召喚巫女の憂鬱

リコピン

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第一章 突然始まった非現実

幕間

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「…澄子のに似てる傘が見つかったって。明日、警察に行って確かめて来るね」

「…」

警察からの電話を切り、食卓にかけたまま微動だにしない母に、電話の内容を伝える。肩を落とし、顔を両手で覆っている彼女の表情はうかがえない。細い肩、手には多くのシワがある。ここ数日ですっかり老いた母の姿。視線を外して、部屋を見渡す。

―この家は、こんなに暗かっただろうか

あの子が居ないだけで、この家はこんなにも。

明るい子というわけではなかった。どちらかというと、大人しくて真面目な。それでも、家族やお客さんの前では、柔和な笑顔をよく浮かべていた。

ホッとする、大好きなあの子の笑顔に、もう会えないのかもしれない。そんな考えが一瞬浮かんで、込み上げる涙と一緒に慌てて振り払った。




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