20 / 78
第二章 巫女という名の監禁生活
5.
しおりを挟む
5.
「巫女様が心を許される、友人でも親しい侍女でもいいのです、そういった相手はいらっしゃらないのですか?」
「親しい相手、ですか?」
ハイリヒが考え込む様子を見せる。
ゲームでは、攻略が進まない場合、サポートキャラの女が攻略のヒントをくれる。
―浅はかで、愚かだった女
大公家主催の夜会で初めて出会ったとき―下位貴族の娘に過ぎないくせに―いきなり馴れ馴れしく話しかけてきたあの女は、いや、あの女も、自分と同じ転生者だった。フリッツやレオナルトと仲良くする私を見て声をかけてきた女は言ったのだ、
―あなたも転生者なんでしょ?レオナルト様推し?私はナハト推しなんだ!だから、
信じられないくらい馬鹿な発言。だって、ナハトは私のものだ。誰にも渡したりしない。だから、『転生者』なんておかしなことをいう女には表舞台から消えてもらうことにした。ナハトにお願いして聖都から追い出した女は、今はどこかの修道院に入っていると聞いたけれど、興味がない。もう忘れた。
「うーん、おりませんねぇ。敢えてあげるならば、巫女様に一番近しいのは『私』だと思っておりますよ?」
そう微笑むハイリヒだが、私から見れば、彼だって巫女には全く相手にされていない。
サポートキャラが居なくなったせいで、浄化が進まないのだとしたら、あの女の代わりに、攻略方法を知っている私がこれまで通り進言をし続けるしかないのだろう。格下相手に下手に出るのはしゃくだが、浄化が終わるまで。それまでは巫女の浄化の力が必要なのだから。
「やはり一度、巫女様との正式な面会を希望します。私ならば、必ずや巫女様の浄化をお助けすることができます」
「…それも、夢見のお告げなのでしょうか?」
「そう、思っていただいて構いません」
逡巡していたハイリヒだけど、最後にはうなずいて、面会を取り付けることを約束してくれた。これで少しは浄化が進むはず。本当に巫女には余計な労力ばかりかけさせられる。大人しく、私の助言に従っていればいいものを。
「では、お見送り致しましょう」
微笑んで立ち上がったハイリヒに従って、彼の部屋を出る。巫女の話が済んでしまえば、この男と話すことなど何もない。当たり障りのない会話をしながら廻廊を進めば、突然、金属のぶつかり合う音が響いた。音のした方へ視線を向けると、神殿騎士達が中庭で手合わせをしている姿が見えた。
「…ああ、巫女様の新しい護衛騎士を決めているのです。巫女様が周囲に人を置くことをお嫌いになるので、護衛騎士は一人にしているのですが。前任の者が巫女様の不興を買ってしまいましてね」
『護衛騎士』という言葉に、記憶の中の何かが引っ掛かった。
「一人でも巫女様をお守りできる実力のある者でなければなりませんから、ああして選抜を行っているのです」
「…」
引っ掛かった何かを何とか思い出そうと、目の前の試合を目で追った。流していた視線の先、一人の男を見つけて記憶が蘇る。
―あの男、バッドエンドの
『浄化の巫女』には、いくつかのバッドエンドが存在する。その中には、もちろん成人向け、かなりエグいエンドというのも存在していて、人によってはトラウマものだというようなものまである。
その中の一つに、浄化は成功していても、全攻略対象の好感度が低すぎると発生する『鳥籠エンド』というものが存在した。
誰とも結ばれることなく、浄化の巫女として神殿に囲われる最後なのだけれど、その最後のスチルが護衛騎士による凌辱シーンなのだ。シーン自体に至るストーリーはほぼ無し。ただ、巫女が護衛騎士を拒絶、嫌がっていることがわかるセリフで終わるという、何とも後味の悪い最後。
そのスチルの男が、今まさに、巫女の護衛騎士に選ばれようとしている。腕は立つのだろう、勝ち進んでいる様子に、思わず口角があがる。
「ドロテア嬢?彼が何か気になりますか?」
「いいえ」
彼が現れたということは、『鳥籠エンド』のフラグが立ったということだろうか。巫女がどんな目に会おうが関係無いけれど、鳥籠エンドならば浄化は成功するということになる。このままいけば―
「あの男は、腕は確かなのですが、平民出身なもので。巫女のお側におくのはいかがなものかと悩んでおりまして、」
「いいえ!彼がいいわ!」
思わず、声が大きくなってしまった。訝しむハイリヒの視線を避けて、声をおとす。
「…失礼しました。ですが、護衛騎士には彼が適任です」
「…あの男が、巫女様のお役に立つと?」
「ええ」
断言して見せれば、ハイリヒは躊躇いながらもうなずいた。
