…」
それで漸く、同僚達と同等の給料。自分で言って、少し遠い目になってしまう。なんか、認められたかったからとはいえ、そんなに働いて、馬鹿みたいだと思ってしまったから。
その遠い目になっていた向こうで、ここにきて初めて聞こえた声─
「…聞いていた話とだいぶ相違があるようだが…、ふむ、今までのステラ嬢の主張が真実であれば、確かに、彼女は魔導師と呼ぶには足らぬであろうな。」
「魔導師長…」
自虐的な捨て身の主張だったけれど、魔導師協会の逆お墨付きを頂いて、漸く、身体の力が抜ける。ホッとして、ソファに沈み込みそうな身体を必死に支えた。
「…もしも…」
横から、今度は宰相閣下の声が聞こえた。そちらに視線を向ければ、
「…もしも、今、彼女の述べた扱いが、貴国の魔導師の扱いだと主張されるなら、我が国はステラ嬢の保護に全力を尽くそう。」
「っ!」
今更、ではある。ガンガルド魔導師長の言質を得てからの発言、ズルい気もするけれど、それが国同士の交渉なのだとしたら、もう、喜んで、全力で乗っかるしかない。
(ありがとうございます!ありがとうございます!)
弛みそうになる顔を必死で引き締める。長官も、もう、それ以上は言うべき言葉もないのか、黙り込んでしまった。これで解放される、そう安堵していたら─
「ふざけんじゃないわよ!」
「っ!」
「何よ!自分は魔導師じゃないなんて言い逃れ!そんな言い逃れで逃げ出そうなんて甘いのよ!十五時間がなに!?そんなの、就業内で仕事を終わらせられないあんたが無能なだけでしょう!?いいからさっさと戻って、あんたはあんたの仕事をしてりゃいいの!」
「…」
ミリセントの怒声も、宰相閣下の「保護」の言葉を頂いた後は、痛くも痒くもない。内心、「ふふん」て余裕かましてたら、それが伝わったのか、ミリセントの顔が真っ赤に染まった。
「ステラっ!!あんた!」
「止めろ、ミリセント。…それ以上、醜態を晒すな。」
「っ!ですが、長官!あの女!」
「…君の心意気はよく分かったよ。…そうだね、君をクビにするという話、あれは無かったことにしよう。」
「本当ですか!?」
「ああ。…君の言葉通り、君には君の仕事をしてもらうよ。…何時間かかろうが、それが十五時間以上であろうが、君の生産ノルマ、それを達成するまで、働き続けてもらう。」
「え…」
「君の言葉の通りだ。君が無能でなければ、何の問題もないはずだね?」
「そ、れは、あの、でも…」
「言っておくけど、私は君にムカついてる。…逃げられると思うなよ?」
「っ!?」
見る見る蒼褪めていくミリセント。今の彼女の生産ノルマがどれくらいかは知らないけれど、この様子だと、相当厳しいものが課されているらしい。そんな彼女を放って、長官がこちらを見据えた。
「…どうやら、君のことは諦めるしかないようだね、ステラ君。」
「…そうして頂けると助かります…」
「…本当に残念だな。僕は、本気で君を評価していたんだけれどね?」
「…ありがとうございます。でも、あのすみません。」
頭を下げれば、「仕方ない」と言葉を返された。そのまま、宰相閣下に退出を命じられる。どうやら、ここから先は「国同士のお話し合い」ということらしい。
場違い過ぎる場所からの解放、もう、ミリセントの視線がこちらを向くことはない。席を立ち、エリアスと連れ立って部屋を出る。背後で閉まる扉の音に、漸く、息がつけた。
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