そうだバックレよう~奴隷買ったら、前世の常識とか倫理観とかどうでもよくなった~

リコピン

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本編

1.正直、異世界転生なめてた

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「…もう無理。…絶対無理。」

地獄の29連勤明け、漸くの休日、と言っても、職場である王宮を出たのが既に当日の朝、帰って寝て、起きたらまた出勤。

「無理無理無理。無理だよ、こんなの。ブラックなんてもんじゃないし。もう耐えられない…。死ぬ、ホントに死ぬ…」

丸一日、スクロールを書き続けた目も手も限界。脳みそも、どっか焼き切れてるんじゃないかと思う。

だから、本当に限界を越えた私が、本能の赴くまま、フラッとそのお店を訪ねたのは必然で必要で、とにかく、残された道がもうそこしかなかった─

「…すみません。このお店で一番高い奴隷ください…」






自分が所謂、転生者、前世持ちだと気づいたのは五歳の時、周囲から神童だ天才だともてはやされる程度には賢いお子様だった私は調子に乗っていた。前世、ブラック企業で社畜として生きた記憶があるから、人生二周目なんてチョロイチョロイ、と─

結果、十歳で親に売り飛ばされるようにして勤め始めた王宮の魔導省で、八年間、来る日も来る日も、魔導スクロールを書き続ける日々。そりゃあ、子どもの頃は理解の早いお子様だったと思う。だけど、三年経てば金メッキも剥がれるし、二年前に成人を迎えた今ではただの人、一般ピーポーと変わらない。そんな私に、それでも上司は容赦なかった。

曰く、十歳で出来たことの二倍は働けるはずだ、と─

(…出来るか、そんなん。)

社畜根性ゆえに、十歳時点で既に人の倍は働いていたのだ。それを更に二倍だなんて。周囲の魔導士達が涼しい顔で自分の仕事をこなす横で、私だけが死にそうな顔をしている。

(…駄目だ。このままじゃ駄目だ…)

本当に死んでしまうその前に、何とかしなければ。そして、思い出した。前世、今よりずっとマシな状況で、それでも、折れて凹んで沈みそうになっていた時、私を救ってくれたもの達。私の癒し。

漫画、小説、ゲーム、etc.etc.

だけど─

「っ!」

(この世界、何っにも無い!Web小説どころか、紙媒体すら無い!)

思わず、血が滾った─

正確に言えば、お姫様と王子様が主人公の恋物語とかならある。全然萌えないシチュに、萌えないキャラしか出てこないから、早々に諦めたけど。

(だって、バルコニー下から愛を囁くとか、…それ、聞こえるの?叫んでない?人に聞かれてない?)

それでも、癒し自体を諦めたわけではなかった。そう、その程度では止まれないほどに心が疲弊していた。だから、たどり着いた結論、降ってきた天啓がちょっとおかしかったんだと今ならそう思う。けど、その時は本当に名案、これしかない!と思ってしまったのだ。

『二次元が駄目なら、三次元があるじゃない!』




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