「…わかりました。彼が真実、巫女様の助けになるというのでしたら、仕方ありません。しかし、ドロテア様?」
その声に、背筋に冷たいものが走った。微笑んでいるはずの男の目が、ほの暗く光っている。
「彼が巫女様を害すようなことがあれば、その時は―」
「!?」
笑っているはずの顔に恐怖を感じた。
―忘れていた、この男も
目の前の男、攻略対象者の中で、唯一狂愛エンドのある、浄化の巫女の狂信者。行き過ぎた愛で、巫女を塔に幽閉し、鎖に繋ぐ―
「…ですが、まあ、他でもないドロテア様のご助言ですからね。今は従っておきましょう」
背筋に流れた不快な汗。この男の対策も、考えておかなければいかないかもしれない。ハイリヒルートで、彼が巫女から離れるバッドエンドも確かあったはずだから。
「…さて、それでは私はここで失礼させて頂きますね?彼を護衛騎士につける準備をしなければなりませんので」
「…お待ちください。あの者の名は?」
「うーん、何という名だったか。冒険者としては、白銀クラスの実力の持ち主という触れ込みだったのですが。ああ、そう確か、」
告げられた名にうなずいた。いつか、巫女を汚し、巫女に拒絶される男の名に―
「巫女様が心を許される、友人でも親しい侍女でもいいのです、そういった相手はいらっしゃらないのですか?」
「親しい相手、ですか?」
ハイリヒが考え込む様子を見せる。
ゲームでは、攻略が進まない場合、サポートキャラの女が攻略のヒントをくれる。
―浅はかで、愚かだった女
大公家主催の夜会で初めて出会ったとき―下位貴族の娘に過ぎないくせに―いきなり馴れ馴れしく話しかけてきたあの女は、いや、あの女も、自分と同じ転生者だった。フリッツやレオナルトと仲良くする私を見て声をかけてきた女は言ったのだ、
―あなたも転生者なんでしょ?レオナルト様推し?私はナハト推しなんだ!だから、
信じられないくらい馬鹿な発言。だって、ナハトは私のものだ。誰にも渡したりしない。だから、『転生者』なんておかしなことをいう女には表舞台から消えてもらうことにした。ナハトにお願いして聖都から追い出した女は、今はどこかの修道院に入っていると聞いたけれど、興味がない。もう忘れた。
「うーん、おりませんねぇ。敢えてあげるならば、巫女様に一番近しいのは『私』だと思っておりますよ?」
そう微笑むハイリヒだが、私から見れば、彼だって巫女には全く相手にされていない。
サポートキャラが居なくなったせいで、浄化が進まないのだとしたら、あの女の代わりに、攻略方法を知っている私がこれまで通り進言をし続けるしかないのだろう。格下相手に下手に出るのはしゃくだが、浄化が終わるまで。それまでは巫女の浄化の力が必要なのだから。
「やはり一度、巫女様との正式な面会を希望します。私ならば、必ずや巫女様の浄化をお助けすることができます」
「…それも、夢見のお告げなのでしょうか?」
「そう、思っていただいて構いません」
逡巡していたハイリヒだけど、最後にはうなずいて、面会を取り付けることを約束してくれた。これで少しは浄化が進むはず。本当に巫女には余計な労力ばかりかけさせられる。大人しく、私の助言に従っていればいいものを。
「では、お見送り致しましょう」
微笑んで立ち上がったハイリヒに従って、彼の部屋を出る。巫女の話が済んでしまえば、この男と話すことなど何もない。当たり障りのない会話をしながら廻廊を進めば、突然、金属のぶつかり合う音が響いた。音のした方へ視線を向けると、神殿騎士達が中庭で手合わせをしている姿が見えた。
「…ああ、巫女様の新しい護衛騎士を決めているのです。巫女様が周囲に人を置くことをお嫌いになるので、護衛騎士は一人にしているのですが。前任の者が巫女様の不興を買ってしまいましてね」
『護衛騎士』という言葉に、記憶の中の何かが引っ掛かった。
「一人でも巫女様をお守りできる実力のある者でなければなりませんから、ああして選抜を行っているのです」
「…」
引っ掛かった何かを何とか思い出そうと、目の前の試合を目で追った。流していた視線の先、一人の男を見つけて記憶が蘇る。
―あの男、バッドエンドの
『浄化の巫女』には、いくつかのバッドエンドが存在する。その中には、もちろん成人向け、かなりエグいエンドというのも存在していて、人によってはトラウマものだというようなものまである。
その中の一つに、浄化は成功していても、全攻略対象の好感度が低すぎると発生する『鳥籠エンド』というものが存在した。
誰とも結ばれることなく、浄化の巫女として神殿に囲われる最後なのだけれど、その最後のスチルが護衛騎士による凌辱シーンなのだ。シーン自体に至るストーリーはほぼ無し。ただ、巫女が護衛騎士を拒絶、嫌がっていることがわかるセリフで終わるという、何とも後味の悪い最後。
そのスチルの男が、今まさに、巫女の護衛騎士に選ばれようとしている。腕は立つのだろう、勝ち進んでいる様子に、思わず口角があがる。
「ドロテア嬢?彼が何か気になりますか?」
「いいえ」
彼が現れたということは、『鳥籠エンド』のフラグが立ったということだろうか。巫女がどんな目に会おうが関係無いけれど、鳥籠エンドならば浄化は成功するということになる。このままいけば―
「あの男は、腕は確かなのですが、平民出身なもので。巫女のお側におくのはいかがなものかと悩んでおりまして、」
「いいえ!彼がいいわ!」
思わず、声が大きくなってしまった。訝しむハイリヒの視線を避けて、声をおとす。
「…失礼しました。ですが、護衛騎士には彼が適任です」
「…あの男が、巫女様のお役に立つと?」
「ええ」
断言して見せれば、ハイリヒは躊躇いながらもうなずいた。
「…わかりました。彼が真実、巫女様の助けになるというのでしたら、仕方ありません。しかし、ドロテア様?」
その声に、背筋に冷たいものが走った。微笑んでいるはずの男の目が、ほの暗く光っている。
「彼が巫女様を害すようなことがあれば、その時は―」
「!?」
笑っているはずの顔に恐怖を感じた。
―忘れていた、この男も
目の前の男、攻略対象者の中で、唯一狂愛エンドのある、浄化の巫女の狂信者。行き過ぎた愛で、巫女を塔に幽閉し、鎖に繋ぐ―
「…ですが、まあ、他でもないドロテア様のご助言ですからね。今は従っておきましょう」
背筋に流れた不快な汗。この男の対策も、考えておかなければいかないかもしれない。ハイリヒルートで、彼が巫女から離れるバッドエンドも確かあったはずだから。
「…さて、それでは私はここで失礼させて頂きますね?彼を護衛騎士につける準備をしなければなりませんので」
「…お待ちください。あの者の名は?」
「うーん、何という名だったか。冒険者としては、白銀クラスの実力の持ち主という触れ込みだったのですが。ああ、そう確か、」
告げられた名にうなずいた。いつか、巫女を汚し、巫女に拒絶される男の名に―
14
お気に入りに追加
710
あなたにおすすめの小説
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました
平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。
騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。
そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
モブの私がなぜかヒロインを押し退けて王太子殿下に選ばれました
みゅー
恋愛
その国では婚約者候補を集め、その中から王太子殿下が自分の婚約者を選ぶ。
ケイトは自分がそんな乙女ゲームの世界に、転生してしまったことを知った。
だが、ケイトはそのゲームには登場しておらず、気にせずそのままその世界で自分の身の丈にあった普通の生活をするつもりでいた。だが、ある日宮廷から使者が訪れ、婚約者候補となってしまい……
そんなお話です。
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
お金目的で王子様に近づいたら、いつの間にか外堀埋められて逃げられなくなっていた……
木野ダック
恋愛
いよいよ食卓が茹でジャガイモ一色で飾られることになった日の朝。貧乏伯爵令嬢ミラ・オーフェルは、決意する。
恋人を作ろう!と。
そして、お金を恵んでもらおう!と。
ターゲットは、おあつらえむきに中庭で読書を楽しむ王子様。
捨て身になった私は、無謀にも無縁の王子様に告白する。勿論、ダメ元。無理だろうなぁって思ったその返事は、まさかの快諾で……?
聞けば、王子にも事情があるみたい!
それならWINWINな関係で丁度良いよね……って思ってたはずなのに!
まさかの狙いは私だった⁉︎
ちょっと浅薄な貧乏令嬢と、狂愛一途な完璧王子の追いかけっこ恋愛譚。
※王子がストーカー気質なので、苦手な方はご注意いただければ幸いです。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる